【第105回】工夫で広がるタープ下快適空間


キャンピングカー、特にキャブコンを購入するとサイドオーニングが付いていることがほとんどだ。それは便利な装備で、本来の日よけとしてだけでなく、簡易的な雨よけの屋根としても働く。これが、クランク・ハンドル操作だけで出し入れ出来るのだから、キャンプの必需品と言っても過言ではないだろう。何しろ、現地到着した時最初に作業にかかる装備であり、自分的には外部電源より先にとりかかる。

確かに便利なのではあるが、国産キャブコンクラスだとそのサイズは3.5mほど。パラッと雨が来たという程度なら大丈夫だが、少し強めになる、または横に流れるという場合には、しのげるスペースが激減。また、サイドオーニングはその構造上、風にあおられることにことのほか弱い。

こうしたウィークポイントがあるにはあり、それを解消するためのグッズ類も豊富に発売されている。もちろんそういったモノを利用するのがマッチングが良く、実用性も向上する。

そういったものがない場合は、出先に見つけるホームセンターなどに行くと、いろいろ代用できるものが見つかる。特におすすめなのは、防炎シートとメッシュのシート。これらをサイドオーニングにくくりつけペグダウンすることにより、雨の浸入を防ぎ、風の影響を激減させることができるのだ。ペグダウンすることで、サイドオーニングを専用のパーツでタイダウンさせるのに似た効果があるのも見逃せない。

雨や、寒い時期の風を止めるのに、透明シートもいい。サイズとしては、高さで使う辺が1.8m、幅で2.7mや3.6mが使いやすいと思う。いずれにしても、簡易として固定するのに最低でも強力な撚ったビニール・ロープは必要なはずだ。

サイドオーニング下の空間を、天候に左右されずにキッチリ使えるようになると、やはりさらにその空間を広げたくなるのがヒトの性。こんな時にも防炎シートは役に立つが、さらにポールも必要になってくる。ホームセンターには、雨にも錆びず強度があるステンレスの延長物干し竿というものが必ずある。これを利用すれば、かなりの状況に対応できるだろう。

この辺りからは経験がモノを言うタープワークになるが、無段階で長さ調節できるのは都合がよく、綺麗にしかもカッコよく張れるとキャンプ場でチョット注目されることは間違いなし。

こんな事も、キャンピングカーで遊びに出た時の遊びの1つになってしまうのが、もしかしたらキャンピングカーならではなのかも知れない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第103回】キャンプに行ったら…やっぱり焚き火だよね


キャンプに出かけて何が楽しいって言えば、やっぱり焚き火だと超個人的には思う。と言うわけで、今回から何度か、筆者のネタが続く程度に、あまりヘビーではないキャンプや出かけた先での楽しみなどをやってみようということになった。

焚き火といえば皆さん好きなようで、焚き火台を用意し薪をくべ、ガスバーナーで炙って着火、そのあとは容赦なく団扇であおぐという姿をよく見かける。道具もよくなったし、それはそれでいいのではあるが、灰が飛び散るよねそれでは。小っちゃい子がいると、やたらあおぎ立てるのはしょうがないことなのだろうけど…。

最近の自分のスタイルは、着火と道具にこだわってきている。道具は農協やホームセンターで売っている小鉈、これがすごい便利で愛用している。あとは肉厚のナイフ、焚き火遊び専用にMoraという銘柄のものをネット通販で手に入れた。団扇は持っていかない。

着火剤は、火打ち石と麻紐。麻紐はキャンプ中いろんなことに使え、必要な長さに切り出し使用済みになったら燃やせて処理できるので便利で、比較的車に常備しているもの。これを徹底的にほぐしたものを利用している。その手間が面倒なら、薬局で売っている脱脂綿がものすごく着火しやすくお手軽。

準備が整ったら着火、大きな薪に火が移るまでその間約2分。この動画については編集加工なしなので、その様子がよくわかるはず。キャンプ場などで手に入る、乾いた薪を使えば、手順さえ間違わなければ誰でもあおぐことすらなく、簡単に火を起こせ煙の発生も少ないのがわかるだろう。無駄に煙が出ない、ここはすごく大事、目が痛くならないので。

とはいえ、かっこよく短時間に焚き火を起こすには準備は大事。まずは買ってきた薪の小さめのものを選びコッパ作りを小鉈などでやる。普通サイズのものより、小さい方が楽だし安全。また、薪の表面の皮を剥いで細かくしておくと着火材代わりにもなって非常に便利だ。そして重要なのは、少し細めにした薪を下に並べて敷いておくこと。その辺りがわかる動画も載せてみる。

こちらの方は多少編集してあるが、よくある焚き火台をどう使うかは分かりやすいはず。これは、焚き火台は金属製で冷たく熱を奪って温度が上がりにくい、そのままだと薪の温度が結果として上がりにくく燃え広がりが遅くなるのを防ぐため。地面の上に直火で火を起こすときも同様で、下に薪を1段敷き詰めておくと、地面に熱を奪われることも少なくなるし、ちょうど良い空気の流れも誘導でき失敗が少なくなる。

本当のことを言えば、その時の風の状況などで薪をくべる向きとか組み方などが変わってくる。そのあたりを“焚き火道”として楽しんでいる人は多いのだ。毎回、状況に合わせいろいろ考え探りつつ、無駄な労力を入れずに綺麗に自然に燃やしきる、その時の爽快感は筆舌しがたいのだ。

さて季節も良くなってきたので、キャンピングカーのバゲッジに小鉈と焚き火台を1つ載せ、炎を操る楽しみを満喫しに行ってみてはいかがだろう。もちろん、安全第一でね。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第101回】全長6.7m、ついに始動した国産大型モーターホームの概要


日本には優れたキャンピングカー専用シャシーがあり、それはカムロードと呼ばれキャンピングカー、特に国産のキャブコンというスタイルで人気を得ているのは承知の通り。ただこのシャシーは架装重量が1.5トン積みであり、ホイールベースの短さからくる最大寸法とボリュームが現在のキャブコンの形状でイッパイだ。

そのサイズ的・重量的問題を克服するため、過去にはトヨタ・グランドハイエースやベンツ・スプリンターなどが次世代モーターホームのキャンピングカー用シャシーとして登場したものの、排ガス規制やそのほかの問題で現在は姿を消してしまっている。

そんな状況の中かなり前からバンテックが目をつけていたのが、フィアット・デュカトである。この車は、今やヨーロッパにおけるキャンピングカーシャシーとして独り勝ちの様子を見せているくらい普及しているもので、日本で国産モーターホームを作る場合にもサイズ的に適したものになることは明らかだった。

‘18年のジャパンキャンピングカーショーにおいて特設壇上に設置されたのはV670と銘打たれた、マイクロバスベースセミフルコンのベガの後継車にあたるモデルであり、明らかに今後のバンテックラインナップのフラッグシップになるモデルである。

その開発コンセプトは存在感&調和だといい、例えば乗用車で言えば「いつかはクラウン」のようなワンランク上の製品、ステータスが上がって乗る人のモチベーションも上がる、そんな存在感を感じるモノを追求したようだ。そのこだわりは、後ろ回りの灯火類やバゲッジドアの作製などを見ると良く分かる。

またデザイナー的には、ヨーロッパやアジアでも勝負できるものであることを目指しているところがあり、インテリアには和(日本)テイストを盛り込み、国内で作り上げることに主眼を置いている。意匠、仕上げ、品質、それらすべてが融合し、美しさや存在感があり、なお日本独自のテイストが周囲と一致し、調和する。現代の日本における工業製品の共通する価値観なのではないか、それが世界で残っていく製品作りなのではないかとも語っていた。

シャシーを含めデザインを優先した結果こともあり、室内容積は車体の割にけして大きくはないが、室内レイアウトや家具でそれを感じさせない。外装に関しても、他のモデルで標準装備されていることもあるソーラーパネルやサイドオーニングの装備は、ユーザーに選択肢を提供するという考えで、オプション装備に回された。

また発表されたモデルのサンプルレイアウトではプルダンベッドの装備がないが、フロントシート回転対座機能を生かした「日本ならではのファミリー仕様」ということで6名でくつろげるリビングスペースの開発に重点を置くという。

外観的ボディーワークは、すでに完成しているFRPシェルは変更されないものの、内装は完成車とは大きく違って発売されるであろうことは分かった。そこで問題になるのはシャシーである。

フィアットは1年前デュカトの日本へのバンタイプの発売を表明したが、結果的には現時点で実現できていない。そんなこともありフィアット系列のシャシーと思われている部分がそこここで聞こえているが、実はそうではない。

下に潜って見るとすぐ理解できるのだが、キャブ直後で断ち切られたシャシーには上下様々な高さで延長シャシーを設定できる俗に言う「引きずりシャシー」形状であること、そもそも電着ペイントではなくドブ漬け亜鉛メッキ製であること、このことから導き出される答えは欧州・北米でも有名なアルコ社のものであることである。実際、このシャシーは今後車検証の車体番号がアルコのものになると予想される。

GVWR(最大車体総重量)の設定はなんと4500kgと大きめのものが現時点ではチョイスされ、ホイールベースは4000mm。足周りは3段階の中からこの設定が選ばれ、重量配分を事前に計算し、考慮したうえでホイールベースも決定された。フロア高が最上部に設定されているのも、ドロップダウンした状態での利点が、デザイン的にも、機能的にもV670において見出せなかったからである。

これらの寸法やキャパシティを見るだけでも、カムロードベースでは実現し得ない別次元の国産モーターホームを作り上げられることが理解できるはずだ。

最後部はドロップダウンされ、バゲッジの収納力をタップリ確保している。トレッドは極端に拡大することなく車幅では2.2~2.3mにおさえ、日本のワダチでも走行しやすいものとしている。

そもそもデュカトは世界保証されている車両であるが、それは基本的に正規輸入されている場合。そのためバンテックではこの車両を導入するにあたり、まずメンテナンスで一番最初に必要になる高額のダイアグテスターを多数導入し、取扱いディーラーへの貸し出し・勉強会を念頭において現在作業中。パーツにおいてはストックしバンテックから配布する体制を準備中。

この手法は、過去にバンテックがヒュンダイ・SRXを独自に輸入しベース車両として導入したものと同様でありそのノウハウもある。車両保証という点では2年を予定していて、足周りやエンジンなどの重要部品は5年か総走行距離での設定にしようと模索中だ。

最終的にはバンテック自ら排ガスやブレーキのテストを行い、3.5トン未満の車両総重量で完成車を作る予定だということなので、車体そのものも含め相当に余裕のあるモーターホームに仕上がることは明白だ。

いまだ最終形は発表されてはいないものの、新機軸として車両を集中コントロールできるコンピューターシステムや、新しい冷房の方法なども採用される見込み。これからも開発状況から目が離せないのはいうまでもない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第99回】キャンピングカーを手にしてどこに行こう


バンテックが発行する、キャンピングカーのための教則本をベースに進めてきたこのコラムにおけるシリーズも今回で最終回。その集大成はキャンピングカーの車としての話ではない。

キャンピングカーを手に入れたその先、「何をするか?」がイメージできない人も多いようだ。どうやらそれは、それまでにキャンプという生活スタイルが身に付いていなかったり、通常の旅行の移動手段を置き換えたりだけだったりすることによるものかもしれない。

ただキャンピングカーの可能性は色々で、単にキャンプに使うだけでなく旅グルマとして利用してもかなり有効。というよりそれを利用しない手はないのではとすら思えてならない。乗用車として利用するだけでも快適だけど、もっと積極的にそれを使いこなしてみてはいかがだろうか。

キャンピングカーで旅をする時、まず第一にいつでも家族がみんなで寝られるということが大きな利点だが、高速移動中のサービスエリアや街道沿いの道の駅、そういった公共的施設を利用するのがごく一般的だし誰しもの頭にも浮かぶことだろう。

とにかくキャンピングカーの楽しさを知るためには、積極的に表に乗り出すことが大事。もちろんそこには家族の安全だったりプライバシーの確保だったり、もちろんリーズナブルでコンフォータブルでフレキシブルであることも重要。

そんな都合のいい施設が世の中にあるのか…、あるのだ。それはここ最近急激に施設数を増やしている「RVパーク」である。これは日本RV協会が運営するくるま旅の中で発展し続けているシステムで、バンテックにも京都店横に1つ施設を設けている。写真はその風景。

利用に際しては色々制約がある。その大きなものは宿泊用のテントは張れない、屋外での火を使った調理はできないなどであるが、予約はほとんどのところがインターネットを通しウェブ予約できたり、当日電話受付である。ということはスマホ1つで事足りるわけだ。

もちろん入退場時間などの制約も、普通のキャンプ場利用などに比べたらかなり自由度が高く、利用料金も1000~2000円。これで管理された場所での安全な就寝スペースが確保でき、通行者からの目にさらされることもほとんどなくなりプライバシー的にも安心。

キャンピングカーだけでなく、乗用車、ミニバンのようなものでの車中泊で利用することも十分快適であり、サイドオーニングやサイドテントの利用は可能である。もちろんそのスペースは施設側に必ず用意されているのである。

そもそも施設を設置する要件として、24時間使えるトイレやゴミ処理施設、水が使える流し等の設置が含まれているので、利用料金内でそれらを活用することができる。特にゴミの処理が可能なのは、車で旅しているときに大きなメリットだろう。

場合によっては入浴施設が併設されていたりコインシャワーなどを設置していることも多く、もちろん周辺に温泉施設があるなどの条件を満たしているところが多く、さっぱりして生活を続けることができるのだ。

ほとんどのRVパークには、時間制の電気を供給できるスタンドが確保され、サブバッテリーの充電やタップリの電力での調理などができるのも利点。写真のようなスタンドがない場合でも、施設の基準に電源供給が含まれているので、料金体系は別にはなるが必ず利用できるはずだ。

いかがだろうか、このような施設が全国にすでに100箇所以上用意され、中にはかなり街中の繁華街に隣接するような施設もある。前述のバンテック京都店などは、それこそ京都見物をするのに絶好の位置だし、歩いてすぐのところにコンビニがあり街道にはファミレスや居酒屋、スーパーなどもあるのだ。泊まってみると快適すぎると思うくらいである。

もちろん野趣タップリのような施設もあるので、いきなりエキスパート的なキャンプを始める前に体を慣らすような気分で、全国に点在するそのような施設めぐりから始めてみてはいかがだろうか。何度かやっているうちに、キャンピングカーの快適性や使う楽しさがドンドン増してくるのを理解できるはずだよ。

くるま旅RVパーク
http://www.kurumatabi.com/rvpark/

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第97回】国産キャブコンの可能性を高めたノーブルシート


国産キャンピングカー、モーターホームの主流はカムロードをベースにしたモデルといって間違いはない。カムロードはキャンピングカー専用シャシーだけありその利点は数知れないが、普通に作るとどうしても煮詰めきれない部分があった。

その1つが、運転席直後のキャブ段差部分のスペースを有効に活かしきれないこと。さらに、構造的にキャンプ中にフロントシート部分のスペースもうまく利用できないということも起こってしまっていた。

そういった問題を解決するために編み出されたのがノーブルシートで、走行時には折りたたんでコンパクトなシートになり、キャンプ中にはフロントシートを前に倒すことによって出来るスペースに前方スライド、足元も広々としたリクライニングソファとして利用できるようにした。

もちろんそれら操作は、キャンピングシェル側からすべて簡単に行なえるようフロントシートリクライニングレバーを拡張し、バンク下に新たなケーブルが増設されているので、たとえ雨の日であっても外に出る必要もなく濡れることなくシートアレンジを完了することができる。

またこのセカンドシートになる部分は、フロントシート側からも折りたたみ作業ができるように設計されているので、移動するときにサッと片付けることもでき、キャンプ・運転時での利用のしやすさに十分配慮されているのである。

極論を言えばこの機能は、限られたキャブコンのスペースを最大限有効活用させる、とにかくリヤに位置する固定ベッドを広く保ちたいというレイアウト上の目的から生み出されたアイデア。おかげで、寝心地の良いクイーンサイズのベッドが設けられたわけだが、ベッドマットをわざわざ縦方向にセパレート化し横に寝ている人の寝返りの影響が出なくしたり、徹底的に寝心地にこだわったスプリング機構を組み込んでいるのも、ノーブルがこだわりを見せている部分でもあるのだ。

そして注目すべき点は、バンクベッドとの位置関係である。通常バンクベッドは就寝定員を確保するという点から、キャンピングシェル後方側へグッと延長させ利用する機構が取られることが多い。しかしノーブルの場合はすでにリヤに広大な就寝スペースがあるためそういったことをあえて行なう必要が少ない。

結果として、バンクベッドで誰かが就寝中であっても、前方にスライドし設置したノーブルシートで普通に座ってくつろげるヘッドクリアランスが確保されている。この使い勝手は少し長めのキャンプをすると有り難さを実感すると思う。なにしろ、ベッド状態のままのバンクベッドであっても手間なくそのまま移動もできるしくつろぐこともできるのだから。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com