【第93回】温水器、温かいお湯で手を洗える幸せ


寒い冬の季節でのキャンプで、ことさら有難いのはお湯が使える環境が整っていること。かじかんだ手も、温水で洗えば1発で気持ちよくなれるからね。バンテック製のキャブコンでは、走行時のラジエター液からの熱交換か電熱器による加熱で温水を作り、22Lの熱いお湯を用意することが可能だ。

その温水は、混合栓で冷水と好みの温度に調節して使える。この温水器は貯湯式というタイプで、字の通りお湯をためて温めるタイプ。瞬間湯沸かし器とはまったく違った構造をしている。そのため、走行時にラジエター液との熱交換で温まるのに約1時間ほどが必要で、電熱の場合も同じだ。温められたお湯は、タンクに断熱材がしっかり巻き付けられていて、魔法瓶ほどでは無いもののかなりの時間温かい状態をキープする。

構造も簡単でガスなどの燃焼施設も無いので扱いはしやすいが、家族4人でシャワーをゆったり浴びるといような用途には容量が足りなく不向き。1人ならそれは問題無いだろうが、そもそも冷水の量をどの程度搭載しているかの方が問題になる。

国産キャンピングカーの場合、生活インフラ的にバンバン水を使ってどんどんお湯を沸かすという使い方は、出かけるキャンプ場などでそういった状況を可能にする設備が整っているところがほとんど無いので、優先順位的にあまり考慮されていない。

そのため、使用済みの食器についた油汚れを温水で落としきるのにも向いていない。ある程度拭き取ってから洗浄して落とすくらいがちょうどいいだろう。確かに便利な装備ではあるが、万能では無いので使う側の創意工夫は必要になる。

さて、便利である貯湯式温水器ではあるが使用上の注意点もある。それは特に冬なのだが、タンクの凍結はさせてはならないといこと。タンク本体はアルミで出来ていて、満タンに近いような状況で凍結が起こると、氷になって体積が増える水の特性からタンクを割ってしまうことがあるのだ。

寒い凍結するような時期にキャンプに出かける時は、温度管理に注意しつつ帰宅したらタンクに残っている水、お湯をドレンから抜き出してしまうことが重要である。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第89回】一年を通して快適に生活するためのFFヒーターとルームエアコン


キャンピングカーの装備の中で、一年を通して最も使う頻度が高いと思われるのがFFヒーター。家庭とは違い、避暑地などで夜を過ごす時は、下手をすると夏にも利用することがあるほど。もちろん、秋・冬・春は言わずもがな。

バンテック車に搭載されているFFヒーターはベバストと呼ばれるドイツ製のもの、燃焼式で強制吸排気が行われるもので、室内を循環する空気は燃焼によって汚れることはなく換気をそれほど注意しなくてもいい。

また、標準では簡単なオンオフと強弱をバリアブルでコントロールするツマミが付くだけだが、オプションで付けられるコントローラーは年を追うごとに進化し、タイマーやプログラム、温度設定まできめ細かく設定できるようになってきている。この場合、近年の本体は対応しているので、コントローラーを変更するだけで機能追加も容易になる。

装備として気をつけなければならないのは、暖かい時期にまったく利用しないでいるとあまり機器に対して良くないということ。というより普段使用するときでも、ちょっと暑いかなと思ってもたまに全開運転をある程度の時間しておかなければならないことである。

夏にもそれを行なうのだが、そうすることでヒーター内の燃焼室にススなどの異物が付着、堆積してしまうのを極力避けることができるのだ。

また余裕があれば装備したい話だが、一番簡単なオプション装備に高度設定スイッチというものがある。これは、高度によって空気内の酸素濃度が変わるために対処するスイッチで、約800m以上でプログラムをシフトさせるもの。空燃費を最適にし、ススなどの発生を極力抑えるのに絶大な効果がある。

FFヒーターの有効性を理解し長期にわたって利用する、もしくはメンテナンスの回数を減らしたいと思ったら是非装備しておいたほうがいいだろう。

キャンピングシェルのエアコンといえば、以前は走行時に利用できる自動車用リヤエアコンを増設するのが当たり前だった。しかしそれでは走行時にしか利用できないし、昨今の日本の気候状況下では夜の寝苦しいと思うようなシチュエーションも増えて来た。

そこで、最近では家庭用のセパレートエアコンを搭載することも多くなった。もちろんそれを動かすための大容量電源確保が必要になるので、サブバッテリーシステムもそれに合わせて進化してきている。

そもそも家庭用のエアコンを車載に利用ということ自体家電メーカーの想定外ではあるが、バンテック車においてはサブバッテリーや走行時のオルタネーターからの発電による運転が可能であることを確認している。さらに、室内を除湿して発生した水は通常ドレンを伝わって屋外に排出されるが、それが走行時に傾いたり揺れたりしても室内に逆流してこないような対策も施されている。

さすがに日本製の家電製品だけあり、FFヒーターのような特別な使用方法があるわけでもなく家庭と同じイージーな使用感と耐久性を備え、誰でも使い方に不安を覚えることがないのはありがたいに違いない。

どちらの装備も、ここ数年で両方を設置するユーザーも激的に増えているのが事実であり、今やキャンピングカー生活を快適にするための必須アイテムとなっているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第83回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その3


サブバッテリーについての3回目。今回はサブバッテリーというキャンピングカーならではの装備が、どういった感じでコントロールされているかを考えてみよう。この辺りが理解できると、キャンプ中に電力を自分なりにうまく使えることの手助けになるはずだ。

バンテックのキャブコンの場合、走行中キャンピングシェル内での家庭用電源供給は、エンジンについているオルタネーター発電から直接変換して利用できるようになっている。カムロードベースで130Aオルタネーターがついている場合などでは、サブバッテリーの充電を行いながらの連続使用も十分可能となっている。

また、サブバッテリーをメインバッテリーに接続するのはシグナルスタートチャージシステムという方法を採用。エンジンがオルタネーターで発電を開始するまで並列接続されるサブバッテリー回路を切り離しておくようになっていて、基本的にメインバッテリーを保護する回路の仕組みになっている。

インバーターを使う家庭用電源はともかく、キャンピングシェルに装備される電装品のそのほとんどが直流12V。いわゆる明かりやポンプ、音響設備などであるが、これらを点けっ放しにしておくと電気容量を際限なく吸い出してしまい、その後のサブバッテリー性能を著しく低下させかねない。

そこで、それら負荷との間にバッテリープロテクターという制御器を挿入することで、過放電を防止し性能劣化を最小限に抑えるようになっている。この機器は、電気の使用を続けサブバッテリー電圧が下がると負荷回路を切り離しサブバッテリーを保護。その後バッテリーが充電され電圧が上がると回路を再接続する。

もちろん回路が切り離されているときはキャンピングシェル内の電装品は使えなくなるのだが、サブバッテリーの再充電に適した下限の状態は維持されるので、結果的にはサブバッテリーの超寿命を実現できるものだ。

ただ、キャンプ中の夜中にいきなり電源が切れてもにっちもさっちもいかなくなるが、かなり正確に電力の残量が見える、パーセンテージでも表示できる残量計を用意しているのでそれを参考にすれば効率的な使い方ができるはずだ。

この残量計は単なる電圧による簡素なものではなく、一般的にはシャント抵抗と呼ばれる分流器を負荷回路に通し正確に流れている電流量をセンシングし、あらかじめ自分でセットしたサブバッテリー容量をベースに積算による計算を行っている。もちろん充放電のすべてが反映される。回路的にはそれなりに複雑にはなるが、使う側にしてみれば特に気にしないでもいつもと変わらない生活が送れる、それでいて最小限のパーツ構成で故障率を下げる。そういった試みがしっかり検証された上で組み込まれているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第81回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その2


通常モデルだと、サブバッテリーへの充電はメインバッテリーとリレー等を介してエンジンのオンオフで接続・解除をして充電ができるようになっている。その場合使われるのがたいてい5.5sq(スケア)とう、JIS規格に則ったサイズによる導通部断面積が1.5㎟のものだ。

なぜ5.5sqなのか? それは一般的に使えるヒューズが電流量で30A止まりというか、それ以上だとちょっと特殊になるからである。もちろん30Aを最大電流量とするのであれば、計算上は3.5sqで事足りるが、通常安全率で倍を用意したいので50A対応の5.5sqになるというワケである。

ところがバンテックのキャブコンでは、前回も記したように300Ahほどの強大なサブバッテリーを用意している。これが多少電気容量が減っている状態で走行充電すると、30A以上の、とてつもない量が流れるのが常。となると許容量が50Aのケーブルでは到底足りない。そこで用意したのは22sqのケーブルで、115Aほどの電流に耐えられるものである。

カムロードの発電をしているオルタネーターは最大で130Aなので、充電に回ってくる電流量がケーブル許容電流量を超えることはないのだ。もちろん、オルタネーターは最大電流量で発電することはまずないのである。

さらに前回紹介しているバンテックのキャブコンでは、セパレートタイプのルームエアコンを搭載しているモデルが増えてきたが、これが最大で600W定格で消費した場合、強引にDC12V換算すると50Aとなる。走行時はその電気をオルタネーターから引いてくるワケで、22sqなら、充電しながらエアコンが使えるということになるのである。

通常の利用において、サブバッテリーの管理はバンテックの車両の場合あまり考える必要がない。キャンピングシェル部の電気を使いたい時は、そのシステムを動かすためのスイッチをオンにするだけ。通常は運転席とエントランス脇に用意されている。

特に運転席横のスイッチにはチャージエラーランプ(左写真の左側LED)が用意されているので、サブバッテリー充電回路がなんらかのおかしな状態に至った時、素早く気づくことができるようになっているので安心。

身に付けなければいけないのは、キャンプに出かけるときにサブバッテリースイッチオン、帰ってきたらオフして長時間停車での無駄な電気消費を回避する、それをクセにすることだけ。たったそれだけで快適な環境を確保できるなんて、幸せである。

TAMA@MAC
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主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第77回】キャンピングカーの使い勝手を向上させるセキュリティ集中ドアロック


キャンピングカーをそれまで乗ったことがない人にとっては、鍵についてのキャンピングカーを取り巻く状況はさすがに知れ渡っていない。世の中に出回る多くのキャンピングカーは、乗用車では当たり前の集中ドアロックが付いていなかったり、外部バゲッジドアの鍵がそれぞれ違っていて、たくさんの鍵が必要になるなど様々なことがあり得るのだ。

それでは不便さがつのるので、バンテックのキャブコンではエントランスドアをセキュリティ集中ドアロックとし、最も開け閉めする可能性の多い部分で激的に使い勝手を高めている。

さて、そもそも乗用車には今や当たり前の集中ドアロックとは何かと言えば、乗降用のドア全部とトランクやリヤゲートのキーロックがリモコンで施錠開錠が行なえるというもの。さらに開錠していずれのドアも開けなかった場合、大抵30秒ほどで再度ドアロックが全てに施錠されるという仕組みになっている。便利であることは間違いない。

キャブコンにおいては、この場合トヨタ・カムロードを指すのだが、ベース車両のリモコンドアロックは乗用車同様のシステムが組み込まれる。いわゆるフロントシートの両側ドアがそれにあたる。

多くのユーザーはさらに便利に乗降したいと考え、エントランスドアにもリモコン開閉の、アクチュエーターと呼ばれるシステムなどをベース車両のロックに連動して動くよう組み込むことが多いのだが、これは単純に施錠開錠だけができるもので、ベース車両のドア開閉とは連動しないことがほとんど。

この時何が起こるかといえば、まずロックされているキャンピングカーがあったとしてそれをリモコンで開錠。エントランスドアから乗り込んでサッと用を済ませエントランスドアを閉めて降車する。ところがこの状態ではエントランスドアの開閉はベース車両のシステムでは開閉を認知していないので、大体30秒ほどでエントランスドアも含めロックされてしまう。この状態に陥ったとき車内にリモコンを忘れていると、インロックされ大変なことになってしまうというわけ。

そこでバンテックのキャブコンでは、エントランスドアの開閉もベース車両のフロントドア2枚同様開閉をシステムに認識させることにより、上記のようにロック解除した場合にエントランスドアからの乗降があったら自動でロックがかかることがないようになっているのだ。乗用車からみれば当たり前のシステムなのだが、ちょっと特殊なキャンピングカーのエントランスのロックシステムにとってはかなり導入には難しい部分があったりもするのである。

余談だが、2重ロックなどを持つエントランスドアが多く、その鍵の材質上の問題から鍵そのものの磨耗や破損が意外と起きやすいウィークポイントがあるのだが、これは何十年にもわたって改善されることがない。その理由は未だ不明ではあるが、現物の鍵ではなく安心してリモコンで施錠解錠できるということは、脆弱な鍵を曲げたり折ってしまったりというリスクを極力避けられるという点でも、バンテックが採用するセキュリティ集中ドアロックは有効な手段なのだ。

関連リンク:後悔しないキャンピングカー選び

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主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com