【第29回】より身近なキャブコンとして登場したアトム


ライトトラックをベースにしたキャブコンは日本ならではのサイズ感である。1ボックスより広々とした空間や天井高がある、それでいてリーズナブルで維持費も安いこともあり、高い人気を維持してきた。

そんななか'00年に登場したアトムは、サイズ的には三菱デリカトラックをベースにしたJB-470やトヨタライトエースベースの480に続くコンパクトなボディサイズでありながらパネル工法を採用し、量産化のメリットとコストダウンを図ったモデルとなった。

ベースはライトエース、タウンエースどちらも選べた。もちろんそのリーズナブルさを前面に出したコンセプトは広く受け入れられ、爆発的ヒットに。

あまり知られてはいない話だが、このベース車両はトヨタのキャンピングカー専用設定車種であり、確かそれが最初に導入されたモデルだったはずだ。

驚くのは量産化メリットを最大限に生かし、当初から1車種でレイアウトを8タイプ用意していたことだ。リヤエントランス、フロントエントランス、リヤ常設2段ベッドと、あらゆるユーザー層を取り込めるラインナップだったのだ。

バンテック キャンピングカー ATOM

現在の各種サイズキャブコンが、レイアウトタイプを絞っているのと比べ、いかに大量に市場に展開していったのかが分かるところでもある。しかもその後、パワフルなリヤダブルタイヤトラックのヒュンダイSRXベースまで登場し、ラインアップ拡充はとどまるところを知らなかった。

ただリーズナブルさを前面に押し出していたため、現代のキャブコンのようにフル装備、いってみればジルほどの充実した装備群は望めなかった。もちろんそこには、耐荷重重量の問題も大きかったに違いない。何しろ、ベース車両サイズに対してキャンピングシェルがちょっと大きく、バランスを考慮すると完全な納得が得られるわけではない印象があった。

バンテック キャンピングカー ATOM

アトムはその後、ベース車両を日産バネットに変更しそれまでの問題点を洗い直した。現在バンテックにはこのライトトラックベースのキャブコンが存在しないものの、どうやら準備は着々と進んでいるようなので、近々、目にすることになるはずだ。後継モデルの出来映えがかなり気になるところである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第28回】くすんだFRPボディにツヤと輝きが戻る!


キャブコンなど背の高いキャンピングカーだと駐車しているのは屋外駐車場が多いのではないだろうか。そうなると外装は一年中紫外線を浴びることになり、さらに雨が降れば、いわゆるバーコード汚れがボディに付く。サイズが大きいので洗車も大変だ。

キャブコンなどのキャンピングカーのボディ外装部分に使われているFRP。Fiber-Reinforced Plasticsの略で、強化プラスチックのことだが、その表面はゲルコートと呼ばれる耐久性に優れた強い被膜で覆われている。しかし紫外線による影響や雨にさらされることで表面がくすんだり、黒いカビ汚れなどが付いて、洗車しても落ちにくくなることがある。

そうなったらFRP専用の洗浄&ワックスがおすすめだ。新車登録後、3~5年経過しているクルマが対象になる洗浄&ワックスで、FRP表面を指でなぞるとガサガサしてツヤのない状態だったり、カーシャンプーでは取れなくなった汚れが付いていても簡単に落とすことができる。

磨き用のコンパウンドと特殊なつや出しワックスが配合してあり、ゲルコート面の汚れ、しみ、サビ、色あせ部分を取り除く。

まずはFRP表面を水洗い。水分を拭き取ったら、リストアー&ワックスをスポンジに適量取って、ワックスがけと同じようにボディ全体にムラにならないように伸ばしていく。カビや水アカなど汚れがひどいところは力を入れて磨けば面白いように汚れが落ちていく。

ワックスがけが終わったら、最後にきれいなウエスでワックスを拭き取ればOK。拭き取っていくそばから、FRP表面にツヤが戻っていくのが分かるだろう。

ちなみに新車登録後3年未満で軽い汚れには「FRP用クリーナー&ワックス(1,404円)」を使用する。

キャンピングカーパーツ FRP用リストアー&ワックス

ワックス
♯103014 FRP用リストアー&ワックス
価格:1,404円(税込)
内容量:473ml

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第26回】DC12V、AC100V、そしてカセットガスでも駆動する3ウェイタイプの冷蔵庫


車中泊をするなら冷蔵庫があると便利だ。冷えた飲み物や食材を運ぶのはもちろん、旅先で見つけた要冷蔵のお土産を買って帰ることができる。

車内で自炊をしながら旅をしている人ならば、たとえば市場で買った新鮮な魚貝類を保存しておくことができて便利だ。

おいしそうな刺身を見つけたら迷わず購入でき、旅行中の食生活のグレードが上がるので、食にこだわる人にとって冷蔵庫は必需品といえる。

なかにはクーラーボックスで代用している人もいるだろうが、旅が何日も続くとそのたびに氷を買うのは面倒だし、水になった氷も始末しなければならない。

3ウェイ冷蔵庫 RC1602EGCは、庫内容量が33Lあり、2Lのペットボトルを縦に8本収納することができる。フタを閉じればテーブル代わりにもなって便利に使える。
ボディは耐久性の高いスチールキャビネット製。スクエアな形状ででっぱりがないので車にも積み降ろししやすい。

そしてなによりの特徴は、3ウェイ冷蔵庫ということである。キャンプ場などで電源が取れるところはAC100V、車内ではDC12V、そしてアウトドアではカセットガスとシチュエーションに合わせて動力を選べるのが3ウェイ冷蔵庫の強みだ。

電気がなくてもカセットガスで駆動するからいざという災害時にも使える。

本体上部に温度調整のツマミがあり、背面にカセットガスをセットすることができる。定格消費電力は75W(AC100V、DC12V)。カセットガスでは10.5g/hを消費するので、1本でほぼ24時間使用できる。

キャンピングカー用 3ウェイ冷蔵庫 RC1602EGCキャンピングカー用 3ウェイ冷蔵庫 RC1602EGC

ポータブル冷蔵庫
♯162055 3ウェイ冷蔵庫 RC1602EGC
価格:49,680円(税込)
サイズ:500×440×440mm(外寸)
重量:16㎏

 

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第25回】シンプルなボディワークで普及版として登場したレオ


ベガやジルの成功を受け、当時のフルサイズ国産キャブコンはますます多機能で充実装備を目指していく方向に動いていった。そして'00年には、ベース車両として安定感のでてきたカムロードをベースに、普及版を狙ったと思われるレオが投入された。

その当時の価格を見てみると、ジルは567万円。ライトキャブコンで格下シャシーのタウンエースベースであるJB-490が448万円。レオは473万円で、サイドオーニング、FF暖房、カセットトイレなど装備群もおごられ、コストパフォーマンスの高いモデルであった。

正直言えば、やはりキャブコン単体価格が500万円を突破していることが「高い」というイメージにつながってしまう時代であり、ある意味販売戦略的な要素が強いモデルだったのかもしれない。何しろ日本はデフレの真っ只中だったのだ。

バンテック キャンピングカー レオ

コストを抑えられたのは、一にも二にもコーチ部ボディーワークとしてそれまでバンテックがJB-500以来こだわっていたFRP成型ではなく、初めてパネル工法を採用したことが大きい。そのため見た目が普通というかいかにも普及版、デザインで頑張って価格が上がることすら回避したであろうと想像できた。

もちろんこの製造方法を採用する背景には、工期の短縮化や製造設備の簡素化が見込まれる。だからこそ世界中で採用され、リーズナブルなモデルが登場してくる手法として採用されているのだ。

バンテック キャンピングカー レオ

ボディサイズは全長5m未満に抑えられてはいるが、車幅はなんと2.08m。レイアウトは当時定番中の定番の、サイドソファのあるダイネットという構成。ジルとの違いは、左右が反転していることで、使い勝手という点では好みによるところが大きいだろう。

室内に入ると、ボディ形状や幅からくるものか、かなり広さを感じた。バンクベッドのヘッドクリアランスがたっぷりなのも、実用性で言えば相当優位。大型の清水タンクや排水タンクの装備なども含め、外観デザインよりも使い勝手を優先したことは明らかだ。

バンテック キャンピングカー レオ

バンクベッドは前部が持ち上がっていることもあって本当に広い。’02年にモデルチェンジしたときにはルーフがフロントにスラントする形状に変更され、そのイメージが若干変わった。そのほかは基本的に同じだ。さらにモデルチェンジと同時にバンクスが追加された。

このバンクスというグレードは現在発売されているモデルにも登場する名前だが、大雑把に言えば、さらに普及版を目指し、装備を簡略化したモデル。当然その分車両重量も軽くなるので、当時のノンターボディーゼルエンジンでも、軽量に作りやすいパネル工法と相まって、エンジンの非力さがストレスになることが避けられた。ちなみに当時の5Lエンジンは、排気量2985㏄、出力91馬力、トルク19.5㎏mであった。

パネル工法はその後、アトムにも採用されていくのだが、現在のキャブコンのラインナップには存在しておらず、今後ふたたび採用されるかどうかは分からない。今になってみれば、かなり思い切った模索だったのだろうと思う。そして販売期間が短かったのは、ユーザー層がバンテックらしいデザインを望んだ結果なのかもしれない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第24回】ポンピングして空気を圧縮 簡易水洗式のポータブルトイレ


たとえば車中泊をしていて、夜中にトイレに行きたくなったとき。そして雨が降っているとき。冬場で寒いとき。いずれも車から出たくないというシチュエーションだが、そんなときにトイレが車内にあると便利だ。

日本のキャンピングカーのトイレは大きく分けて2タイプあり、ひとつが国産キャブコンなどに装備されている車内に固定されたカセットトイレ。

もうひとつがバンコンをはじめとしてミニバンでも積めるポータブルタイプだ。もちろんキャブコンに積んで使ってもかまわない。

ポータブルタイプは上部に清水タンク、下部に汚水タンクがあって上下に2分割できる構造になっている。あらかじめ清水タンクには便器への汚れ付着防止に洗浄剤、汚物タンクには消臭材を投入して使う。

今回紹介するポータブルトイレは上部の清水タンクに水を入れ、ハンドポンプをポンピングすることで空気を圧縮。タンクの中の水を高水圧で流すことができる簡易水洗タイプだ。清水タンクの容量は8.7Lあって、最大で26回の水洗ができる。

下部の汚物タンクは容量9.8L。溜まった汚物は家のトイレなどに流して処理するのだがその際に汚物タンクの排出口の筒を外側に向けることができるので、ハネ返りなしで処理ができる。

サニポッティー972よりも汚物タンクの大きなサニポッティー976という商品もあり、こちらは汚水タンクがほぼ倍の18.9Lある。大きなタンクのほうが、汚物を捨てる回数は少なくなるので便利だが、その反面、タンクが重たくなるので、持ち運びが大変になる。小さなタンクでマメに処理をするというのも選択肢のひとつだ。

キャンピングカー用ポータブルトイレ サニポッティー972 9.8L

ポータブルトイレ 144064 サニポッティー972
価格:16,200円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp