【第220回】ナイフで遊ぼう 簡単TLUDストーブ


前回ウッドストーブをナイフ1本でチョチョイのチョイで作る方法を紹介したが、それはほぼ使い捨て状態。お部屋内焚き火遊びも佳境に入り、もうちょっと恒久的に使えないかといえば、それはある。TLUD=Top LitUpdraftと呼ばれるストーブの類がそれ。

ウッドガスストーブと違い上から着火し、さらに未燃焼ガスを2次燃焼させ煙の発生が少ないというもの、ウッドガスストーブとも言われる。
なんだかいきなり高等な技術的要因が入った様でワクワクしないだろうか? しかも上手く使えば炭も作り出せるので、部屋の中での焚き火ゴッコをするときの燃料の足しになるというわけ。

今回も用意したのは、またもやそこらに落ちていそうな空き缶、前回よりだいぶ大きめ。350や500㏄のものでも特に問題はないが、詰められる燃料の量が少ないので燃焼時間が少ないのが問題。そして恒久性を高めるため、アルミ缶より熱に強い鉄缶を用意した。というより、飲料用より大きいと鉄缶しか見当たりはしないのだが…。

まずは2次燃焼空気取り入れ経路確保のため2重構造への加工。放射状にナイフで切れ目を入れ、内側に折り曲げられる様にする。2重構造にすることで表面温度は取り入れられ流れる空気で冷やされ耐久性が向上。もちろん内側燃焼室になる缶も同様に冷えるので、強力な火力に耐えうる様になる仕掛け。

正直いえば、缶は1重でも空き缶上部に空気取り入れ口を用意すれば2次燃焼は行なわれるので、前回のウッドストーブの上部に空気を取り入れる構造でも問題ない、それでかなり煙の発生量が減らせるので。構造的には、練炭コンロがそれに当たると思う。

さて今回はナイフ1つではなく、台所にあった缶切りも使った。その缶切りには飲み口というか注ぎ口を開けるツールが付いているもの。ワインのコルク栓抜きのタイプもあったが、どちらも最近はあまり見なくなったなぁという印象だが、それは私の生活圏だけのことだろうか。

その穴あけツールで外側になる缶は底に空気取り入れ口、内側の缶には底部に燃焼用空気取り入れ口をたくさん、上部に2次燃焼用空気取り入れ口を開ける。

ナイフを刺してグリグリ回せばできるのだが、やっぱり専用ツールの方が力も要らなくて楽チンだしケガもしない。

パーツが出来上がったら、最初に開けた放射状の面に内側になる缶を押し込む。これで完成なのだが、作業内容的にとても切り口が鋭利なため、手袋をして作業するのは必須である。

燃料は前回のウッドストーブ同様、キャンプサイトなどに落ちている枯れて乾ききった小枝など。それを結構な密度で詰め、上から紙や着火剤なんでもいいが火が興って缶の中に上昇気流が起きるくらいの量で着火する。

すると下部から空気が吸い上げられ、扇ぐ事も無く火が小枝に移っていく。そして安定してくると、2次燃焼用空気取り入れ口のあたりで未燃焼ガスが混ざり、すごく強い炎になるのが見て取れる様になる。火柱が高々と上がるので、上部には注意した方がいい。

燃焼状態は見ての通りで、ガス燃焼しているのが動画では分かりやすいかと。燃料が減ってきたら、着火時に用意した小枝などよりも大きな薪の切れ端などでも大丈夫。詰め込むタイミングなどはTLUDストーブの大きさや火力とのバランスなので、その状態を探りながらの作業も楽しい。

着火時、未燃焼ガスが2次燃焼を始めるまではやはり相当な量の煙が発生する。しかしその後は、室内でもなんとか耐えられるような煙の発生量かもしれない。

また以前、徹底的に効率を重視したものを自作したことがあるが、その時は燃料を燃えやすいもの、ヤニなどの発生が少ないものにしたら、2次燃焼部分で炎が青くなったのを覚えている。そうなると、他の誰にも理解はされないけれど、1人超絶悦にいる事が出来て物凄く楽しいよ。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com