〜新しい日本のキャブコンレイアウト提案をしたジル・ノーブル 〜


それまでキャブコンといえば2×5mのボディ寸法が定番でした。その理由として月極駐車場に入るサイズ、フェリーなどの乗船料金などがあげられていましたが、本来のキャンピングカーとしての 使い勝手に注目しコンセプトを再構築したしたのがジルノーブルを含めたバンテックハイエンドモデル「ジルシリーズ」です。

約5年ほど前に掲げた新たなコンセプトは、快適で広い就寝スペースの確保とリビングスペースの構築による搭乗人数の確保でした。しかし、それまでのボディサイズではこれらを満たすのは難しく、ベースになるカムロードを利用し最大となる5.2m全長を採用することに決定。その後登場するモデルは、コンパクトを追求したジル480スキップ以外、基本的にこのサイズが基準になっています。 

何はともあれ、コンセプトを完遂するにはスペースを創出しなければなりません。そこで目をつけたのが、キャブとシェルの段差部。通常ここは15cmほどあまり利用されない状態で放置されていることがほとんど。実際には、カムロードではリクライニング可能なスペースとなっています。 このスペースを有効活用し、スライドする新しい台座を設計しそこへシートを設置することで、 リビングスペースを形成することを可能にしました。それらスライド操作などを行なうときフロントシート背もたれも操作する必要ですが、リビングスペースから操作できるようにするためのケーブルが増設され、簡単に展開できるよう工夫されています。 

 

リビングスペースが全体で20cmほど前方へ拡大したことにより、最後部にダブルベッドを設置することが可能になりました。寝るだけのスペースとして利用する2段ベッドではなく、3段階にスプリングの反発力を調節できるマットを入れ、寝る方向で2つに分割されているおかげで、隣で寝ている人の寝返りが直接伝わらないようにも工夫しました。さらに、上段がない分少しマットの高さを上げ下部外部収納庫スペースを大幅拡大。セパレートエアコンの室外機も問題なく収納できるようにし、昇降性を確保するため、格納式スライドステップも用意。移動時の安全性もしっかり確保しています。 

その就寝スペースには、今やバンテックでは当たり前になりつつあるセパレートエアコンの室内機が装備され、フル稼働でもサブバッテリーで約4時間程度は駆動できるように電装系を再構築。もちろん出力的に、フロントのバンクベッドの空間まで調節できる能力がありますが、例えばこのリヤ空間だけをカーテンで 仕切って空間容積を減少させれば、その運用エネルギーは減少しサブバッテリーへの負担も激的に軽減させることが可能です。装備類はジル・シリーズ同様のフル装備状態。実際には2人で利用することがほとんどという方も、ファミリーにも余裕で対応できるこの新しいコンセプトによるレイアウトは、まだ一般的にはあまり浸透していないもののかなり魅力的に映るのではないでしょうか。 ショーや店舗などで普通の2段ベッド仕様などと比較することができる場合、可能であれば、このリヤベッ ドに少し横になってみては如何でしょうか?たったそれだけで、レイアウトの持つコンセプトがご理解していただけると思います。