【第21回】本格モーターホームを目指した大型モデルのベガ


’90年代は半ばを過ぎると、輸入車、特に北米製の大型モーターホームが人気を獲得。その家庭と変わらない使いやすさに、日本のキャンプシーンが一変した時期であった。そんな中、国産の大型モーターホームの礎になったと思われるのが、’98年登場のベガだ。コースターベースまで発展したモデルだったが、現在は製造を中止している。

バンテック キャンピングカー VEGA(ベガ)

余裕の全長にリヤダブルタイヤによる架装重量の増加など、装備を惜しみなく組み込んでも対応できるボディサイズを実現していた。当時はベース車両として三菱キャンターを採用。

バンテック キャンピングカー VEGA(ベガ)

ジルで成功した広いラウンジ形状のダイネットの後方には、独立したL字のキッチンを持ち、その使い勝手のよさは輸入モーターホームのそれと同等以上。動線の確保や余裕ある室内高により、それまでの国産にはない圧倒的な開放感を獲得した。

バンテック キャンピングカー VEGA(ベガ)

車両中央部にキッチンとトイレ&シャワールームを設置し、最後部にはかなり幅のある常設リヤベッドを設定したので、就寝時にダイネットを組み替えないでもよくなった。車体幅があるため、横向きにベッドを設定できるようになったは最大のメリットだった。

バンテック キャンピングカー VEGA(ベガ)

高い天井を生かした広々としたバンクベッドを装備。こちらの方は正真正銘大人が3名寝られるという巨大サイズ。そのため、ファミリーユースでもダイネットをベッドに組み替えることはまずないのである。

現在、国産キャブコンにおいてベガのようなモーターホーム的要素を持つモデルはほとんどない。販売価格が大台を越えるということもあり、単一モデルとしては販売不振に陥る可能性は否めないのだが、昨今のキャンピングカーユーザーの動向を見ていると、国産モーターホームの必要性を感じる。

実際、景気が落ち着いてきたせいか輸入モーターホームもそこそこ復権してきているし、数か月単位で旅するユーザー層は、車両のメンテナンスや装備品の確保のしやすさといった点を重視する傾向があり、その数も着実に増えているのだから。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第20回】雨の日にも使えるルーフベンチレーター


お盆休みを迎えキャンピングカーで旅に出かけている人も多いだろう。今年はやはり暑い夏のようで、場所によっては40℃近い気温を記録しているところもあるが、旅の車内、快適に過ごせているだろうか。

車内の空調はとくに暑い季節には重要になる。そしてファン付きのルーフベントは、車内の空気を循環させるのにピッタリのアイテムだ。

一般的なルーフベントは、使うときにまずハンドルを回してルーフベントを開けてから、スイッチを押すことでファンが回り、車内の空気を排出する。ルーフベントを開けると雨が降り込んできてしまうので、雨天時には使えない。

MAXX FANは、ルーフベントとベントカバーが一体化したタイプだから、雨が降っていても使え、さらに走行時にも使えるすぐれものだ。(ちなみにMAXX FANスタンダードというモデルもあり、こちらもカバーを閉めたままで吸排気ができる)

マニュアル操作で10段階の風量調節が可能。基本的には排気モードで使用するが、吸気もできるので幅広く使える。温度設定による自動運転にも対応しているのが特徴で、いちいちマニュアル操作しなくても快適な環境を維持してくれる。

取り付け部の開口サイズは356×356㎜でいわゆるアメリカサイズ。開口寸を確認してみて、同サイズであれば、新たに取り付けるためのDIYも比較的容易にできる。

天井側から本体を、そして室内側から受けの枠を押し入れてルーフをサンドイッチし取り付ける。ただしルーフに乗っての作業になるので安全に作業することがなによりも重要だ。ちなみにルーフに取り付けた状態で全高は127㎜。全開にした状態では236㎜になる。

本品はリモコン操作ができないが、リモコン付きのモデルであればさらに便利。034080(ホワイト)034081(スモーク)はリモコン操作対応モデルだ。

キャンピングカーパーツ MAXX FAN

ルーフベント
♯034065 MAXX FAN ホワイト
価格:42,120円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第19回】’98年に決定的な定番モデルとなったZiL


1998年になるまで国産キャブコンは専用シャシーがなく、各ビルダーが思い思いのベース車両に架装していた。一方欧米では、キャンピングカーやモーターホームに架装するための専用ベース車両が多数用意され、日本のトラックベースと比較すると走行性能や乗り心地の点で大きく水を開けられていた。

その状況を打開するため、国産のキャンピングカー専用シャシーの登場が切望されていたが、当時の国産コーチビルドによる製造台数の少なさから、なかなか自動車メーカーが手を出さない状況。ジルはそんななか、シャシーメーカーと同時進行で開発されたモーターホームであり、走行テストなども行われて登場した。

シャシー自体はダイナトラックであるが、内容的にはキャンピングカー専用に用意されたもので、このモデルが各キャンピングカービルダーに供給される段になってカムロードという名称が与えられている。主な変更点は足回り、ボディサイズに対応するトレッド幅などである。

Zilダイナベース2

室内レイアウトは右側ソファで、現在のジルに続くバンテックのオリジナル。ボディサイズアップとなった現行でもこのレイアウトが続いているだけあり、まさにド定番中の定番だ。ちなみに当時はこういったシート生地が、世界的にはやっていたのが懐かしい。

実際に走った感じでは、標準幅とワイドトレッドでコーナーリングの安定性というか、ボディの傾きに差が出ていたのが印象的ではあった。

Zilダイナベース3

ジル以前の各社キャブコンのバンクベッドは折り畳み式が多かったが、ジルではスライド量を確保したことにより大人3名が寝られるサイズになったのが驚異的だった。フロアの長いソファをベッド状態にセットし、掘りごたつ状態にしておけばそれだけで家族で普通に就寝できるくらいだ。

Zilダイナベース4

トイレ&シャワールームに大型バゲッジドアを付け、雨の日の濡れモノ収納が楽になった。流石にこの辺りは、欧州のライモから各種パーツを直接輸入販売しているバンテックならではの装備であり面目躍如といったところ。

こうしてみてみると、装備や大きさレイアウトなど今の国産モデルのほとんどにそのコンセプトが引き継がれているのが分かり、この時から本当の国産キャブコン定番モデルが確立したのだと理解できる。 

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第18回】暑い夏を乗り切るために取り外しできるベンチレーター


いよいよ梅雨が明けた。今年の夏は例年以上に暑い夏だと予想されている。キャンピングカーは好きな場所に行けるから、暑いところを避けて高原のキャンプ場などへ行けば涼しく過ごせるのがいいところ。

だけど、高原へ行く途中や、道の駅での車中泊など、いつも涼しい場所で宿泊できるとは限らない。そこで重要になってくるのが車内の換気だ。

車内の熱気は上部にたまるので、ファン付きのルーフベントを装備していると素早く換気できるが、ルーフベントは装備していてもファンが付いていない場合や、ベンチレーターが取り付けできない車の換気に便利なのが、取り外し可能のベンチレーターだ。

フィアマ ターボキットは、5枚羽根の大型ファンを内蔵していて、上下に伸び縮みするステーを使って取り付ける。幅36cmから48cmまで調整が可能で、ルーフにぶら下げて設置したり、横置きにして使うこともできる。

ファンのスピードは2段階で調整可能。電源は乾電池(単一×8本・別売)を使うか、車のアクセサリーソケットから取る。接続するケーブルは同梱される。

またベンチレーターの使い方の基本は排気で、車内にたまった熱い空気を外に追い出すときには、排気場所以外にも窓を開けておくことがポイント。空気の入り口を作ることで流れを作り、車内でも快適に過ごすことができる。となると、ウインドウを開けっ放しにするのでとくに夏場は虫が気になる。

というわけで、カムロード用のレーザーシェード(#075022)や、ハイエース用のキャンピングカーサッシ(#074017-A)などを合わせて使うようにして暑い夏を乗り切ろう。

キャンピングカーパーツ ベンチレーション フィアマ ターボキット

ベンチレーション
♯034086 フィアマ ターボキット
サイズ:31×36×10cm
価格:11,232円(税込)

キャンピングカーパーツ カムロード用レーザーシェード

レーザーシェード
#075022 カムロード 1台分(フロント2枚)
15,120円(税込)

キャンピングカーパーツ ハイエース用レーザーシェード

キャンピングカーサッシ
#074017-A ハイエース200系 A1枚
10,800円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第17回】トレーラーブームに乗り超軽量モデル「サンスター」投入


サンスターが登場したのは’97年。それ以前のトレーラーと言えば、普通免許でけん引できるモデルが主流、というよりほぼそれしか存在していなかった。当時はトレーラーの車検登録が非常に曖昧で難しかったことも原因のひとつだ。

筆者はこの頃、トーイング普及会という至極個人的な集団を業界内に立ち上げ、自分のトレーラーを何にしようかじっくり時間をかけ選定中の時期であった。

サンスター登場の少し前あたりから、ウッドランド社がバーストナー、アルク社がエクセルというモデルを正規代理店契約を取り付け、廉価な普及版を大量投入してきた時期であり、そこへバンテックも正規輸入でサンスターを導入。それまでのテントトレーラーやフォールディングタイプ、国産モデルまで多種多様の選択肢でいっぱい。

結局当時ドイツの本社とも付き合いがあり、自分のわがままで日本にサンプルを入れてもらったハイマー社の超小型トレーラーを購入したのだが、正直言えば相当サンスターは購入時に迷ったモデル。その理由は、通常のセダンのような小型乗用車で、当たり前にけん引できるのが正しい楽しみ方だろうと個人的に感じていたから。そうしないと法律遵守が大変だったのだ。

バンテック キャンピングトレーラー サンスター 内装

サンスターは写真を見ての通りでフル装備なのに車両が軽いことが魅力。キッチン、3ウェイ冷蔵庫、カセットトイレ、暖房、それらがフル装備で付いていて余裕の室内空間なのだから。当時自分には子供ができた時期でもあり、そのスペースの優位性が素敵に見えたのだ。

正直言えば、軽さは壁面材などの厚みが薄いタイプであったり超軽量で多少華奢な家具類だったりもしたのだが、欧州的にこの頃からグッと変わり始めた室内レイアウトデザインには新しさを感じたものである。

また、頭の中では小型乗用車でのけん引しか考えていなかったこともあり、ブレーキは電磁タイプではなく機械式慣性タイプが小型モデルにむいているであろうことも、後々のメンテナンスのしやすさやコストパフォーマンスが優れいていることも大体理解していた。

現在ではキャンプといえば誰もついて来てくれない一人旅、そういう意味では乗用車より小さくフル装備のモデルで何処へでも気兼ねなく引っ張っていけるのが有り難いと思っているのだが、やはりトイレが常設で装備されているモデルへの憧れは止まないでいる。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com