カムロードが登場し、それをベースにしたジルも大人気モデルとなったが、当時のカムロードはノンターボのディーゼルエンジンであり、登坂車線を走らざるをえないこともままあった。走りという意味ではかなりストレスが溜まっていたのかも知れない。そんな不満を晴らすように’99年には許容架重重量が大きないすゞ・エルフをベースにしたクルーズが登場した。
リヤダブルタイヤによる架重に対する余裕があり、キャンプグッズを満載してもへこたれない。重量物となる水を満載していても、不整路面をものともしないのには驚かされた。パワーがあるので乗り心地と走破性のどちらを優先するかが悩ましい時代に突入したのを覚えている。
現行モデルにもジルクルーズは存在するが、ベースになっている520の前後左右バランスがよく、スムーズな走りはそのままに、さらにパワフルでしっかりした車体感を持つモデルに昇華され、乗り心地といった面でもかなり改善されたように思える。
室内はジル同様、引き出して広々使える巨大なバンクベッドを持ち、右サイドソファというレイアウトもそのまま継承。装備的にも大きな違いはなく、車体そのものに余裕ができた分、オプションなどで重量を気にせず装着できるといったメリットが際立った。
ダイネット空間は、ジル同様全面ベッド展開が可能。マットの境目のフラット感も高く、バンクと合わせると余裕で大家族に対応できた。対面ダイネットを展開せず、掘りごたつ状態で利用するのがユーザー層に定着したのもこの頃である。
天井を見てみると、現行にも続く曲線を取り込んだ意匠が見て取れる。まだ間接照明や、LEDライトは未装備。今だと当たり前のように装着される高性能ルーフベンチレーターがダイネット上部にないあたりに、価格と快適性をユーザー側が計りかねているのを感じる。
現代では、ベンチレーターはおろかセパレートエアコンを装備するのがこのクラスでは当たり前になってきて、時代差を感じる。