【第101回】全長6.7m、ついに始動した国産大型モーターホームの概要


日本には優れたキャンピングカー専用シャシーがあり、それはカムロードと呼ばれキャンピングカー、特に国産のキャブコンというスタイルで人気を得ているのは承知の通り。ただこのシャシーは架装重量が1.5トン積みであり、ホイールベースの短さからくる最大寸法とボリュームが現在のキャブコンの形状でイッパイだ。

そのサイズ的・重量的問題を克服するため、過去にはトヨタ・グランドハイエースやベンツ・スプリンターなどが次世代モーターホームのキャンピングカー用シャシーとして登場したものの、排ガス規制やそのほかの問題で現在は姿を消してしまっている。

そんな状況の中かなり前からバンテックが目をつけていたのが、フィアット・デュカトである。この車は、今やヨーロッパにおけるキャンピングカーシャシーとして独り勝ちの様子を見せているくらい普及しているもので、日本で国産モーターホームを作る場合にもサイズ的に適したものになることは明らかだった。

‘18年のジャパンキャンピングカーショーにおいて特設壇上に設置されたのはV670と銘打たれた、マイクロバスベースセミフルコンのベガの後継車にあたるモデルであり、明らかに今後のバンテックラインナップのフラッグシップになるモデルである。

その開発コンセプトは存在感&調和だといい、例えば乗用車で言えば「いつかはクラウン」のようなワンランク上の製品、ステータスが上がって乗る人のモチベーションも上がる、そんな存在感を感じるモノを追求したようだ。そのこだわりは、後ろ回りの灯火類やバゲッジドアの作製などを見ると良く分かる。

またデザイナー的には、ヨーロッパやアジアでも勝負できるものであることを目指しているところがあり、インテリアには和(日本)テイストを盛り込み、国内で作り上げることに主眼を置いている。意匠、仕上げ、品質、それらすべてが融合し、美しさや存在感があり、なお日本独自のテイストが周囲と一致し、調和する。現代の日本における工業製品の共通する価値観なのではないか、それが世界で残っていく製品作りなのではないかとも語っていた。

シャシーを含めデザインを優先した結果こともあり、室内容積は車体の割にけして大きくはないが、室内レイアウトや家具でそれを感じさせない。外装に関しても、他のモデルで標準装備されていることもあるソーラーパネルやサイドオーニングの装備は、ユーザーに選択肢を提供するという考えで、オプション装備に回された。

また発表されたモデルのサンプルレイアウトではプルダンベッドの装備がないが、フロントシート回転対座機能を生かした「日本ならではのファミリー仕様」ということで6名でくつろげるリビングスペースの開発に重点を置くという。

外観的ボディーワークは、すでに完成しているFRPシェルは変更されないものの、内装は完成車とは大きく違って発売されるであろうことは分かった。そこで問題になるのはシャシーである。

フィアットは1年前デュカトの日本へのバンタイプの発売を表明したが、結果的には現時点で実現できていない。そんなこともありフィアット系列のシャシーと思われている部分がそこここで聞こえているが、実はそうではない。

下に潜って見るとすぐ理解できるのだが、キャブ直後で断ち切られたシャシーには上下様々な高さで延長シャシーを設定できる俗に言う「引きずりシャシー」形状であること、そもそも電着ペイントではなくドブ漬け亜鉛メッキ製であること、このことから導き出される答えは欧州・北米でも有名なアルコ社のものであることである。実際、このシャシーは今後車検証の車体番号がアルコのものになると予想される。

GVWR(最大車体総重量)の設定はなんと4500kgと大きめのものが現時点ではチョイスされ、ホイールベースは4000mm。足周りは3段階の中からこの設定が選ばれ、重量配分を事前に計算し、考慮したうえでホイールベースも決定された。フロア高が最上部に設定されているのも、ドロップダウンした状態での利点が、デザイン的にも、機能的にもV670において見出せなかったからである。

これらの寸法やキャパシティを見るだけでも、カムロードベースでは実現し得ない別次元の国産モーターホームを作り上げられることが理解できるはずだ。

最後部はドロップダウンされ、バゲッジの収納力をタップリ確保している。トレッドは極端に拡大することなく車幅では2.2~2.3mにおさえ、日本のワダチでも走行しやすいものとしている。

そもそもデュカトは世界保証されている車両であるが、それは基本的に正規輸入されている場合。そのためバンテックではこの車両を導入するにあたり、まずメンテナンスで一番最初に必要になる高額のダイアグテスターを多数導入し、取扱いディーラーへの貸し出し・勉強会を念頭において現在作業中。パーツにおいてはストックしバンテックから配布する体制を準備中。

この手法は、過去にバンテックがヒュンダイ・SRXを独自に輸入しベース車両として導入したものと同様でありそのノウハウもある。車両保証という点では2年を予定していて、足周りやエンジンなどの重要部品は5年か総走行距離での設定にしようと模索中だ。

最終的にはバンテック自ら排ガスやブレーキのテストを行い、3.5トン未満の車両総重量で完成車を作る予定だということなので、車体そのものも含め相当に余裕のあるモーターホームに仕上がることは明白だ。

いまだ最終形は発表されてはいないものの、新機軸として車両を集中コントロールできるコンピューターシステムや、新しい冷房の方法なども採用される見込み。これからも開発状況から目が離せないのはいうまでもない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第100回】車内の靴の整理に困っていたら、吊り下げ式のオーガナイザーが便利


日本では、キャンピングカーの車内に靴を脱いで入るのが一般的だ。そのため脱いだ靴を置く場所が必要になる。

 人数の多い家族だったりすると6、7人分の靴となりエントランスドアの下が靴だらけで足の踏み場がなくなることはよくある。

 キャブコンなどでシューズボックスを装備する車もあるが、大人数になると靴の出し入れが面倒になる。

 さらにバンコンや軽キャンパーなどではスペースが限られているために靴を置く場所、収納する場所がほとんどない。

 そこで役に立つのが壁掛け式の「Camp-4シューズオガナイザー」だ。靴を収納するポケットが10か所あり計10足の靴を収納できる。それぞれ分かれたポケットごとに靴を入れるから出し入れしやすい上に、自分の靴かどうかの見分けもすぐにつく。しかも壁掛けなので、場所を取らずスマートに収納できる。

 正面にはファスナーで開閉できるカバーが付いていて、カバーを下ろせば中の靴は見えないから見た目もスッキリ。

 カバーをした状態でも通気が保たれ、内部が蒸れないように、換気穴が付いているなど細かいところも行き届いている。

キャンピングカーパーツ ♯919239 Camp-4 シューズオーガナイザー

吊り下げ式なので、フックを取り付ける場所があれば車内のどこにでも設置ができるのがいい。使わないときは丸めて収納しておけるので邪魔にならない。

 また、靴入れとしてつかうだけでなく、小物入れとしてなどアイデア次第で靴以外の収納に使うこともできる。

 車内で置き場所に困るテレビやエアコンなどのリモコンや、鍵の置き場所などにしてもいいだろう。

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アクセサリー
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価格:7,560円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第99回】キャンピングカーを手にしてどこに行こう


バンテックが発行する、キャンピングカーのための教則本をベースに進めてきたこのコラムにおけるシリーズも今回で最終回。その集大成はキャンピングカーの車としての話ではない。

キャンピングカーを手に入れたその先、「何をするか?」がイメージできない人も多いようだ。どうやらそれは、それまでにキャンプという生活スタイルが身に付いていなかったり、通常の旅行の移動手段を置き換えたりだけだったりすることによるものかもしれない。

ただキャンピングカーの可能性は色々で、単にキャンプに使うだけでなく旅グルマとして利用してもかなり有効。というよりそれを利用しない手はないのではとすら思えてならない。乗用車として利用するだけでも快適だけど、もっと積極的にそれを使いこなしてみてはいかがだろうか。

キャンピングカーで旅をする時、まず第一にいつでも家族がみんなで寝られるということが大きな利点だが、高速移動中のサービスエリアや街道沿いの道の駅、そういった公共的施設を利用するのがごく一般的だし誰しもの頭にも浮かぶことだろう。

とにかくキャンピングカーの楽しさを知るためには、積極的に表に乗り出すことが大事。もちろんそこには家族の安全だったりプライバシーの確保だったり、もちろんリーズナブルでコンフォータブルでフレキシブルであることも重要。

そんな都合のいい施設が世の中にあるのか…、あるのだ。それはここ最近急激に施設数を増やしている「RVパーク」である。これは日本RV協会が運営するくるま旅の中で発展し続けているシステムで、バンテックにも京都店横に1つ施設を設けている。写真はその風景。

利用に際しては色々制約がある。その大きなものは宿泊用のテントは張れない、屋外での火を使った調理はできないなどであるが、予約はほとんどのところがインターネットを通しウェブ予約できたり、当日電話受付である。ということはスマホ1つで事足りるわけだ。

もちろん入退場時間などの制約も、普通のキャンプ場利用などに比べたらかなり自由度が高く、利用料金も1000~2000円。これで管理された場所での安全な就寝スペースが確保でき、通行者からの目にさらされることもほとんどなくなりプライバシー的にも安心。

キャンピングカーだけでなく、乗用車、ミニバンのようなものでの車中泊で利用することも十分快適であり、サイドオーニングやサイドテントの利用は可能である。もちろんそのスペースは施設側に必ず用意されているのである。

そもそも施設を設置する要件として、24時間使えるトイレやゴミ処理施設、水が使える流し等の設置が含まれているので、利用料金内でそれらを活用することができる。特にゴミの処理が可能なのは、車で旅しているときに大きなメリットだろう。

場合によっては入浴施設が併設されていたりコインシャワーなどを設置していることも多く、もちろん周辺に温泉施設があるなどの条件を満たしているところが多く、さっぱりして生活を続けることができるのだ。

ほとんどのRVパークには、時間制の電気を供給できるスタンドが確保され、サブバッテリーの充電やタップリの電力での調理などができるのも利点。写真のようなスタンドがない場合でも、施設の基準に電源供給が含まれているので、料金体系は別にはなるが必ず利用できるはずだ。

いかがだろうか、このような施設が全国にすでに100箇所以上用意され、中にはかなり街中の繁華街に隣接するような施設もある。前述のバンテック京都店などは、それこそ京都見物をするのに絶好の位置だし、歩いてすぐのところにコンビニがあり街道にはファミレスや居酒屋、スーパーなどもあるのだ。泊まってみると快適すぎると思うくらいである。

もちろん野趣タップリのような施設もあるので、いきなりエキスパート的なキャンプを始める前に体を慣らすような気分で、全国に点在するそのような施設めぐりから始めてみてはいかがだろうか。何度かやっているうちに、キャンピングカーの快適性や使う楽しさがドンドン増してくるのを理解できるはずだよ。

くるま旅RVパーク
http://www.kurumatabi.com/rvpark/

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第98回】ロングセラーを続けたS-4から新たなウインドウD-Luxへ


キャンピングカーのウインドウには採光、換気、断熱など高い性能が要求される。これまでキャブコンなどでは、ドメティックのS-4ウインドウが主流だったが、あらたにD-Lux(ディーラックス)が登場し、新しい車に次々と採用されている。

 D-Luxの特徴のひとつはフラットパネルデザインにより凹凸がなく、ボディとの一体感が高いところ。じっさい、車両に装備されたウインドウをみると、フレームとボディ面が同じ位置にあってフラットに見え、車のデザインを損なうことがない。アクリル二重窓部分も外側に出っ張っていない。

 S-4でも評価の高かった断熱特性はさらに向上し、車外からの暑さ、寒さを防ぎ、車内の結露も防止してくれる。

 操作の部分でも進化をしており、ウインドウの開閉部分にはステンレス製の無段階ステーを採用。ウインドウを開けるとステーによって固定位置が無段階で調節できる。

 また車内側にはシェードと網戸がついているが、そのどちらもが無段階で操作可能。これまでのように決まった位置でしか固定できない、ということはなくなった。

 さらに軽量化と耐久性を向上していて、これからますます採用されていくことが見込まれるウインドウである。

 ウインドウのサイズ表記はボディカット寸法となっているので、注文する際には取り付け場所のサイズをよく確認すること。

 サイズは、全11種類。サイズ、価格について詳しくはキャンピングカーパーツセンターのウェブサイトをチェック。

 適合壁厚は35~43㎜前後。アウターフレーム色は、ライトグレー。インナーフレーム色は、クリームとなっている。

キャンピングカーパーツ ♯032072 SEITZ 押出ウィンド D-Lux 500×300キャンピングカーパーツ ♯032072 SEITZ 押出ウィンド D-Lux 500×300

ウインドウ
♯032072 SEITZ 押出ウィンド D-Lux 500×300
価格:43,200円

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第97回】国産キャブコンの可能性を高めたノーブルシート


国産キャンピングカー、モーターホームの主流はカムロードをベースにしたモデルといって間違いはない。カムロードはキャンピングカー専用シャシーだけありその利点は数知れないが、普通に作るとどうしても煮詰めきれない部分があった。

その1つが、運転席直後のキャブ段差部分のスペースを有効に活かしきれないこと。さらに、構造的にキャンプ中にフロントシート部分のスペースもうまく利用できないということも起こってしまっていた。

そういった問題を解決するために編み出されたのがノーブルシートで、走行時には折りたたんでコンパクトなシートになり、キャンプ中にはフロントシートを前に倒すことによって出来るスペースに前方スライド、足元も広々としたリクライニングソファとして利用できるようにした。

もちろんそれら操作は、キャンピングシェル側からすべて簡単に行なえるようフロントシートリクライニングレバーを拡張し、バンク下に新たなケーブルが増設されているので、たとえ雨の日であっても外に出る必要もなく濡れることなくシートアレンジを完了することができる。

またこのセカンドシートになる部分は、フロントシート側からも折りたたみ作業ができるように設計されているので、移動するときにサッと片付けることもでき、キャンプ・運転時での利用のしやすさに十分配慮されているのである。

極論を言えばこの機能は、限られたキャブコンのスペースを最大限有効活用させる、とにかくリヤに位置する固定ベッドを広く保ちたいというレイアウト上の目的から生み出されたアイデア。おかげで、寝心地の良いクイーンサイズのベッドが設けられたわけだが、ベッドマットをわざわざ縦方向にセパレート化し横に寝ている人の寝返りの影響が出なくしたり、徹底的に寝心地にこだわったスプリング機構を組み込んでいるのも、ノーブルがこだわりを見せている部分でもあるのだ。

そして注目すべき点は、バンクベッドとの位置関係である。通常バンクベッドは就寝定員を確保するという点から、キャンピングシェル後方側へグッと延長させ利用する機構が取られることが多い。しかしノーブルの場合はすでにリヤに広大な就寝スペースがあるためそういったことをあえて行なう必要が少ない。

結果として、バンクベッドで誰かが就寝中であっても、前方にスライドし設置したノーブルシートで普通に座ってくつろげるヘッドクリアランスが確保されている。この使い勝手は少し長めのキャンプをすると有り難さを実感すると思う。なにしろ、ベッド状態のままのバンクベッドであっても手間なくそのまま移動もできるしくつろぐこともできるのだから。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com