【キャンピングカーコラム バックナンバー第19回】’98年に決定的な定番モデルとなったZiL(2016年8月5日)


1998年になるまで国産キャブコンは専用シャシーがなく、各ビルダーが思い思いのベース車両に架装していた。一方欧米では、キャンピングカーやモーターホームに架装するための専用ベース車両が多数用意され、日本のトラックベースと比較すると走行性能や乗り心地の点で大きく水を開けられていた。

その状況を打開するため、国産のキャンピングカー専用シャシーの登場が切望されていたが、当時の国産コーチビルドによる製造台数の少なさから、なかなか自動車メーカーが手を出さない状況。ジルはそんななか、シャシーメーカーと同時進行で開発されたモーターホームであり、走行テストなども行われて登場した。

シャシー自体はダイナトラックであるが、内容的にはキャンピングカー専用に用意されたもので、このモデルが各キャンピングカービルダーに供給される段になってカムロードという名称が与えられている。主な変更点は足回り、ボディサイズに対応するトレッド幅などである。

Zilダイナベース2

室内レイアウトは右側ソファで、現在のジルに続くバンテックのオリジナル。ボディサイズアップとなった現行でもこのレイアウトが続いているだけあり、まさにド定番中の定番だ。ちなみに当時はこういったシート生地が、世界的にはやっていたのが懐かしい。

実際に走った感じでは、標準幅とワイドトレッドでコーナーリングの安定性というか、ボディの傾きに差が出ていたのが印象的ではあった。

Zilダイナベース3

ジル以前の各社キャブコンのバンクベッドは折り畳み式が多かったが、ジルではスライド量を確保したことにより大人3名が寝られるサイズになったのが驚異的だった。フロアの長いソファをベッド状態にセットし、掘りごたつ状態にしておけばそれだけで家族で普通に就寝できるくらいだ。

Zilダイナベース4

トイレ&シャワールームに大型バゲッジドアを付け、雨の日の濡れモノ収納が楽になった。流石にこの辺りは、欧州のライモから各種パーツを直接輸入販売しているバンテックならではの装備であり面目躍如といったところ。

こうしてみてみると、装備や大きさレイアウトなど今の国産モデルのほとんどにそのコンセプトが引き継がれているのが分かり、この時から本当の国産キャブコン定番モデルが確立したのだと理解できる。 

 

TAMA@MAC

著者:TAMA@MAC

主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。http://www.tamamac.com

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