【第152回】アクリルウインドウの特徴とメンテナンス方法


キャブコンは車内空間の広さや装備の充実などが魅力ですが、断熱性の高さもメリットとして挙げられます。

 例えばバンコンの場合ではガラスウインドウから温度が伝わりやすく、夏は日差しの影響、冬は冷気の影響を受けやすくなります。

 その点、キャブコンは断熱済みのシェルを載せていますし、ウインドウもキャンピングカー専用の二重窓を装備しています。

 キャンピングカーパーツセンターで取り扱っているD-Lux(ディーラックス)は、キャブコンに採用されている主流のウインドウで、アクリルの二重窓ですから断熱性もばっちり。

キャンピングカーパーツセンター Dometic アクリルウィンド D-LUX(ディーラックス)

Dometic アクリルウィンド D-LUX(ディーラックス)
価格:43,200円(500×300㎜)

 ウインドウの開閉が無段階で調節でき、室内側のシェードと網戸も自分の好きなところで止めることができます。フラットなデザインなので、ボディとの一体感が高く外観デザインを損ないません。ウインドウは開口サイズ違いで11種類。適合する壁の厚さは35~43㎜となっています。

 アクリルはガラスに比べると柔らかく、走行中に街路樹などにこすって細かい傷が付くこともあります。そんなときは、リペアキットを使って補修できます。

 まずはウインドウ表面の汚れを落とします。アクリルウインドクリーナーとアクリル専用クロスを使って汚れを落としましょう。

キャンピングカーパーツセンター ♯103033 Seitz アクリルウィンドクリーナー

♯103033
Seitz アクリルウィンドクリーナー
価格:1,080円

キャンピングカーパーツセンター ♯103035 Seitz アクリル専用クロス

♯103035
Seitz アクリル専用クロス
価格:928円

 その後、アクリル専用ポリッシュを使って3~5分間、やさしく磨きます。細かな傷はこれで落とせます。残留物を温水で洗い流し、最後にもう一度クリーナーで拭いて完成です。細かな傷を補修することで、クリアな視界が保てます。

キャンピングカーパーツセンター ♯103034 Seitz アクリル専用ポリッシュ(チューブ)

♯103034
Seitz アクリル専用ポリッシュ(チューブ)
価格:1,836円

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第73回】安全性と断熱性を兼ね備えるアクリル2重窓


キャンピングカー、特にキャブコンバージョンのようにほぼ全体的に架装されているモデルでは、ガラスとアクリルの2タイプのウインドウが既製品として存在する。大雑把にみると、北米系モデルはガラスで欧州系がアクリルと分けられる。

それぞれの特徴は、ガラスは透明度の高さと平滑性の高さからくる見た目の歪みがないこと、素材としての長期にわたる不変性だ。アクリルはその素材が持つ強度の高さと割れた場合飛散しないこと、断熱性そのものがガラスよりも高いことである。

近年のモデルでは、ガラスでも一般家庭のような2重ガラスタイプが増え、断熱性が高いものも増えてきているが、フレームはアルミなどのままでありいまだ結露しやすいと言える。バンテックのキャブコンにおいては、ほぼ全てのモデルがアクリル2重窓を採用している。

これまで長い間一般的だったタイプは、アクリル板がもなか状に2重で貼り合わされていて、素材そのものの断熱性の高さだけでなく断熱層を設けることにより、さらに熱の伝わり方を防止しほとんど結露しないよう工夫されている。

現在人気があるのはウインドウが裏表逆になった様な構造で、外表面がボディ面とフラットな構成になるタイプ。それだけでだいぶ車がスタイリッシュに見える。

通常の利用において、室内外温度差による結露はほぼしないといっていいが、経年変化により2枚のアクリル成型板の接着が弱くなってしまったような場合、内側が湿気で曇ってしまうことがある。こうなってしまった場合はほとんど対応策がない。

アクリル2重窓の最大手というか、そのほとんどのシェアを持っているのがドメティック傘下のザイツという専業メーカーであり、エントランスドアなども手掛けている。安全性は十分考慮されていて、欧州の自動車用パーツの規格に合致しEマークが付いていて、これは乗車する車のウインドウとして利用できることを意味している。

現地説明を受けてみると、アクリルという素材のためその性能が問題なく発揮されるのは10年ほどで、それ以上の期間では紫外線の影響などにより多少の変形や白濁などが起こるという。

ただしメンテナンス方法もしっかり確立していて、それを行うかどうかでかなり差が出るとも。もちろん、バンテックではウインドウのメンテナンスというか研磨剤や補修パーツなども用意されているので、長い期間使用することは十分に可能だ。

アクリルウインドウは取り付けフレームがプラスチックで作られていることもあり、窓全体が外気による熱の伝わる影響を室内に出しにくい。さらに内側のフレームはケース内にロールシェードと網戸が内装され、ロールシェードは裏側がアルミシートの蒸着により赤外線の遮断を行ないより断熱性が高いものになっている。

さらに最近の傾向では、ロールではなくブラインドに見えるデザインのものが欧州では増えてきて、より断熱性と防音がしっかりとしてきている。構造は折りたたみ式の筒が繋がった状態で、そのシートもアルミを挟んだ多層構造で空気層を作り出すことによりそれを実現している。

このように、アクリル2重窓は今後も安全性と機能性の向上がまだまだ続けられる、キャンピングカーに適したパーツであると言えそうだ。

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TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com