バンテックセールスは歴史のあるメーカーなので、これまでにどのようなモデルが存在したかを、筆者の記憶を頼りにしばらく書きつづってみようと思う。
今でこそ、日本のコーチビルダー筆頭にも挙げられるが、’86年創業当時は1年を経てキット販売を始め、その後、矢継ぎ早にモデルを増やしていった。いわゆるコンバージョンメーカーだった。
最初のLT-2型キットの次はフルハウス、サザンスポーツ、フォーシーズン、ステラ、アリス、マヨルカと続いていく。ちょうどこの頃、筆者はこの業界に関わり始め、なんとか記憶に残っている。
衝撃的だったのはサザンスポーツ。そのデザインと先進的な装備群には目を見張るものがあった。’88年当時のバンテックはドイツの大手パーツ商社であるライモ社と提携したこともあり、欧州での最先端パーツをこぞって投入してきたのだ。
それは、当時の国産モデルには見られない異次元の完成度というか仕上がり、デザインであり、見た目だけでなく洗練された使いやすさも兼ね備えていた。
当時試乗したイメージもまだ残っている。使い勝手は現代のモデルと変わらないと思う。走りに関しても、今と比べると貧弱なエンジンであったにもかかわらず、意外にキビキビ走っていた。現代のように排ガス、衝突、その他諸々の事情が付加されていなかった車は、かなり軽かったのだろう。
自説であるが、小型キャンピングカーは軽いほうがいいと思っている。現行モデルでは、豪華さや多機能がそこまで必要なのかと考えさせられる。そう思えば当時のモデルで十分だったかもしれない。現代のモデルのほうが安全であることは間違いないが…。