【第190回】台風一過、灯りと暖房を考える、たぶんその1


ほぼ毎月、千葉スタートで国道6号をひた走り仙台を越えることがある。そして今年目にしたものは、15号と19号の惨状の数々。そしてこれを書いている今、実は前日に長野県の赤沼国道18号を走っていて、11月になってもあまりの状況に絶句、本当に新幹線が…。被災に見舞われた皆様には、1日も早い日常生活に戻れるよう願っております。

災害多発国家になってしまったのではないかとさえ思えるここ10年以上、いつも頭をよぎるのは、仕事でやっているキャンプの要素が災害時に非常に役立つのではないかということ。もちろん色々なメディアでそういうことを多少なりでも誰かの役に立てばと発信は続けている。その時思うのは、灯りと暖房だ。

そこで今回もちょっとよぎったことがあり、今まで手に入れたことがなかった石油ランタンを急遽手に入れてみた。なぜ石油なのかと言えば、カセットガスやホワイトガソリンと比較し、災害時に灯油が圧倒的に手に入れやすく、普段の貯蔵も簡単で安全だから。

購入先は言わずと知れたネット通販で、モデルの元になっている正規輸入品ではなく、どういうわけでほぼ全く同じものが生産されているのかわからない商品。お値段の方は驚異の6000円と激安、どうやって作っているのだろう…。ただ、その歴史は半世紀以上生活している私の年齢より長いとは思われるので、今更ライセンスとかそういった問題はないのだろう…とは思う。

開封して一番驚いたのは、気化するために必要なジェネレーター部分の取り付け鉛パッキンがグニョーッと潰れてはみ出している上、なんとまともに閉まっていなくてグラグラ。加圧式でこの状態は非常にマズいと思われ、購入したら絶対に確かめておきたいところ。

昨年も石油ストーブを中国から発送してもらったものがあったが、こちらも作りっぱなしのかなりいい加減な仕上がりだった。ある意味、中国から来る物の醍醐味かとも思っているので、笑いをこらえながら整備を進めることに。

と言うより、外使用限定のものではあるが自分で整備し育てるタイプの道具だと言うことを念頭に、構造も理解できるので整備をすることをお勧めする。

この手の旧いタイプのポンプには、パッキンが革を使っていることが多い。当然この革は乾ききっているので、身の回りにあったサラダオイルやらオリーブオイルに何時間も浸ししっとりしたところで組み付けポンピング。ダメである、圧力計が動く気配がない。

当然バラす。そして掃除しどうやら動くようになった。この手のランタンは、バルブを閉めても完全に締め切ることができない構造のようなので、消火するときは内圧を抜く必要があるので、内部圧力が見れる圧力計は重要なパーツなのだ。

とまあどうやら不具合はなさそうに思ったのだが、外観をじっくり観察してみるとなんだか形状がおかしい、斜めになっているよう。完全には治せないとは思うが、外せるところは全部外して組み直すことを決意。そこで重大なことに直面! タンク内のサビである。

新品のため内部は防錆用になんらかのオイルが流された形跡、ニオイはあるが、どうしてこんな事になってしまっているのだろうという疑問は拭えない。表面にサビは出ていないのに。

サビの還元剤でもブチ込もうか、それともビスやらワッシャーを入れシェイクし洗い落そうかとも思ったが、そこまでは酷くないのであって欲しいという希望とともに、しばらくはそのまま使ってみようと思う。サビが落ちてきて吸い込めば、それが詰まって悪さをする可能性は非常に高いのだが、それを整備時期と見なせばいいわけだ。育てる楽しみとしておくことにする。

そして使ってみる。とりあえず燃焼は問題なかったが、収納方法をどうしようかと悩む。意外と大きいので収まりが悪いし、ガタつくと簡単にホヤが割れそうだし、ということでもともと入っていた段ボール箱にカッティングシートを貼り付け少し強化しケースに仕立てた。

元モデルには正規品の立派なケースがあるのだが、そのケース代がすでに本体よりはるかに高い。また今回は初期動作確認だけだったのだが、今後は小型屋外ストーブとして使えるようにしたいという野望もあったので、この程度にとどめておいた。

ちなみに、この手の石油ランタンは明るく白い光を放たせるのに多少のコツがあるように思われ、それが出来るようになると、周囲の人から羨望の眼差しを受けられます、たぶん…。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com