【第282回】SDGsを逆手に取る! 御飯の美味しい炊き方


 日本最古の駅弁屋として全国的に名の通っているおぎのやの峠の釜めし。2021年11月には、益子焼きの容器の製造メーカーがニュー スにあがり、その存続が危ぶまれる事態が発生したが現在問題無く販売が行なわれている。とは言え時代の流れはサスティナブルな方向性なわけで、主流の容器はすでにパルプモールドのものとなっていて、益子焼きのものが確実に手に入るとは限らない状況になりつつあるのかも。

 さてお美味しく頂いた後のこの容器、大きさが前回紹介したかなり手に入れ難い1合炊き用土鍋とほぼ同じ、という訳でトランギアのストームクッカーSにモロはまり。

 さらに御丁寧にも包装紙には1合が炊けますよとの表記も。

 さらにさらにおぎのやのホームページ https:// www.oginoya.co.jp/釜を使ったご飯の炊き方/ には丁寧な炊飯方 法とそのほか応用レシピ集まで載っている。お釜もこんな利用をすれば、ワンウェイ容器だって無駄だと世間 様からのバッシングは受けないはず……だ。 現在ソロキャンブームを背景に、メスティンとアルコール固形燃料1つで自動炊飯するのが流行っているのだが、このお釜もそれでやってしまおうと言うのが今回の趣旨。

 用意するのは大人気100均キャンプグッズの固形燃料用コンロと折りたたみ式の風防。

 それらと釜を組み合わせ炊けばいいのだが、ここでさらに美味しく炊くためのTipsを追加。まず洗米の仕方。通常精米され売られている白米の場合、現代の精米器の性能が非常に高くゴリゴリ研ぐという作業はいらない。優しくかき回して洗う感じで、米粒の表面に細かい均一の傷をつける感じ。実はこの方法、夜に居酒屋で出会う米農家さんで10台以上炊飯器 を常時用意している米炊きオタク若社長の弁。加水率や浸水時間は前出ホームページ通りでいいだろう。さらに自分としては、米1合に粗塩など耳掻き1杯くらいとできれば米油、無ければサラダオイルを1〜2滴投入。ただし、1合炊きとはいえ吹きこぼれを考えると、米は7〜8勺位が良いのではないだろうか?

 炊き方もホームページで紹介されている通りなのだが、釜から湯気が出始めたら蓋をズラすだけでは無く1度中の米を軽く攪拌して内部温度を均衡化させる。コレは大きな窯で何合も炊くのに比べ、器が小さいため熱の偏りが酷く茹っている間米がうまく踊って回らない可能性が大きいため。


 風防により全体的に温められたお釜によって炊き上がったお米は、1合という小量炊きにも関わらず見事なまでの蟹の穴。キャンプグッズで御飯炊きに特化した道具も数あれど、このお釜はなかなか侮れません。

 今回は100均で手に入る3つ入りの固形燃料で全く火力調節しな い自動炊飯を行なってみた。その結果、オコゲがかなり激しくこびり付いた。こうなる前に火から下ろせば良いのだが……。

 それよりも問題だったのは固形燃料の火力の強さ。そのため、炊き上がり直前に水分が飛びオコゲが出来始める辺りで、水分が漏れてしまう様なものではないが釜の外側や底部にヒビが数カ所入った。さらに強い火を利用するともっと露骨に割れてしまうかもしれない。よって、細かい火力調節ができるトロ火や極トロ火が使えるガスコンロでの炊飯をおすすめする。
 

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com