【第91回】電池不要で室内環境を維持するソーラーベンチレーター


バンテックのキャブコンには、他社モデルにはない標準装備品にソーラーベンチレーターというものがある。これが何かと言えば、ベンチレーター本体室外側上面に小型のソーラーパネルが装備された、超小型の排出型ベンチレーターである。

特にスイッチなどがあるわけではなく、配線すらない。適合する穴を開けはめ込み、接着するだけと施工も簡単。それが、日が照れば発電されファンが回り始めるという極めて単純な仕組み。設置されているのはマルチルームかシャワー&トイレルーム。構造が簡単なものなので、よほどのことがない限り故障や寿命になることは少なく、ユーザーにもあまり気にならない装備品かもしれない。

ところがこれがかなり役に立つ。特にトイレ&シャワールームの場合、臭気抜きに絶大な効果があるのだ。さらに夏場では、太陽光の下に置いておくと車内がムッとした環境になってしまうこともあるが、例えばマルチルームやトイレ&シャワールームの扉を開け駐車していれば、蒸し暑い空気は排出され、車内に戻って来たときに乗り込めないほどの状況になることがない。この辺りは、ユーザーにも分かりやすい現象だ。

さらに見逃しがちなのが、湿気に対する効果が高いこと。実はキャンピングカー全般に言えることだが、マットや生地材、壁紙、木製構成物は湿気をため込む性質がある。だからあまりに長時間締め切って放置すると、カビが生えたりする。こうなると素材そのものの耐久力が落ちる。

それを防ぐために必要なのは、一般家屋同様窓を開放して換気をそくし空気を循環させ乾燥させることに尽きる。でもその状況はなかなか駐車場などに止めているキャンピングカーで実現するのは難しいが、お日様さえあればそれを勝手に行なってくれる装備として重宝で見逃せないのだ。

せっかく手に入れ長く付き合っていきたいキャンピングカーだからこそ、使用していないときのメンテナンスにも気を使いたいところだが、ソーラーベンチレーターはメンテナンスフリーでいろいろ効果も絶大なので、キャンピングカーの寿命そのものも伸ばす縁の下の力持ち的存在であることは間違いない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第90回】カムロードのために開発されたオリジナルショックアブソーバー


ショックアブソーバーは車の乗り心地を左右するパーツである。走行中に路面の凹凸などから受けた衝撃はスプリング(バネ)が吸収するが、それだけだといつまでも揺れが収まらない。

 その揺れを受けとめ吸収するのがショックアブソーバーの役割だ。内筒と外筒が伸びたり縮んだりすることで衝撃を吸収する。

 キャブコンのベース車として使われるカムロードには、専用に開発されたショックアブソーバーがある。

 それがショックメーカーとして100年の歴史を誇るアメリカのモンロー社とキャンピングカービルダーのバンテック社が共同開発したオリジナル商品「モンロー V-SUSPENTION SYSTEM」だ。

 キャンピングカーは架装前のノーマル状態に対して重量が重くなりがちで、さらに発電機やサブバッテリーなど重量物も多い。

 そのあたりの事情を踏まえ、カムロード用に最適なチューニングを施したのがV-SUSPENTION SYSTEMで、ツインチューブ無加圧式オイル構造で乗り心地をマイルドにしてくれると評価されている。

 以前、純正からV-SUSPENTION SYSTEMに交換したときに試乗したことがあるが、駐車場から車道への段差を乗り越えるときの車体の揺れの収まり方で、その効果を実感した覚えがある。乗り心地やハンドリング性能に不満を感じているのならば交換する価値ありのパーツだ。

 ショックアブソーバー交換の目安となる走行距離は乗用車では7万㎞、架装重量のあるキャンピングカーの場合は5万㎞といわれている。交換の時期が迫っていたら、純正品ではなく、思いきってモンローV-SUSPENTION SYSTEMに買えることをお薦めしたい。乗り心地の違いを実感できるはずだ。

ショック・リーフ
♯241175 モンローV-SUSPENTION SYSTEM カムロード用1台分
価格:72,576円(税抜)
※平成10年5月以降販売のカムロードに対応

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第89回】一年を通して快適に生活するためのFFヒーターとルームエアコン


キャンピングカーの装備の中で、一年を通して最も使う頻度が高いと思われるのがFFヒーター。家庭とは違い、避暑地などで夜を過ごす時は、下手をすると夏にも利用することがあるほど。もちろん、秋・冬・春は言わずもがな。

バンテック車に搭載されているFFヒーターはベバストと呼ばれるドイツ製のもの、燃焼式で強制吸排気が行われるもので、室内を循環する空気は燃焼によって汚れることはなく換気をそれほど注意しなくてもいい。

また、標準では簡単なオンオフと強弱をバリアブルでコントロールするツマミが付くだけだが、オプションで付けられるコントローラーは年を追うごとに進化し、タイマーやプログラム、温度設定まできめ細かく設定できるようになってきている。この場合、近年の本体は対応しているので、コントローラーを変更するだけで機能追加も容易になる。

装備として気をつけなければならないのは、暖かい時期にまったく利用しないでいるとあまり機器に対して良くないということ。というより普段使用するときでも、ちょっと暑いかなと思ってもたまに全開運転をある程度の時間しておかなければならないことである。

夏にもそれを行なうのだが、そうすることでヒーター内の燃焼室にススなどの異物が付着、堆積してしまうのを極力避けることができるのだ。

また余裕があれば装備したい話だが、一番簡単なオプション装備に高度設定スイッチというものがある。これは、高度によって空気内の酸素濃度が変わるために対処するスイッチで、約800m以上でプログラムをシフトさせるもの。空燃費を最適にし、ススなどの発生を極力抑えるのに絶大な効果がある。

FFヒーターの有効性を理解し長期にわたって利用する、もしくはメンテナンスの回数を減らしたいと思ったら是非装備しておいたほうがいいだろう。

キャンピングシェルのエアコンといえば、以前は走行時に利用できる自動車用リヤエアコンを増設するのが当たり前だった。しかしそれでは走行時にしか利用できないし、昨今の日本の気候状況下では夜の寝苦しいと思うようなシチュエーションも増えて来た。

そこで、最近では家庭用のセパレートエアコンを搭載することも多くなった。もちろんそれを動かすための大容量電源確保が必要になるので、サブバッテリーシステムもそれに合わせて進化してきている。

そもそも家庭用のエアコンを車載に利用ということ自体家電メーカーの想定外ではあるが、バンテック車においてはサブバッテリーや走行時のオルタネーターからの発電による運転が可能であることを確認している。さらに、室内を除湿して発生した水は通常ドレンを伝わって屋外に排出されるが、それが走行時に傾いたり揺れたりしても室内に逆流してこないような対策も施されている。

さすがに日本製の家電製品だけあり、FFヒーターのような特別な使用方法があるわけでもなく家庭と同じイージーな使用感と耐久性を備え、誰でも使い方に不安を覚えることがないのはありがたいに違いない。

どちらの装備も、ここ数年で両方を設置するユーザーも激的に増えているのが事実であり、今やキャンピングカー生活を快適にするための必須アイテムとなっているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第88回】車内に散乱する洗面用具をまとめてひとつにパック


車内の収納スペースは限られているので、使う道具を小型のものにしたり、収納スペースを無駄なく使う工夫が必要だ。

とくに収納スペースの少ないバンコンなどでは収納グッズを使うと荷物が整理され車内生活が快適になる。

フィアマ パックオーガナイザー洗面具用」は、その名前の通り、洗面用具をまとめるのに便利なパックだ。

使うときは、本体のフタ部分を上下に広げ、付属のフックを使って好きなところに吊るして使うことができる。

吊るすことで収納時の約3倍の約118㎝になり、上下合わせて4か所のポケットにさまざまな洗面用具を分割して収納することができる。ハブラシ、歯磨き粉、ハンドソープ、洗顔料、化粧水、乳液、綿棒、爪切りなどなど家族分の洗面用具を収納可能だ。

ポケットにはフタを広げるときに中身が飛び出さないようにそれぞれにファスナーが付属。小さな鏡も付いているので化粧直しにも便利に使える。

メインのコンパートメントには、ドライヤーなどの大きな物も収納でき、さらにファスナー付きのポケットが付くので、小物が収納できる。

フタを折りたたむと縦37×横30×厚さ11㎝とコンパクトにまとまり、持ち手を使って持ち運び可能。

本体は防水素材を使っており、濡れ物の収納に適しているが、たとえば濡れたままのタオルなどをそのまま収納しているとカビなどの原因になるので、使ったらできるだけ早く乾かし、水分を拭き取るようにする。

洗面用具のほかにもアイデア次第では、さまざまな収納に使えそう。キャンピングカーのなかで使うのはもちろんのことだが、出張用のこまごましたグッズを整理するのにも便利に使えそうだ。

キャンピングカーパーツセンター ♯023129 フィアマ パックオーガナイザー洗面具用キャンピングカーパーツセンター ♯023129 フィアマ パックオーガナイザー洗面具用

アクセサリー
♯023129 フィアマ パックオーガナイザー洗面具用
価格:6,264円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第87回】バッテリー上がりっ! 緊急時に役立つ特別付加装置


キャンピングカーのバッテリー関連話題を何回かにわたって触れてきたが、緊急時というか、もしかしたら最も助かることがある装備として考えられるのがエマージェンシースイッチ。いろいろな呼び方が欧米ではあるようだが、バンテック車においてはそう呼ばれている。

さてこのエマージェンシースイッチとは何か? 簡単に言ってしまえば、エンジンがかかっていない時に通常切り離されているサブバッテリーを、メインバッテリーに直結させる作動スイッチである。その機能は、メインバッテリーが上がってしまった、もしくは弱っていてエンジンスタートがままならないというときに、サブバッテリーの電力を利用しエンジンをスタートさせるというものだ。やっていることは、ブースターケーブルを救援車のバッテリーにつないでいることと基本的に変わりはない。

昔から、特に北米産モーターホームなどにはこの機能を付けたモデルがよく見られたが、それは大容量電流が流せる3ポストソレノイドバルブなどを利用し直結するもの。よほどメインバッテリーが弱っていない限り、このスイッチを入れサブバッテリーを並列接続すればエンジンスタートが可能。それでも少し足りないときは、発電機を回しながらより潤沢に電力をメインバッテリーに注入充電できるようにすれば、たいていの場合危機的状況を回避できる。

では何故バンテック車のコレが優れているかといえば、最近のバンテック車にはサブバッテリーが300Ahもの容量を積んでいることが多い。さらに並列装備されたそれは、走行充電できちんと満充電になる密閉型バッテリーがチョイスされていることが挙げられる。要するに、例えば前日まで走ってきて翌朝メインバッテリーが寿命で急遽性能を発揮しなくなっているような場合、たっぷりの電力をサブバッテリーが持っているので、サブバッテリーをメインバッテリーに並列接続して多少電圧が下がった状態でもスターターを起動できるだけの起電力を有していることなのである。

使い方はいたって簡単で、バンテック製のほとんどのモデルが電源系回路がまとめて収納されている、サブバッテリーのそばにある赤いスイッチを押す。そうするとスイッチが点灯しリレーが動いて並列接続状態になり、押し続けること5分ほどである程度の充電がメインバッテリーに行われ、スターターモーターを起動できるようになるという仕組みである。並列接続が行われているのは、スイッチを押している間だけで離すと回路は分離される。

一度でもバッテリーを上げてしまい、救援車のバッテリーをブースターケーブルで繋いだことがある人なら理解できると思うが、繋いだだけでは弱っている方のエンジンは大抵スタートできない。そのため救援車のエンジンをかけ、オルタネーターで発電して弱っている車に必要な電力を供給する、もしくは充電をするということが必要になるのだが、大容量サブバッテリーを有している環境がそれに近い状態を再現しているのである。

もちろんこれは、走行充電できちんと満充電にできるサブバッテリーの種類が取り付けられているからであり、走行充電で満充電にできないタイプのサブバッテリーを搭載しているモデルが多い中、相当なアドバンテージだと感じられる部分でもある。

旅先の誰もいないところで動けなくなってしまったら、あまりにも心細いけどこれなら安心。もちろんそういう事態になった場合のメインバッテリーは、きちんと性能が出るのかどうか検査して使い続けるか交換するかしよう。ただ大きな原因が見つからないような場合は、サッサと交換したほうがいいのは言うまでもない話。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com