’94年になると、それまで絶好調だったJB-500に加え、キャブコンとして2モデル目となるテラ500をリリースした。JB-500は、ベース車両がデリカトラックという小型タイプで、積載量的にも850㎏・1000㎏クラスのモデル。積載可能重量も少なめだった上にスペースも狭かったので、フレームとホイールベースを20センチ以上延長するという大胆な手法が採用されていた。
そこでテラ500では余裕の積載量を持つエルフをベースに、キャンピングシェルを搭載するという新しいチャレンジが行われたのだ。それにより車格はぐっとグレードアップしたし、キャンプグッズを満載にしてもヘコタレないカッチリとしたモーターホームに仕上がった。
車格がワンランクアップしたのに加え、かなり大胆なFRP積層工程を取り入れパーツが大きく作られるようになり、ルーフなどは1枚もので雨による浸入を極力なくすことにも成功している。
現在発売されているモデルではさらに大きな型による成型を行い、ほぼ一体成型と言うレベルにまで昇華しているが、当時からの技術の積み重ねであることはいうまでもない。
室内はJB-500のイメージをかなり色濃く残していたが、当時はまだ珍しかった常設リヤ2段ベッドを採用。バンクベッドと合わせると、ダイネットを組み替えないでも家族4人が就寝できるという画期的なスタイルを採用。その便利さで一気に広まった。
好調に販売を伸ばすテラ500だったが、実はこのときベース車両に不具合が見つかり、国内トラック市場において大きな騒ぎになった。もちろんテラ500もそれに飲み込まれてしまうわけだが、バッテックは懸命に対処して、難局を乗り切った。
そんなこともあってか、テラ500そのものの販売年数は少なかったのだが、そこで培われた技術とノウハウは現行モデルを製造する上で活かされている。
テラ500はかなり頑丈なモデルのようで、20年経った今でもわりと見ることができる。丸みを帯びた特徴的なバンクベッドのデザインなども含め、ある意味名車だったのかもしれない。
そしてエルフベースはクルーズという名を与えられジルで復活する。そう考えると大ヒットしたJB-500と、次モデルのテラ500のいいとこ取りをして登場してきたのが、今に続くジルなのだなと理解できる。