【第192回】台風一過、灯りと暖房を考える、続いたっ! その2


前回は超有名ブランド品の格安コピー品、コレを使ってランタンを暖房としても使えるかも?というところまで話をした。そして今回は、同時にネット通販でポチッとしてしまった暖房器具、石油ストーブがほぼ2週間遅れで到着。イヤァ、香港発送だったようだが、きっとイロイロあったのではないかと推測。

購入商品は、いわゆるウィックと呼ばれる芯が一般的な石油ストーブの筒状のものではなく、まさに紐というか編みが甘い出来上がりの緩いロープ。開封直後ツッコミ所満載だったのだが、今回は商品説明では無いのでその辺りは割愛。いやぁ、笑う笑う。前回のランタン 同様、中華製品を買う醍醐味満載。

個人的に必要だったのは、そもそも本体ではなく燃焼部分の筒。まがいなりにも石油ストーブとして売っているのだから、それなりにパーツは使えるのではと想像したのだ。と言うより、パーツを自分で加工するのが結構面倒かもと考えたからでもある。

なぜ手間を惜しんでしまったかは、その驚きの購入価格。海外からやって来るのに、送料込み1500円ほど。この価格では、有名ランタン・バーナーメーカーのホワイトガソリンストーブに乗せるアタッチメントも購入できない、だろう、たぶん…。

コレを前出のランタンにアタッチメントとして取り付け、暖か赤外線を発するアタッチメントとして使おうという算段なのである。どこに取り付けるかと言えば、燃焼部分のマントルを下から多少覆うように高さを合わせて載せる感じになるはずだ。

そこはともかく、早速灯油を入れ燃焼テストをしてみると、意外にきれいに燃焼する。炎を覗いてみると、結構ガス化もうまくいっているようで、青い炎が立ち上がっているのが見える。

ウゥーミュ、悩み所だ。なぜなら、このストーブものすごい小型で持ち歩きも苦にならないサイズ、比較的熱量がありそうに思えるので、テントサイトでのパーソナルストーブに良さそうだと感じたから。

こうなると、次回が続くのかどうかが問題だ。ちなみに前回購入したアンカー製石油ランタンは、案の定まだ綺麗に燃焼させる事ができていない。正直結構慣らし運転をしないと安定しない模様が手に取るようにわかる。その理由は多々ありそうだが、そこは割愛。

ちなみり、そのランタン に灯油を投入し一回燃焼テストをした直後、タンク内の燃料を抜き取ってみると、ご覧の通り汚れと錆が面白いようにガンガン出てくる。有色ではあるが透き通った灯油が、なんだか白濁している。

こういう事が無くなるまで慣らし運転をしないと、安定した燃焼は望めないのだろうな、とは思った。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第190回】台風一過、灯りと暖房を考える、たぶんその1


ほぼ毎月、千葉スタートで国道6号をひた走り仙台を越えることがある。そして今年目にしたものは、15号と19号の惨状の数々。そしてこれを書いている今、実は前日に長野県の赤沼国道18号を走っていて、11月になってもあまりの状況に絶句、本当に新幹線が…。被災に見舞われた皆様には、1日も早い日常生活に戻れるよう願っております。

災害多発国家になってしまったのではないかとさえ思えるここ10年以上、いつも頭をよぎるのは、仕事でやっているキャンプの要素が災害時に非常に役立つのではないかということ。もちろん色々なメディアでそういうことを多少なりでも誰かの役に立てばと発信は続けている。その時思うのは、灯りと暖房だ。

そこで今回もちょっとよぎったことがあり、今まで手に入れたことがなかった石油ランタンを急遽手に入れてみた。なぜ石油なのかと言えば、カセットガスやホワイトガソリンと比較し、災害時に灯油が圧倒的に手に入れやすく、普段の貯蔵も簡単で安全だから。

購入先は言わずと知れたネット通販で、モデルの元になっている正規輸入品ではなく、どういうわけでほぼ全く同じものが生産されているのかわからない商品。お値段の方は驚異の6000円と激安、どうやって作っているのだろう…。ただ、その歴史は半世紀以上生活している私の年齢より長いとは思われるので、今更ライセンスとかそういった問題はないのだろう…とは思う。

開封して一番驚いたのは、気化するために必要なジェネレーター部分の取り付け鉛パッキンがグニョーッと潰れてはみ出している上、なんとまともに閉まっていなくてグラグラ。加圧式でこの状態は非常にマズいと思われ、購入したら絶対に確かめておきたいところ。

昨年も石油ストーブを中国から発送してもらったものがあったが、こちらも作りっぱなしのかなりいい加減な仕上がりだった。ある意味、中国から来る物の醍醐味かとも思っているので、笑いをこらえながら整備を進めることに。

と言うより、外使用限定のものではあるが自分で整備し育てるタイプの道具だと言うことを念頭に、構造も理解できるので整備をすることをお勧めする。

この手の旧いタイプのポンプには、パッキンが革を使っていることが多い。当然この革は乾ききっているので、身の回りにあったサラダオイルやらオリーブオイルに何時間も浸ししっとりしたところで組み付けポンピング。ダメである、圧力計が動く気配がない。

当然バラす。そして掃除しどうやら動くようになった。この手のランタンは、バルブを閉めても完全に締め切ることができない構造のようなので、消火するときは内圧を抜く必要があるので、内部圧力が見れる圧力計は重要なパーツなのだ。

とまあどうやら不具合はなさそうに思ったのだが、外観をじっくり観察してみるとなんだか形状がおかしい、斜めになっているよう。完全には治せないとは思うが、外せるところは全部外して組み直すことを決意。そこで重大なことに直面! タンク内のサビである。

新品のため内部は防錆用になんらかのオイルが流された形跡、ニオイはあるが、どうしてこんな事になってしまっているのだろうという疑問は拭えない。表面にサビは出ていないのに。

サビの還元剤でもブチ込もうか、それともビスやらワッシャーを入れシェイクし洗い落そうかとも思ったが、そこまでは酷くないのであって欲しいという希望とともに、しばらくはそのまま使ってみようと思う。サビが落ちてきて吸い込めば、それが詰まって悪さをする可能性は非常に高いのだが、それを整備時期と見なせばいいわけだ。育てる楽しみとしておくことにする。

そして使ってみる。とりあえず燃焼は問題なかったが、収納方法をどうしようかと悩む。意外と大きいので収まりが悪いし、ガタつくと簡単にホヤが割れそうだし、ということでもともと入っていた段ボール箱にカッティングシートを貼り付け少し強化しケースに仕立てた。

元モデルには正規品の立派なケースがあるのだが、そのケース代がすでに本体よりはるかに高い。また今回は初期動作確認だけだったのだが、今後は小型屋外ストーブとして使えるようにしたいという野望もあったので、この程度にとどめておいた。

ちなみに、この手の石油ランタンは明るく白い光を放たせるのに多少のコツがあるように思われ、それが出来るようになると、周囲の人から羨望の眼差しを受けられます、たぶん…。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第182回】夜中でも自動で足もとを照らしてくれる


夜、住宅街を歩いていると突然、パッと明かりが点くことがあります。玄関や裏口などを照らす防犯用の明かりです。人が通るとセンサーの働きで明かりが灯ります。

 その仕組みと同じ照明が、人感センサーライトです。こちらは防犯用ではなくて、キャンピングカーなどの車内で使うもの。

 たとえば夜間にトイレに起きたときに、照明のスイッチを手探りで探す必要はありません。人感センサーライトがあれば、人の動きに反応して明かりが灯ります。

 また夜、外から車内に戻るときに暗い場合がありますね。照明スイッチの類いがエントランスドアの付近にあれば問題ありませんが、遠くにある場合は、こちらもまた手探りでスイッチを探さなければなりません。こんなシチュエーションでも人感センサーライトが活躍します。

 とくにエントランスドアを開けたところのステップ横などに付けておくと、夜間の車内の出入りに不安がありません。

 付け方も簡単で、取り付けたいところにベースプレートを両面テープで貼り付けるだけ。あとはベースプレートに本体を固定すればすぐに使えるようになるので手軽です。

 電源は単4電池3個で面倒な配線いらず。センサーはまわりが明るいと反応しないので、電池の無駄な消耗を防ぎます。

 エントランス、ダイネットなど気になる場所に取り付けることで、夜間に照明スイッチを探すことがなくなります。

♯211129
電池式 人感センサーライト
価格:3,000円

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第181回】灯りからコンロにまで進化させる


手前味噌で申し訳ないが、自分では随分前から細々とブログをやっている。その中で動画なども載せているのだが、結構ビックリの人気なのが植物油のコンロ。しかも日本というより海外での反応が強い。

そんなネタなのだが、懐疑的なコメントも若干ありで困惑する。実験検証しているんだけどなぁ、まあ信じられないよなぁきっと。というわけでそこに到るまでの紆余曲折を紹介すると、当コラムを見てくれて楽しむ人に今後の参考になるかな? と思ってきた。

なぜそんなことを思ったかといえば、当コラムで以前に簡単な灯りを作ってキャンプで楽しむというようなことを書かせてもらった。見ての通り、キャンプサイトのテーブルランプとしてかなり使えるのではないだろうか。

もちろん、簡単に作れるそれら話は当コラム第131・132回の2回にわたって書かせていただいているのでそちらを見てもらうとして、その後の出来事などを綴ってみよう。実際にはほぼ同時進行だったのだけれどね。

灯りとしては、細めの空き缶の底を使い、空気取り入れ口を作ってティッシュペーパーの芯を作り火を点けることで、大きな炎を得ようというものだった。その原理的な部分は、TLUDウッドガスストーブの進化版というつもりだった。2次燃焼を即すというもの。

そしてこの原理でもっと簡単に燃焼部分が作れないかと試作したのが、アルミ缶の残りクズで作った単純なもの。ティッシュペーパー芯に空気取り入れ口を設けたホルダーをハメたもの。芯とホルダーの間にわずかに隙間があるのがキモ。

これら実験でのそこそこの成果を得つつ、その芯をたくさん並べた状況と同じようなものを作って見たらどうなるかと試作した。ホルダーを2重構造にし燃焼部分を増やしたものだが、かなり豪快に燃えるのだが、本体等が異常に熱くなりすぎ、燃料が植物油、いわゆるサラダオイルであったとしても相当危険であることが分かった。天ぷら油での事故って、こうして起こるのだなぁと…。

そして、この段階では燃料となる植物油は外部から供給というか吸い上げるタイプだったことも、なんとなく実用面でいろいろ面倒だなと感じていた。安全面でもかもしれない。そもそも熱量が極端に増えてくるのが問題なのかも。


(画像をクリックすると動画が再生されます)

そこで燃料を内包式にし、ベルヌーイの定理で吸い出しが起きる形状に変更し積極的に2次燃焼ガスが燃えるような形状にしてみると、なんとガス燃焼の青い炎が出るようになった。明るいと見えないけれど、オレンジの炎の根元部分は青い。

ここまでやって頭の動画に戻るわけだが、安定して燃焼するようなので、どうせならサイズを大きくし簡易コンロとして使えないかと工夫したのだ。もちろんこのコンロを使うと、鍋底などにはススが付きまくる。何しろ不完全燃焼を2次燃焼させているのにそれでもまだガス化が足りなかったりなのだ。

とはいえかなり実用的になるので、面白スキルとして身につけておいて損はないかな? キャンプサイトで結構周りの人を驚かすことができます。ただ燃焼臭が相当激しいので、室内ではやらないほうがいい。さらに、10ccほどだろうか、その燃料で30分ほど燃えることも確認している。

薪割り無しの薪にいきなり火をつける焚き火の元火としていかがでしょう? 扇ぐ必要もなく便利、疲れないし簡単、アルミ缶で作った缶が燃えてしまっても悔しくないしね。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第175回】通常の石油ランタンを植物オイル添加で使う Part2


前回に引き続き2回目。前回は植物油で石油ランタンがそのまま使えるかどうかの実験をし、結局は燃焼させ続けることができなかった。写真は、左側が通常の使用にのっとった白灯油を入れたもの。右側は後の検証を始めた最初の燃焼結果。

そもそも当コラムでも、以前植物油でランタンというかキャンドルを燃焼させたことがあるが、あのときの現象から実はすでに結果には気付いていた。それは、植物油は良く燃えるのだが、吸上げの高さが液面からせいぜい3~4センチでないと燃焼に必要な吸い上げ速度がまともに得られないということ。そのため、芯自体が燃えてしまうのだ。

見ての通り、植物油だけでもランタンの芯の高さが液面から相当あっても一応吸い上げてはいる。この段階ですごく惜しい感じ。多分、植物油の粘性がジャマをし吸い上げ速度が間に合わないのだろうと考えた。

そこでやってみたのは、白灯油とのハイブリッドで粘性を落とすこと。まずは3割ほど混ぜて燃焼テストをし
て見る。この段階で芯を調節しなくても連続燃焼が可能になった。それが最初の写真であるが、心なしか炎が小さい。

嬉しいことに、キャンピングカーの中で燃焼させてもあの鼻につく白灯油の燃える臭いが気にならない。コレは実用的かも? と思った瞬間新たな問題に直面した。

それは、芯にカーボンなのだろうか燃えかすがどんどん堆積していくのだ。この状態にいたるまでランタンの大きさにも因るだろうが30分から1時間程度。カーボンは芯を少しひっこめたり出したりすれば落とせるのでどうにかなると言えばそれまでだが、付着している状態ではいかんせん炎が小さい。

その次に試したのが配合率5割ほどのハイブリッド。こうなると相当植物オイルの不完全燃焼なのかなんなのかのカーボン付着はかなり少なくなる。最終的には白灯油7割以上も試してみた。当然結果はどんどん良好になる。

なぁ~んだ、それなら普通に白灯油だけ入れればいいじゃん! と誰しも思うだろう。でもそれがそうではないのです。燃焼だけならそうかもしれないが、7割以上白灯油を混ぜた場合燃焼そのものはほぼ白灯油だけと同じ。そしてここが肝心なのだが、燃焼時に白灯油の鼻につくあのキツイ匂いが発生していない、眼がシバシバする感じもないのだ、キャンピングカーの中で…。

というわけでなぜこんなことを試したかと言えば、最近のキャンピングカーの照明はLEDばやり。電気消費量は少なくなったし調光調色も可能になって嬉しい限りだが、贅沢かもしれないが雰囲気が足りないと思ってしまったのだ。白状します、夜中に優しい灯りの元で美味しいお酒が飲みたいのです。

というわけで、こんなわがままに賛同いただける方、一度試してみてはいかがでしょう。小さいキャンドルなら植物油だけで十分だし、極めて小さめのオモチャのような石油ランタンなら植物油のままでも大丈夫かもしれないですよ。あ、それから、キャンピングカーや車中泊など車内で使うときは、換気に十分注意しましょうね。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com