【キャンピングカーコラム バックナンバー第183回】今こそ見直そうキャンピングカーの設備(2019年9月27日)


2019年9月9日未明から関東を直撃した台風15号の被害はいまだ収まりを見せていないが、その4日後、いつも仕事でお世話になっている千葉県山武市の有野実苑オートキャンプ場に出かけた。スタッフそのほか大勢の尽力により、キャンプ場全域にあった倒木の処理やゴミの除去にやっとメドが立った状態だったが、いかんせん電気が不通で様々なことに支障をきたしていた。

この状況は、台風に限らず震災などでも起こりうることなのだが、そこへ出かけた我々はキャンピングカーであったが、電源供給がなくてもいつも通りの過不足のない快適なキャンプ生活を過ごし、カメラへのバッテリー充電、撮影用照明の点灯をサブバッテリーからの供給で行ない、冷蔵庫は3ウェイタイプを活用。

あまりのキャンプ場の惨状から、帰り際にポータブル3ウェイ冷蔵庫の提供を申し出たが、すでに他者からも同タイプやさらに発電機も提供されているし大丈夫だよと遠慮された。それを信じたのが間違いだった、その後19日まで続く10日間にわたる停電があろうとは…お互い想いにも寄らなかったからである。無理やり置いて行けばよかったと後悔しきりである。

ポータブルの3ウェイ冷蔵庫は、引越しの時や冷蔵庫入れ替えの時に大活躍してくれた想いもあるので、カセットガスで駆動できポータビリティであることの偉大さをつくづく感じる。写真では、エントランス脇に置いてあるのが、外装色をいじったそれである。

またつい最近、自分の車でサブバッテリーの新調と共にソーラーパネルを100Wと今までの倍の容量に交換していたのも、電源環境を良くしている要因になった。それは、今どき流行りの低消費電力のLED電球などでの照明なら、自分の発電量だけで連日十分まかなっていくことができるからである。

台風後4日目では、停電によりすでに数日前から携帯基地局バッテリー電源が切れ携帯電波の不通が各所で発生。もちろん自分のスマホなどの充電も行なえず、情報の入手にかなり皆苦労していた。これがかなり危機的なことであることは十分はた目からも理解できた。

そんな時あまりに情報の役立ち度として違いを見せていたのが、テレビによるものとラジオによるものである。こういうときは停電なのでそもそもテレビは見れず巨大キーステーションとして情報を流してもしょうがないのかもしれないが、ラジオ、特に地方局は必死に携帯電話の充電可能箇所や水、非常食の補給地、入浴可能施設などを事細かに伝えていた。何しろ、防災無線もダウンしているところが多かったからである。

巨大テレビメディアには、そういった地域の身の回りに接したあまりに限定的な現地用の情報発信システムとしての使命はすでに持つことができないだろうし、今後もすることはないだろうことは十分理解できる、期待してもダメだ。これがワンセグTVとラジオを両方現地で受信していて思った率直な感想。乾電池や充電式のラジオを常にキャンプに携行するクセを付けておいてはいかがだろうか。

そして一番役に立ったのが、照明の部類である。イマドキは皆便利なLED照明を利用している人も多いと思う。もちろん自分もそうだ。だが優しい灯りの下で美味しくお酒が飲みたいという趣味の問題で、ランプやキャンドルを日常の道具に相当数加えておいた。ちょっと操作が面倒ではあるが、その面倒をキャンプの1つの楽しみにしてしまったのである。もちろん灯油という燃料が入手が容易で、保管の安全さも高く信頼があることも重要なポイント。

そしてこれらのものを日常で使うことにより、常に道具がメンテナンスされているということが大事。必要な時にすぐ使え、消耗品などの準備も出来上がっているというサイクルが大事なのだ。

長期にわたる停電で何が起こるかという驚きは、スーパーやコンビニの棚から食料品や水の類が一切無くなる事、そしてガソリンスタンドが閉まってしまうことであった。そしてガスの供給ができないことも多く、カセットボンベも手に入れることが難しくなってしまう。

被災時には電気に限らずエネルギー確保がかなり重要だが、日常のキャンプでのテーブル火力を便利なカセットコンロ方式1本に頼らず、なんでも燃えるものなら燃料として使えるウッドストーブ系をあらかじめ日常品として準備してみてはいかがだろうか。写真では小型のウッドストーブにホームセンターや百均で簡単に手に入るアルコール固形燃料を火力として使っている図である。

被災中で大変な時期に申し訳ない話をしているとは思うが、だからこそ他人事とは思わず自分のこととして考え、便利さを追求してしまいがちなキャンプ道具を今一度見直し、ちょっと不便だけどそれを楽しむくらいの気持ちで再構築してみてはいかがだろう。我が身に降りかかった折に絶対に役に立つことは間違い無いのだから。

 

TAMA@MAC

著者:TAMA@MAC

主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。http://www.tamamac.com

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