【第83回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その3


サブバッテリーについての3回目。今回はサブバッテリーというキャンピングカーならではの装備が、どういった感じでコントロールされているかを考えてみよう。この辺りが理解できると、キャンプ中に電力を自分なりにうまく使えることの手助けになるはずだ。

バンテックのキャブコンの場合、走行中キャンピングシェル内での家庭用電源供給は、エンジンについているオルタネーター発電から直接変換して利用できるようになっている。カムロードベースで130Aオルタネーターがついている場合などでは、サブバッテリーの充電を行いながらの連続使用も十分可能となっている。

また、サブバッテリーをメインバッテリーに接続するのはシグナルスタートチャージシステムという方法を採用。エンジンがオルタネーターで発電を開始するまで並列接続されるサブバッテリー回路を切り離しておくようになっていて、基本的にメインバッテリーを保護する回路の仕組みになっている。

インバーターを使う家庭用電源はともかく、キャンピングシェルに装備される電装品のそのほとんどが直流12V。いわゆる明かりやポンプ、音響設備などであるが、これらを点けっ放しにしておくと電気容量を際限なく吸い出してしまい、その後のサブバッテリー性能を著しく低下させかねない。

そこで、それら負荷との間にバッテリープロテクターという制御器を挿入することで、過放電を防止し性能劣化を最小限に抑えるようになっている。この機器は、電気の使用を続けサブバッテリー電圧が下がると負荷回路を切り離しサブバッテリーを保護。その後バッテリーが充電され電圧が上がると回路を再接続する。

もちろん回路が切り離されているときはキャンピングシェル内の電装品は使えなくなるのだが、サブバッテリーの再充電に適した下限の状態は維持されるので、結果的にはサブバッテリーの超寿命を実現できるものだ。

ただ、キャンプ中の夜中にいきなり電源が切れてもにっちもさっちもいかなくなるが、かなり正確に電力の残量が見える、パーセンテージでも表示できる残量計を用意しているのでそれを参考にすれば効率的な使い方ができるはずだ。

この残量計は単なる電圧による簡素なものではなく、一般的にはシャント抵抗と呼ばれる分流器を負荷回路に通し正確に流れている電流量をセンシングし、あらかじめ自分でセットしたサブバッテリー容量をベースに積算による計算を行っている。もちろん充放電のすべてが反映される。回路的にはそれなりに複雑にはなるが、使う側にしてみれば特に気にしないでもいつもと変わらない生活が送れる、それでいて最小限のパーツ構成で故障率を下げる。そういった試みがしっかり検証された上で組み込まれているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com