【第41回】スーパーロングベースのd-box投入


バンテックといえば“キャブコンメーカー”というイメージが強いが、現行ラインナップの中にも標準ボディポップアップタイプのバンコンと軽自動車ベース合計3車種がラインナップされている。

’09年に登場したディーボックスはそんななかにあっても、かなり異色な存在。名称中のdは、Dream Camperの頭文字だったはずである。

現行1ボックス車がボディをいじったり、軽初のプルダウンベッドだっとりとかなり意欲的な試みをしているのに対し、極めてオーソドックスなレイアウトを採用していたことで逆に目立つモデルだった。もしかしたら、リーマンショック直後の時代背景も影響していたのかもしれない。

バンテック キャンピングカー d-box

セカンドシートは前向き乗車で3点シートベルト対応とし、2脚用意されたサードシートと対面させダイネットを形成する昔ながらのレイアウト。その後方にキッチンやトランクスペースを設けるという、極々普通で定石のようなパッケージで特徴を打ち出してくるということがなかった。

バンテック キャンピングカー d-box

「自作もできる」をモデルの合言葉にしていたので装備は限られていたが、広いキッチンスペースやスライド収納棚など使い勝手に気を使っているところは、いかにもバンテックらしさがにじみ出ていた部分だろうか。このあたりのイメージは、現行の標準ボディ・マヨルカにも通じるものがあるように思われる。価格は2WDガソリン車で378万円(税込)に抑えられている。

天井高のしっかりあるハイエース・スーパーロングがベースだけに、端的にいえば使いやすさという点ではなんら問題になることはなく、そのシンプルさが使いやすさにもつながっていたはずではある。

バンテック キャンピングカー d-box

リヤユーティリティスペース上にセットできるベッドと合わせ、就寝可能人数もたっぷり。ベッドにオリジナルの脱落防止柵が付き、その後ろがさらに高さが取れる収納スペースに割かれているあたりが、もしかしたらモデルの特徴的な部分かもしれない。

この当時以降世間では、スーパーロングの大容積をウインドウ加工などでさらに拡大し、モーターホーム的な仕上がりになっていったモデルが多い中、その大容積を十分利用しやすいシンプルレイアウトであった。もしかしたら、現代の方がこういったモデルが望まれるのかもしれないが、やはりユーザー層はよりモーターホーム的な方に目がいってしまうのだろうなと感じてしまうモデルであった。というより、それがバンテックに持たれているイメージなのだろう。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com