【第85回】外部電源利用で快適な生活環境を


多くのキャブコンなどには電子レンジが付いたり、最近ではルームエアコンを装備したりという時代になってきた。それらを利用するのに、サブバッテリーの電力を家庭と同じ交流にするためにインバーターを利用する。

そうすることにより、走行中、キャンプ中を問わず家庭用電源の利用が内部コンセントから行え、生活スタイルが豊かになる。もちろん、外部電源を接続することも可能だ。

ところがこの交流というのは曲者で、直流のように大雑把に電源ソースを並列化する事は基本的にできない。ウッカリつないでしまうと、火花が飛び散ったり接続している機器を破壊してしまったりする。

そこでキャンピングカーで外部電源接続時に、電源ソースが並列状態になって電気の衝突を起こさないようにする装置がオートセレクターの機能だ。

オートセレクター本体は、キャンピングカー内のコンセントへの家庭用電源供給は、通常時インバーター出力に接続。外部電源が入力されると、その電力でオートセレクター内の電磁石が作動してスイッチが切り替わり、外部電源からの供給となる。いわゆる、大容量リレーだ。

バンテックのキャブコンでは、発電機を搭載できる消音箱のアイボックスをオプションで装備すれば、その出力も外部電源同様に切り替えられる。

キャンプ場やRVパークなどでは電源を確保することが普通にできるが、そういった場でない時は発電機の存在はかなり心強いことは、経験的に筆者も理解している所。

こうして外部からの電力供給ができれば、サブバッテリーの電力容量を気にしての使用ではなく、気兼ねなくエアコンや電子レンジをたっぷり使うことが可能で、より日常の家庭生活と変わらない快適さが得られるのだ。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第83回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その3


サブバッテリーについての3回目。今回はサブバッテリーというキャンピングカーならではの装備が、どういった感じでコントロールされているかを考えてみよう。この辺りが理解できると、キャンプ中に電力を自分なりにうまく使えることの手助けになるはずだ。

バンテックのキャブコンの場合、走行中キャンピングシェル内での家庭用電源供給は、エンジンについているオルタネーター発電から直接変換して利用できるようになっている。カムロードベースで130Aオルタネーターがついている場合などでは、サブバッテリーの充電を行いながらの連続使用も十分可能となっている。

また、サブバッテリーをメインバッテリーに接続するのはシグナルスタートチャージシステムという方法を採用。エンジンがオルタネーターで発電を開始するまで並列接続されるサブバッテリー回路を切り離しておくようになっていて、基本的にメインバッテリーを保護する回路の仕組みになっている。

インバーターを使う家庭用電源はともかく、キャンピングシェルに装備される電装品のそのほとんどが直流12V。いわゆる明かりやポンプ、音響設備などであるが、これらを点けっ放しにしておくと電気容量を際限なく吸い出してしまい、その後のサブバッテリー性能を著しく低下させかねない。

そこで、それら負荷との間にバッテリープロテクターという制御器を挿入することで、過放電を防止し性能劣化を最小限に抑えるようになっている。この機器は、電気の使用を続けサブバッテリー電圧が下がると負荷回路を切り離しサブバッテリーを保護。その後バッテリーが充電され電圧が上がると回路を再接続する。

もちろん回路が切り離されているときはキャンピングシェル内の電装品は使えなくなるのだが、サブバッテリーの再充電に適した下限の状態は維持されるので、結果的にはサブバッテリーの超寿命を実現できるものだ。

ただ、キャンプ中の夜中にいきなり電源が切れてもにっちもさっちもいかなくなるが、かなり正確に電力の残量が見える、パーセンテージでも表示できる残量計を用意しているのでそれを参考にすれば効率的な使い方ができるはずだ。

この残量計は単なる電圧による簡素なものではなく、一般的にはシャント抵抗と呼ばれる分流器を負荷回路に通し正確に流れている電流量をセンシングし、あらかじめ自分でセットしたサブバッテリー容量をベースに積算による計算を行っている。もちろん充放電のすべてが反映される。回路的にはそれなりに複雑にはなるが、使う側にしてみれば特に気にしないでもいつもと変わらない生活が送れる、それでいて最小限のパーツ構成で故障率を下げる。そういった試みがしっかり検証された上で組み込まれているのである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第81回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その2


通常モデルだと、サブバッテリーへの充電はメインバッテリーとリレー等を介してエンジンのオンオフで接続・解除をして充電ができるようになっている。その場合使われるのがたいてい5.5sq(スケア)とう、JIS規格に則ったサイズによる導通部断面積が1.5㎟のものだ。

なぜ5.5sqなのか? それは一般的に使えるヒューズが電流量で30A止まりというか、それ以上だとちょっと特殊になるからである。もちろん30Aを最大電流量とするのであれば、計算上は3.5sqで事足りるが、通常安全率で倍を用意したいので50A対応の5.5sqになるというワケである。

ところがバンテックのキャブコンでは、前回も記したように300Ahほどの強大なサブバッテリーを用意している。これが多少電気容量が減っている状態で走行充電すると、30A以上の、とてつもない量が流れるのが常。となると許容量が50Aのケーブルでは到底足りない。そこで用意したのは22sqのケーブルで、115Aほどの電流に耐えられるものである。

カムロードの発電をしているオルタネーターは最大で130Aなので、充電に回ってくる電流量がケーブル許容電流量を超えることはないのだ。もちろん、オルタネーターは最大電流量で発電することはまずないのである。

さらに前回紹介しているバンテックのキャブコンでは、セパレートタイプのルームエアコンを搭載しているモデルが増えてきたが、これが最大で600W定格で消費した場合、強引にDC12V換算すると50Aとなる。走行時はその電気をオルタネーターから引いてくるワケで、22sqなら、充電しながらエアコンが使えるということになるのである。

通常の利用において、サブバッテリーの管理はバンテックの車両の場合あまり考える必要がない。キャンピングシェル部の電気を使いたい時は、そのシステムを動かすためのスイッチをオンにするだけ。通常は運転席とエントランス脇に用意されている。

特に運転席横のスイッチにはチャージエラーランプ(左写真の左側LED)が用意されているので、サブバッテリー充電回路がなんらかのおかしな状態に至った時、素早く気づくことができるようになっているので安心。

身に付けなければいけないのは、キャンプに出かけるときにサブバッテリースイッチオン、帰ってきたらオフして長時間停車での無駄な電気消費を回避する、それをクセにすることだけ。たったそれだけで快適な環境を確保できるなんて、幸せである。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第79回】サブバッテリーの重要性を突っ込んで考える。その1


キャンピングカーの装備は様々なものがあるが、その中で特に重要な位置を占めていて乗用車にはまずない筆頭のものといえば、サブバッテリーがそれにあたると言えそうだ。日本におけるキャンピングカーのキャンプ場や旅での利用方法、環境の状況から、その存在価値は近年ますます高まってきている。

そんなこともあり、バンテックがリリースするキャブコンの多くは、大容量の100Ahサブバッテリーを3個並列接続するなど、かなりの充実度が見て取れる。もちろん、充放電がきちんとできるよう十分テストされたシステムで、ほぼメンテナンスフリーでその大容量の電力を利用できるようになっている。

単純に考えて、これだけの容量があると週末に家族でキャンプに出かけ、電気が足りなくなることは通常起こらないだろうと思われるサイズ。もちろんそれは、使用開始が満充電になっているという条件においてである。

そんな大容量を必要としたのは、何しろやたらに暑くなって湿気の多い夏が日本で当たり前に観測されるようになったから。避暑地に行っても暑いくらいなので、エアコンを装備しないと快適な環境を作れなくなってしまったから。

そのためエンジンを止めている時、家庭用のセパレートタイプのルームエアコンを装備しそれに対処しようとすると、外部電力や発電機があるならいざ知らず、バッテリーの電力をインバーターで変換し使うしかなく、どうしてもサブバッテリーが大きくなってしまうのだ。

日本の環境では、ほとんどの場合発電機を回して駐車するなどはできないし、キャンプ場でも外部からの電源が取れないところも多い。結果としてサブバッテリーの電力に頼ることになることが多いので、3本積みというスタイルになってきた経緯がある。

重量的にはサブバッテリーだけで大人1人分に相当してしまうが、そこから発生する電力でルームエアコンはおおよそ4時間程度動かせる。これなら、就寝時の寝苦しさを十分回避できる能力だし、うまく利用するともっと少ない消費電力で運用できるはずだ。

さて快適なキャンプ生活に大事なそんなサブバッテリーの話を、この後バンテック製キャブコンを素材に何回かに分けて説明していこうと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第77回】キャンピングカーの使い勝手を向上させるセキュリティ集中ドアロック


キャンピングカーをそれまで乗ったことがない人にとっては、鍵についてのキャンピングカーを取り巻く状況はさすがに知れ渡っていない。世の中に出回る多くのキャンピングカーは、乗用車では当たり前の集中ドアロックが付いていなかったり、外部バゲッジドアの鍵がそれぞれ違っていて、たくさんの鍵が必要になるなど様々なことがあり得るのだ。

それでは不便さがつのるので、バンテックのキャブコンではエントランスドアをセキュリティ集中ドアロックとし、最も開け閉めする可能性の多い部分で激的に使い勝手を高めている。

さて、そもそも乗用車には今や当たり前の集中ドアロックとは何かと言えば、乗降用のドア全部とトランクやリヤゲートのキーロックがリモコンで施錠開錠が行なえるというもの。さらに開錠していずれのドアも開けなかった場合、大抵30秒ほどで再度ドアロックが全てに施錠されるという仕組みになっている。便利であることは間違いない。

キャブコンにおいては、この場合トヨタ・カムロードを指すのだが、ベース車両のリモコンドアロックは乗用車同様のシステムが組み込まれる。いわゆるフロントシートの両側ドアがそれにあたる。

多くのユーザーはさらに便利に乗降したいと考え、エントランスドアにもリモコン開閉の、アクチュエーターと呼ばれるシステムなどをベース車両のロックに連動して動くよう組み込むことが多いのだが、これは単純に施錠開錠だけができるもので、ベース車両のドア開閉とは連動しないことがほとんど。

この時何が起こるかといえば、まずロックされているキャンピングカーがあったとしてそれをリモコンで開錠。エントランスドアから乗り込んでサッと用を済ませエントランスドアを閉めて降車する。ところがこの状態ではエントランスドアの開閉はベース車両のシステムでは開閉を認知していないので、大体30秒ほどでエントランスドアも含めロックされてしまう。この状態に陥ったとき車内にリモコンを忘れていると、インロックされ大変なことになってしまうというわけ。

そこでバンテックのキャブコンでは、エントランスドアの開閉もベース車両のフロントドア2枚同様開閉をシステムに認識させることにより、上記のようにロック解除した場合にエントランスドアからの乗降があったら自動でロックがかかることがないようになっているのだ。乗用車からみれば当たり前のシステムなのだが、ちょっと特殊なキャンピングカーのエントランスのロックシステムにとってはかなり導入には難しい部分があったりもするのである。

余談だが、2重ロックなどを持つエントランスドアが多く、その鍵の材質上の問題から鍵そのものの磨耗や破損が意外と起きやすいウィークポイントがあるのだが、これは何十年にもわたって改善されることがない。その理由は未だ不明ではあるが、現物の鍵ではなく安心してリモコンで施錠解錠できるということは、脆弱な鍵を曲げたり折ってしまったりというリスクを極力避けられるという点でも、バンテックが採用するセキュリティ集中ドアロックは有効な手段なのだ。

関連リンク:後悔しないキャンピングカー選び

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