【第95回】キャンピングカー生活が劇的に快適になる大容量インバーター


現代人の生活は、電化製品に囲まれている。スマホ、タブレット、電気炊飯器に湯沸しポット、その枚挙にいとまはないがそれらがどれくらい電気を使い、全体としてどの程度必要かをきちんと理解している人はほとんどいないだろう。

特に家庭の場合、大容量を使うエアコンやキッチン周りは、後から自分でコンセントをつなぐ回路と別に配電盤で分けられ、いっぺんに使っても通常の日常生活に支障をきたさないようにされている。

キャンピングカーの場合は流石にそこまで大容量の電力が必要になることは少ないので、通常の家庭用コンセントに流せる1500Wに合わせた大容量インバーターを装備することが多くなってきた。バンテック製キャブコンもそうである。

 

インバーターはその名が示すとおり反転を行う機械で、一方向にのみ流れる直流のバッテリー電力を家庭と同じ交流と呼ばれる電気へと変換する装置。このときに電圧や周波数を設定通りに調整する。

起動はモニタリング機能付きのリモートコントロールスイッチを入れるだけだが、多くのインバーターには専用のリモートコントロールスイッチでなくても、簡易的にオンオフできる回路を増設することができることになっているのがほとんど。

スイッチを入れれば、一般家庭同様さまざまな家電などが使える。一般家庭で使うセパレートタイプのルームエアコンが動くのもこうしたことが理由だ。

ただ注意点というかその特性は知っておいたほうがいい。ほぼすべてのインバーターにはさまざまな保護回路が組み込まれていて、その1つが入力電圧が下がった時のバッテリー保護回路だ。

スマホの充電やノートパソコンを動かす程度ではインバーター能力にとって余裕、バッテリーから引っ張る電力も少なめで入力電圧が下がることもほとんどなく長時間の利用が可能。

ところがヘアドライヤーや電子レンジといった1000W級の大消費電力ともなると、バッテリーから引き出す電力もそれなりに巨大になり入力電圧は急激に下がる。インバーター本体の設定にもよるが、比較的電力が残っている状態でも保護回路が働き出力電力がカットオフされるのだ。

そのため大電力でも長時間使いたい場合は、バッテリー容量を強化し、そういった電圧降下を極力避けるシステム構築が必要。最近のルームエアコンを装備したキャブコンなどが、300Ahほどの大容量サブバッテリー化しているのはそういった意味合いもあるのだ。

電気の使用で快適なキャンプ生活は得られるのだが、無尽蔵にそのエネルギーに頼り切らない自分のスタイルに合った無理のない設定を見つけ出すのも、キャンピングカー生活の楽しみなのかもしれない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第93回】温水器、温かいお湯で手を洗える幸せ


寒い冬の季節でのキャンプで、ことさら有難いのはお湯が使える環境が整っていること。かじかんだ手も、温水で洗えば1発で気持ちよくなれるからね。バンテック製のキャブコンでは、走行時のラジエター液からの熱交換か電熱器による加熱で温水を作り、22Lの熱いお湯を用意することが可能だ。

その温水は、混合栓で冷水と好みの温度に調節して使える。この温水器は貯湯式というタイプで、字の通りお湯をためて温めるタイプ。瞬間湯沸かし器とはまったく違った構造をしている。そのため、走行時にラジエター液との熱交換で温まるのに約1時間ほどが必要で、電熱の場合も同じだ。温められたお湯は、タンクに断熱材がしっかり巻き付けられていて、魔法瓶ほどでは無いもののかなりの時間温かい状態をキープする。

構造も簡単でガスなどの燃焼施設も無いので扱いはしやすいが、家族4人でシャワーをゆったり浴びるといような用途には容量が足りなく不向き。1人ならそれは問題無いだろうが、そもそも冷水の量をどの程度搭載しているかの方が問題になる。

国産キャンピングカーの場合、生活インフラ的にバンバン水を使ってどんどんお湯を沸かすという使い方は、出かけるキャンプ場などでそういった状況を可能にする設備が整っているところがほとんど無いので、優先順位的にあまり考慮されていない。

そのため、使用済みの食器についた油汚れを温水で落としきるのにも向いていない。ある程度拭き取ってから洗浄して落とすくらいがちょうどいいだろう。確かに便利な装備ではあるが、万能では無いので使う側の創意工夫は必要になる。

さて、便利である貯湯式温水器ではあるが使用上の注意点もある。それは特に冬なのだが、タンクの凍結はさせてはならないといこと。タンク本体はアルミで出来ていて、満タンに近いような状況で凍結が起こると、氷になって体積が増える水の特性からタンクを割ってしまうことがあるのだ。

寒い凍結するような時期にキャンプに出かける時は、温度管理に注意しつつ帰宅したらタンクに残っている水、お湯をドレンから抜き出してしまうことが重要である。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第91回】電池不要で室内環境を維持するソーラーベンチレーター


バンテックのキャブコンには、他社モデルにはない標準装備品にソーラーベンチレーターというものがある。これが何かと言えば、ベンチレーター本体室外側上面に小型のソーラーパネルが装備された、超小型の排出型ベンチレーターである。

特にスイッチなどがあるわけではなく、配線すらない。適合する穴を開けはめ込み、接着するだけと施工も簡単。それが、日が照れば発電されファンが回り始めるという極めて単純な仕組み。設置されているのはマルチルームかシャワー&トイレルーム。構造が簡単なものなので、よほどのことがない限り故障や寿命になることは少なく、ユーザーにもあまり気にならない装備品かもしれない。

ところがこれがかなり役に立つ。特にトイレ&シャワールームの場合、臭気抜きに絶大な効果があるのだ。さらに夏場では、太陽光の下に置いておくと車内がムッとした環境になってしまうこともあるが、例えばマルチルームやトイレ&シャワールームの扉を開け駐車していれば、蒸し暑い空気は排出され、車内に戻って来たときに乗り込めないほどの状況になることがない。この辺りは、ユーザーにも分かりやすい現象だ。

さらに見逃しがちなのが、湿気に対する効果が高いこと。実はキャンピングカー全般に言えることだが、マットや生地材、壁紙、木製構成物は湿気をため込む性質がある。だからあまりに長時間締め切って放置すると、カビが生えたりする。こうなると素材そのものの耐久力が落ちる。

それを防ぐために必要なのは、一般家屋同様窓を開放して換気をそくし空気を循環させ乾燥させることに尽きる。でもその状況はなかなか駐車場などに止めているキャンピングカーで実現するのは難しいが、お日様さえあればそれを勝手に行なってくれる装備として重宝で見逃せないのだ。

せっかく手に入れ長く付き合っていきたいキャンピングカーだからこそ、使用していないときのメンテナンスにも気を使いたいところだが、ソーラーベンチレーターはメンテナンスフリーでいろいろ効果も絶大なので、キャンピングカーの寿命そのものも伸ばす縁の下の力持ち的存在であることは間違いない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第89回】一年を通して快適に生活するためのFFヒーターとルームエアコン


キャンピングカーの装備の中で、一年を通して最も使う頻度が高いと思われるのがFFヒーター。家庭とは違い、避暑地などで夜を過ごす時は、下手をすると夏にも利用することがあるほど。もちろん、秋・冬・春は言わずもがな。

バンテック車に搭載されているFFヒーターはベバストと呼ばれるドイツ製のもの、燃焼式で強制吸排気が行われるもので、室内を循環する空気は燃焼によって汚れることはなく換気をそれほど注意しなくてもいい。

また、標準では簡単なオンオフと強弱をバリアブルでコントロールするツマミが付くだけだが、オプションで付けられるコントローラーは年を追うごとに進化し、タイマーやプログラム、温度設定まできめ細かく設定できるようになってきている。この場合、近年の本体は対応しているので、コントローラーを変更するだけで機能追加も容易になる。

装備として気をつけなければならないのは、暖かい時期にまったく利用しないでいるとあまり機器に対して良くないということ。というより普段使用するときでも、ちょっと暑いかなと思ってもたまに全開運転をある程度の時間しておかなければならないことである。

夏にもそれを行なうのだが、そうすることでヒーター内の燃焼室にススなどの異物が付着、堆積してしまうのを極力避けることができるのだ。

また余裕があれば装備したい話だが、一番簡単なオプション装備に高度設定スイッチというものがある。これは、高度によって空気内の酸素濃度が変わるために対処するスイッチで、約800m以上でプログラムをシフトさせるもの。空燃費を最適にし、ススなどの発生を極力抑えるのに絶大な効果がある。

FFヒーターの有効性を理解し長期にわたって利用する、もしくはメンテナンスの回数を減らしたいと思ったら是非装備しておいたほうがいいだろう。

キャンピングシェルのエアコンといえば、以前は走行時に利用できる自動車用リヤエアコンを増設するのが当たり前だった。しかしそれでは走行時にしか利用できないし、昨今の日本の気候状況下では夜の寝苦しいと思うようなシチュエーションも増えて来た。

そこで、最近では家庭用のセパレートエアコンを搭載することも多くなった。もちろんそれを動かすための大容量電源確保が必要になるので、サブバッテリーシステムもそれに合わせて進化してきている。

そもそも家庭用のエアコンを車載に利用ということ自体家電メーカーの想定外ではあるが、バンテック車においてはサブバッテリーや走行時のオルタネーターからの発電による運転が可能であることを確認している。さらに、室内を除湿して発生した水は通常ドレンを伝わって屋外に排出されるが、それが走行時に傾いたり揺れたりしても室内に逆流してこないような対策も施されている。

さすがに日本製の家電製品だけあり、FFヒーターのような特別な使用方法があるわけでもなく家庭と同じイージーな使用感と耐久性を備え、誰でも使い方に不安を覚えることがないのはありがたいに違いない。

どちらの装備も、ここ数年で両方を設置するユーザーも激的に増えているのが事実であり、今やキャンピングカー生活を快適にするための必須アイテムとなっているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第87回】バッテリー上がりっ! 緊急時に役立つ特別付加装置


キャンピングカーのバッテリー関連話題を何回かにわたって触れてきたが、緊急時というか、もしかしたら最も助かることがある装備として考えられるのがエマージェンシースイッチ。いろいろな呼び方が欧米ではあるようだが、バンテック車においてはそう呼ばれている。

さてこのエマージェンシースイッチとは何か? 簡単に言ってしまえば、エンジンがかかっていない時に通常切り離されているサブバッテリーを、メインバッテリーに直結させる作動スイッチである。その機能は、メインバッテリーが上がってしまった、もしくは弱っていてエンジンスタートがままならないというときに、サブバッテリーの電力を利用しエンジンをスタートさせるというものだ。やっていることは、ブースターケーブルを救援車のバッテリーにつないでいることと基本的に変わりはない。

昔から、特に北米産モーターホームなどにはこの機能を付けたモデルがよく見られたが、それは大容量電流が流せる3ポストソレノイドバルブなどを利用し直結するもの。よほどメインバッテリーが弱っていない限り、このスイッチを入れサブバッテリーを並列接続すればエンジンスタートが可能。それでも少し足りないときは、発電機を回しながらより潤沢に電力をメインバッテリーに注入充電できるようにすれば、たいていの場合危機的状況を回避できる。

では何故バンテック車のコレが優れているかといえば、最近のバンテック車にはサブバッテリーが300Ahもの容量を積んでいることが多い。さらに並列装備されたそれは、走行充電できちんと満充電になる密閉型バッテリーがチョイスされていることが挙げられる。要するに、例えば前日まで走ってきて翌朝メインバッテリーが寿命で急遽性能を発揮しなくなっているような場合、たっぷりの電力をサブバッテリーが持っているので、サブバッテリーをメインバッテリーに並列接続して多少電圧が下がった状態でもスターターを起動できるだけの起電力を有していることなのである。

使い方はいたって簡単で、バンテック製のほとんどのモデルが電源系回路がまとめて収納されている、サブバッテリーのそばにある赤いスイッチを押す。そうするとスイッチが点灯しリレーが動いて並列接続状態になり、押し続けること5分ほどである程度の充電がメインバッテリーに行われ、スターターモーターを起動できるようになるという仕組みである。並列接続が行われているのは、スイッチを押している間だけで離すと回路は分離される。

一度でもバッテリーを上げてしまい、救援車のバッテリーをブースターケーブルで繋いだことがある人なら理解できると思うが、繋いだだけでは弱っている方のエンジンは大抵スタートできない。そのため救援車のエンジンをかけ、オルタネーターで発電して弱っている車に必要な電力を供給する、もしくは充電をするということが必要になるのだが、大容量サブバッテリーを有している環境がそれに近い状態を再現しているのである。

もちろんこれは、走行充電できちんと満充電にできるサブバッテリーの種類が取り付けられているからであり、走行充電で満充電にできないタイプのサブバッテリーを搭載しているモデルが多い中、相当なアドバンテージだと感じられる部分でもある。

旅先の誰もいないところで動けなくなってしまったら、あまりにも心細いけどこれなら安心。もちろんそういう事態になった場合のメインバッテリーは、きちんと性能が出るのかどうか検査して使い続けるか交換するかしよう。ただ大きな原因が見つからないような場合は、サッサと交換したほうがいいのは言うまでもない話。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com