【第37回】新型カムロードも早々にデリバリー開始した山形工場


連載第35回で落成した工場をざっと紹介したが、今回はその中身について。とにかく中に入ると広く、日本のビルダーで国内最大をうたうだけのことはある。しかも落成時には、すでに生産計画によるライン生産が開始され、製造担当者はてんてこ舞い状態だった。何しろ、一気に生産量を増やす計画だからである。この写真は、工場を入って南側というか右ウイング側に立ったもので、通路一番奥に見える北側壁にベース車両等搬入口がある。

バンテック山形工場バンテック山形工場

まず搬入口を入ると、ラインの右側にタイ工場で製造されたキャンピングシェル部分がズラッと並んでいる。かなりのところまで仕上げられていて、あとはシェルを積載し外装パーツと内部装備艤装を待つだけと行った状態。積載前には入念なチェックがされて、必要な部分には調整も行われる。

バンテック山形工場

キャンピングシェルはタイ工場からコンテナ積みで日本に届くが、それをコンテナから抜き出し、さらにベース車両に載せる作業をするのに必要な移動式専用ジグ。これはバンテックで製作した特工で、細かい作業に適した手動式。実は今回落成した新工場のそばにあった前工場で使用していたものだが、バラすことなく職員で道路をなんとか移動させてきたというエピソードがある。

バンテック山形工場

完成シェル置き場・積載作業場の向かいには、バンテックが製造する車両が丸々入る塗装ブースが完成直前であった。すでに機器類は設置が済んでいて、あとは換気ダクト関連を設置するだけ。

この横に電源、金属加工場が並び、さらに奥に木工作業場と樹脂成型場が続くが、こちらはまだ発注した3D・NC旋盤がまだ来ていなかったりで未完成。

これらの関連作業場の完備具合と、キャンピングシェルはほとんどできあがっている状態で国内に入ってきていることを考え合わせると、今後は一般的なキャブコンだけでなく、違った用途の車両なども手がけるのではないだろうか。その機能は十分に存在していると確信する。

バンテック山形工場バンテック山形工場

ベース車両にキャンピングシェルが載せられると、次に向かうのは艤装を行うエリア。ここは出口に向かって作業がおこなわれるいわゆるライン状態で作業が進んでいく。下回り、室内装備品装着、窓などの外装パーツ装着といった具合。

「ユーザーが一番見たいのはもしかしたらここかも」と思われる場所で、壁内配線の取り回しやシェル構造、装備類の効率的な取り付け方法など、ちょっと知っている人なら1日見ていても興味は尽きないはずだ。

バンテック山形工場

外装やメーカーオプション類が装着されれば完成検査。どの位置もしっかり目視できるよう専用の可動式足場で囲み、徹底的にチェックされる。もちろん小さな傷でも見つけたらきちんとタッチアップし、国産車ならではの高いクオリティを維持する。その作業はルーフ上の普段目につかないところにまで徹底していた。

バンテック山形工場

最初の写真と反対側、車両搬入口方面から艤装エリアを望む。この最も奥の方、建物南東方向に大型シャッターがあり、ここから完成車両は巣立っていく。実はこのライン、工場内だけでなく車両搬入口の前に車両の入れ替えもスムーズにできる巨大なベース車両ストックヤードがあり、完成車搬出口すぐの場所にも、一時保管エリアが広大に用意されている。

誰が見ても製造ラインであるというエリアのほか、裏になるスペースもかなり用意されているのが新工場の面白いところかも。

倉庫だったり検査ができそうな部屋だったり、職員休憩所も用意されているし、パーツなどの移動で使うであろう裏の通路も広く段差がない。本格的な生産が始まったときに、こういったものが活きてくるに違いない。

入庫から出庫まで可能な限り車両を動かさずに完成できる生産ラインになっていて、バンテックの山形工場としては3代目だが、その生産効率と広さ、清潔な環境はこれまでとは比較にならないレベルで圧倒的。メーカーの勢いというか、意気込みを感じずにはいられない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第35回】ついに稼働を始めた、日本最大ファクトリー


バンテックセールスの国内生産拠点は山形にある。その山形で国産キャンピングカーメーカーとしては最大となる施設が稼働を新たに始め、落成式が平成28年10月29日、関係者を集め行われた。

バンテック山形工場 正面

もともとは巨大ショッピングセンターだったが、その広い駐車場の上には高速道路とインターチェンジを作成中で、それが完成すれば車両配送などで有利になる地の利を得ている。建屋は流用ながら、エントランス部などをうまく事務所利用し、すべてが1つにまとまった施設は日本ではなかなか見ることができない。

バンテック山形工場 落成式の様子 バンテック山形工場 落成式の様子

2000坪に及ぶ工場空間とそれによる生産倍増計画が発表され、来賓には全国の販売店だけでなく、世界的巨大パーツメーカーのバイスプレジデントなども招かれ、マスコミも多数駆けつけた。

まだ工場内が完成した状態ではなかったが、整理整頓と清掃は徹底され床も綺麗な状態。これが何を意味するかは、自動車工場を見たことがあれば理解できる。なんとなく、ホンダイズムに近い印象がある。

バンテック山形工場内 全景

もともとの広大な敷地にあった駐車場は、一部高速道路関連施設になってしまったが、それでもまだヤードとしては十分以上の駐車スペースがあり、すでにベース車両が次々と搬入されている最中であった。

バンテック山形工場内 全景 バンテック山形工場 駐車場

まだ工場内には半分も車両が入っていなかったが、キャブコン、1ボックスが別ラインで並列に製作されていくのがよく分かった。天井高にも余裕があるので、製造ラインという点でさらなる発展を見込める。

注文が殺到している人気シリーズがこの工場から製造スピードを急加速させ巣立っていくはずである。製造ラインの部分はまた次回にお見せしようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com