【第258回】ニューカマーCC1 その1外観概要


 2月から延期されついに開催されたジャパン・キャンピングカー・ショー2021、4月2日バンテックブースに、ブランニューなこれまでにないモデルが展示された。ベース車両は日産NV350でBピラーの後ろをボディカットしたキャブコンで、エントランスドアはなんとスライドドア。 正直いってバンテックの既存のキャブコンとはまったく毛色の違う、ある意味展示ブースで異彩を放っていた。

 名称はアストラーレCC1、製造はバンテックかと思いきや復活したファーストカスタム。知る人ぞ知る佐藤和秋社長率いる秋田の職人集団。その作品がバンテックで取扱販売されることになったのだ。

 とにかく目を見張るのは、ボディラインの綺麗な処理。目を凝らしてみるとわかるのだが、デザイン的に面と面が付き合わせになる部分でFRPシェルを接合しているため、一体成形にも見えるし余分な出っ張りや突起が皆無で、現代的な乗用車の趣なのである。

 ボディワークはお家芸であるスペース鋼管フレームによるもので、従来通り外皮FRPは強度部品ではなくいわゆる幌をかけたような構造。過去の製造例で考えると、フレームと外皮の間は相当の空間が作られ断熱と防音に役に立つ空間がたっぷり用意されているはずだ。

 そしてバゲッジドアなども既存品を装着するのではなく、デザインにあわせてオリジナルで作成し、オリジナルヒンジを内包して外観デザインに影響しないようになっており、閉めた時のツライチもピタッと合わさって出っ張りは皆無。いわゆる乗用車のドアやトランクのよう。 こういったデザイン処理を施されたキャンピングカー、キャブコンは日本ではかなり珍しく、 他とは違う持つ喜び的な部分をそそるのは間違いなさそう。

 嬉しいのは純正のスライドドア機構を利用し設置し直したエントランスドアの機構で、電動スライドでは無いもののオートロックやクローザーはそのまま利用できる。こんなところも乗用車的といえる。 このエントランスドア、パーツこそ純正品流用だが耐荷重2トンをかけた状況で設計されていて、安全面にも十分な配慮がされているのは間違いない。 そして現代のキャブコンは、日本においては旅のツールとして利用されることがもっとも多い。 そう乗用車的なのだ。だが車幅がそれなりにあるキャブコンの場合、サービスエリアの駐車スペースだと隣のクルマとエントランスドアの開閉が干渉することがままあるが、スライドドアだとそういった不安も激減する。ステップも内包式なので、さらに隣との気遣いが少なくてすむと言った利点もある。ザッと外観を見てみたが、次回は内装と装備の特長について説明してみようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com