'04年、バンテックの定番モデルであるジルがフルモデルチェンジし、新しいキャンピングシェルデザインになった。このデザインは、その後登場するバンテック製キャブコンの統一イメージともいえる感じになった。
室内は、新しい家具の作り方を採用してはいるものの、レイアウトは初代から続くコンセプトを継承。左ダイネット空間と大きなラウンジは広々とした室内を演出している。今思えば、全長5mに収めた最後のモデルとなるが、使いやすさも含め秀逸であることを実感する。
装備については、ジルらしくフル装備。トイレや温水シャワーまである。初代ジルが登場したとき、“幕の内弁当”のような装備とよく言われていたが、それは最初からすべてを備えた過不足のないものという意味で使われていた。
現代のモデルと違うのが、ダイネットを形成するセカンドシート下。当時は左右貫通式の外部収納庫として利用でき、フロア下のサイドストレージボックスと合わせ圧倒的な収納力をウリにしていた。
現在では、このスペースには重量のあるサブバッテリー×3本などが積載されている。もちろん車全体の重量配分を考えた結果の配置だが、当時のキャンピングカーでは現代ほど電気への依存が高くなかった。というより、エンジン停止中にセパレートエアコンを動かすといったようなシチュエーションが想像すらされていなかったのである。
リヤには、メインフレーム間の空間を利用したスライドストレージや、発電機収納ボックスを設置するなど新しいアプローチがみられ、現代ではあまりに当たり前の装備になっている。
この4代目のジル以後、ジルをベースにさまざまなトライモデルがメーカー内で進行する。そこで生まれた技術は実験検証を終えた上で続々と商品化。新たなモデルが登場するきっかけになっていく。
そしてこのモデルそのものが完成していたことは、10年以上経過した現在の感覚で見てもまったく古びていないことからも十分確認できるのだ。