このところ、このコラムを利用させてもらい灯だなんだと書いてきたのだが、その最中に国内のあちこちでとんでもない事がたて続けに起こった。それは災害でありどうにもならないことなのかもしれないが、これまで各地で起こった避難しなければならない経験が、なかなか現場では生かされていな
いことも如実にあらわになったような気がする。
それは灯に関してのこと。被災地では、備蓄の水と食料はあるものの、電気的にブラックアウトになった時真っ暗になりそれに対応できる設備が想像以上に存在しないことである。大問題だよね…目先が見え無い恐怖は計り知れないことだし。
というわけで、相当強引だけど今回は、東日本大震災以降個人的にもかなぁ~り真剣に実験して得られた「灯」に関しての話を2回に分けてぶってみようと思う。ありがた迷惑な話ではあるが、ほんのちょっとお付き合い頂ければ幸いだし、普段のキャンプの中でも活かせてもらえればと期待します。
ところで、北海道の停電のなか何処ぞのテレビ局さんが、避難所に自分達が持ち込んだツナ缶に芯を付け灯にしてもらってますみたいな報道があった。
余りに自画自賛とは思われるもののそれはそれでいい。ただ、そのツナ缶はそのあと食べられる状況ではないだろうし、どうするの? その生ゴミ?というのが私的見解。処理できない状況下でゴミ出すなよ…という気分。避難所ではゴミだって大問題なんだから。
ツナ缶で作るランタンは以前から有名で、ゴミのことも含め考えたのは、中身はフォークなどでしっかり美味しく頂き可能な限りオイルを残したままにする方法。そこへ自前の芯を立てる。でもこれは目の前にあるものですぐにできるというわけでもなく、たとえばアルミ片で作った芯の筒型のホルダーとか微妙に工夫が必要だった。そもそも避難所などでの配給にツナ缶はないだろう。
ではどうするか? 食用油使いましょう。ちなみにツナ缶は油漬けのものはサラダオイルかオリーブオイルは大丈夫だが、ノンオイルタイプでは当然火はつきません。というわけで、もっと手軽に手に入る材料、お台所にあるサラダオイルとかオリーブオイルで十分ご機嫌な灯を確保しよう。しかもメチャメチャ簡単に。
お皿にティッシュペーパーを撚って芯を何かで立て、火を点ければいいだけ。昔ながらの行灯です。これが一番簡単だが、倒れたりするロウソクと同等の危険度があるということは頭に入れておこう。
理屈が分かると、もうちょっと明るさを増したいと思うのは人の常。そこでもう少しお台所を見渡してみると、きっと誰の家にもジャム缶や何かの空き瓶が転がっているに違いない。それを利用すると、お皿などに比べ安定性も高くなるし持ち運びもでき、ツルを付ければぶら下げることもできるうえ、フタで消灯もできるようになる。
芯はティッシュペーパーを撚ったものをいくらか用意し、それをアルミホイルでまとめビンの中で倒れないように細工してみたもの。
やってみると理解できるが、そのうち灯り兼コンロにならないかと画策してみたくなる。火力は弱いものの、それはできます。空き缶の底などを使い縦方向を薄くすることで、家庭用コンロの口においてゴトクを利用してお湯を沸かすくらいのことはできるようになる。写真はその様子だが、ガラスポッ
トの底はかなりススで汚れるのは否めない。
灯りが意外と簡単な仕組みで確保できることを理解してもらったところで、次回はもっと楽しくいつものキャンプでも利用できる方法を紹介してみようと思う。