【第59回】スーパーロングベースのラグジュアリートランポを目指したフレア


バンテックは、創業当時こそバンコンメーカーだったが、フレアが登場した’08年には押しも押されぬキャブコンのトップメーカーになっていた。そんな状況で、優れたベース車両として登場してきたハイエース・スーパーロングの特装ベース車を、ラインナップに加える試みがd-boxと同様に行われたが、それほど長続きはせず、現在では残念ながらラインナップから消えている。

バンテック製キャンピングカー FLARE(フレア)

レイアウト的には極めてシンプルで、前後に向くセカンドシートの後ろには折り畳みのできる巨大なソファベッドを設置し、キャンプ等で必要になるキャビネット型の収納兼キッチンカウンターを設けた。

バンテック製キャンピングカー FLARE(フレア)

丸みを帯びた座面のソファを跳ね上げると、広々としたトランポスペースが生み出されるものの、アンカー設備などが設置されているわけではなく、床張りも含めあくまでキャンパー的な作りに徹している。ソファベッドをベッド展開して常設ベッドのように利用するのも簡単だった。

ただこのコンセプトが、今一つユーザー層にアピールしきれなかった。便利なのだがトランポともキャンパーともどっち付かずだったのかもしれない。

バンテック製キャンピングカー FLARE(フレア)

実際、余裕ある室内容積に任せて人気のある多人数乗車定員を確保したいなら、ダイネットを形成するために折りたたみのシートをわざわざ作る必要もなかっただろう。こうしたのは、セカンドシートから後ろのカーゴスペースをたっぷり用意したかったからに他ならないのだ。

確かになんでも要求を満たしきる構成は難しいに決まっているのだが、定番の二の字レイアウトをスーパーロングボディで実現したd-box、標準ロングでポップアップを装備するマヨルカなどと比較すると、コンセプトは理解できてもアピール度が低い。できあがりのクオリティが確保されているので、ユーザー層はもっと多機能を欲しがる傾向があったのかもしれない。

正直に言えば、このカーゴスペースを十分使いこなすだけの遊びや方法を知っていて、乗車定員をそれほど普段必要とすることなく、なおかつスーパーロングの大きなボディサイズを日常で取り回せるユーザー層というものが、今一つ日本では成熟していなかっただけなのかもしれない。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第58回】いつもの洗車で汚れが落ちづらくなったら、FRP専用洗浄剤の出番


ゴールデンウィークまっただ中。これからキャンピングカーで出かける人もいるだろうが、出かける前にまずは洗車!という人も多いのではないだろうか。

 新車で購入した場合、しばらくは水洗いだけでも簡単に落ちていた汚れがだんだんと落ちづらくなり、いわゆるバーコード汚れといわれる縦縞の汚れなどがついてしまうと、とくに洗車が大変だ。

 まめに洗車をしていればいいが、ボディの大きなキャンピングカーの洗車は手間がかかるので、どうしても面倒になってしまう。

 そうして何年も経つと、指でなぞるとガサガサしてツヤのない状態のFRP表面になり、カビ汚れも付いてくる。

 こんな状態になっていたら、普通のカーシャンプーではいくらやっても汚れが落とせない。そこでFRP用リストアー&ワックスの出番だ。まずはFRP表面を水洗いして水分を拭き取ったら、リストアー&ワックスをスポンジに適量取ってワックスがけと同じように作業するだけ。

 カビや水あかなどカーシャンプーだけでは取れなかった汚れがおもしろいように落ちていく。ワックスをかけおわったら、最後にきれいなウエスでワックスを拭き取ればFRP表面にツヤが戻る。

 磨き用コンパウンドと特殊なつや出しワックスを配合していて、しつこい汚れを落としながら表面には色つやを取りもどすことができるすぐれもの。新車登録してから3~5年が経った車が対象となる。

 また、新車登録後で3年未満の車に使うならFRP用クリーナーワックス(#103015 1,404円)がおすすめ。

 FRPや塗装面の軽度の汚れ用で、こちらもリストアー&ワックスと同じようにコンパウンドで磨き、同時にワックス掛けができるように開発された商品だ。

キャンピングカーパーツセンター ♯103014 FRP用リストアー&ワックス

ケミカル用品
♯103014 FRP用リストアー&ワックス
価格:1,404円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第57回】時代の欲求、愛犬とともにランディで快適なキャンプ旅



キャンピングカーを旅車として選択するユーザーにおいて顕著なのが、ペット同伴の移動をメインに据えその所有率が通常の車より高いことが挙げられる。特に中型犬以上のワンちゃん連れのご家族は驚くべき頻度である。

もちろんそれは“家族”であることも重要なのだが、自由な時間に一緒に旅できることや、ペット同伴による宿泊に自由度が少ない日本の環境が影響していることは間違いないだろう。さらに時代が進み、国産のモーターホーム系が停車時にもエアコンが使えるようになってきた意味合いは、ある意味絶対条件になりつつあるのかもしれない。

バンテック製キャンピングカー CORDE RUNDY(コルド ランディ)

そんな事情が影響してか、バンテックにかなり特異なレイアウトと装備内容で登場して来たのがランディ。正直言えば大ヒットモデルというわけではないが、見る人が見れば“ウゥ~ン”と唸らせる内容がてんこ盛り。

それを実現するため、乗車定員は6名ながら、レイアウトはまるで2人で使用することが前提になっているような趣き。移動時はフロントシート、くつろいでいるときは車両後ろ半分が丸々ラウンジ型ダイニングという大胆なもの。

バンテック製キャンピングカー CORDE RUNDY(コルド ランディ)

フロントシート上にあるバンクベッドは、通常とはかなり違う折りたたみ式ツインベッド仕様。横に寝ている人に気を使うことが少なく、フロントシートからマルチルームやリヤダイニングスペースへの移動がすこぶる楽な移動になるよう設計されている。

バンテック製キャンピングカー CORDE RUNDY(コルド ランディ)

今やペット連れキャンピングカーの定番となりつつあるセパレートエアコンを装備し、移動の食事や休憩時にサブバッテリーでエアコンを3時間以上駆動することができるので、安心して車内に置いていけるのもありがたい機能なはずだ。

また、このエアコンの下スペースは一段高い設定になっていて、キャブとシェルの高さ段差をかなりの床面積で吸収している。その横側面下部にはウインドウが付き、ワンちゃんが外を眺めていられるという嬉しい特典付き。さらにそのスペースは、ちょうどワンちゃんが移動中に中央から前を見るのにいい位置になっているのも見逃せない。

バンテック製キャンピングカー CORDE RUNDY(コルド ランディ)

特筆すべきは、エントランスを開けた目の前のフロアが、マルチルームまでつながる一体型シャワーパン構造になっていて、“土間”と呼ばれるそのスペースのおかげで、散歩から帰ってきてもそのまま上がれるし、靴も履いたままで大丈夫。もちろん水洗いで流せるドレンを装備しているので、通常の使い勝手をスポイルすることがないどころか利便性は高まっていると言える。

万人の目的の最大公約数ではなく、使う目的者のニーズをきっちり拾い上げる、そんなモーターホームがワンオフモデルではなくカタログモデルとして登場してきた意味合いは、ある意味日本のモーターホーム市場の成熟度が高まって来たことを意味しているようだ。

バンテック製キャンピングカー CORDE RUNDY(コルドランディ)

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第56回】200系カムロード用 エアコンの効きがよくなるサブコンデンサー


カーエアコンは液体が蒸発するときに周囲から熱を奪う仕組みを利用して温度を下げている。エアコン内でエアコンガス(冷媒)が気化→液化→気化を繰り返して空気を冷やしているのだ。

 コンプレッサーで圧縮したエアコンガス(冷媒)は高温、高圧の気体状になってコンデンサーに送られ、コンデンサー内で冷却することでエアコンガスを液化する。

 レシーバータンク内に一時的に液状のエアコンガスを貯蔵し、エキスパンションバルブから霧状にして噴射して気化させやすいようにする。

 そしてエバポレーターではエアコンガスを気化して周囲の空気から熱と湿気を奪って、除湿した冷たい空気を作り出す。ここでエアコンガスは低温、低圧の気体状になり、またコンプレッサーへと送られる。

 家庭用のセパレートエアコンでいうとコンデンサーが室外機、エバポレーターが室内機の部分にあたる。

 簡単に説明すると以上のようになるが、近年の猛暑で外気温が35℃を越えると、車内は50℃近くになり、エアコンの効きも悪くなってくる。

 そこで今回紹介するサブコンデンサーの出番となる。既存のコンデンサーにボルトオンで装着することでエアコンガスを効率よく冷却できるようになり、結果エアコンの吹き出し口からの冷気の温度をさらに2~4℃下げることができるのだ。

 2001年以降の200系カムロードが対象となり、リヤクーラーを装着している車両にはとくにお薦めしたいパーツだ。

 ただし取り付けには専門の技術と経験が必要で、誤った取り付け方をすると重大な事故につながる恐れがある。取り付けは専門店へ。注文の際には備考欄にカムロードの型式と取り付け業者名を忘れずに明記。

 

エアコン関連
♯165720 200系カムロード用サブコンデンサー
価格:119,750円(税込)

浅井 佑一
著者:浅井 佑一
キャンピングカー専門誌「オートキャンパー」編集部を経て、現在は旅とキャンピングカーをテーマにしているフリーライター。キャンピングカーで車中泊しながら、全国の道の駅をまわっている。旅の様子は「オートキャンパー」にて連載中。 http://rvtravel.jp

【第55回】ルネッタは軽キャンパーの新たなる潮流


ルネッタ”の登場は衝撃的だった。なにしろ、キャンピングカーショーに登場した途端、いきなりネットニュースのトップになったのだ。キャンピングカーにおいて、こんなに注目されたことはこれまでにない。

バンテック キャンピングカー 軽キャンパー・ルネッタ(Lunetta)

そんな状況を生み出したのは、大人気の軽キャンパーというカテゴリーにおいて、他モデルとはまったく違うクオリティで製作されたモデルであることが大きい。その仕上がりは、いってみればモーターホームのそれなのだ。

バンテック キャンピングカー 軽キャンパー・ルネッタ(Lunetta)

室内に目をやるとそこにあるのは、国産キャブコンやフルコンでも滅多にお目にかかることができないプルダウンベッドが付いているのである。もちろんバンテックオリジナルで、ルネッタ専用に設計されているもの。

この装備があれば、決して広いとは言えない軽自動車の容積でも、大人が複数で快適に就寝できるのである。

バンテック キャンピングカー 軽キャンパー・ルネッタ(Lunetta)

装備だけでなく、家具の仕上がりにもこだわっている。間に合わせで作ったというものではなく、職人泣かせのかなり凝った造形を持たせているのだ。ギリギリまで寸法を切り詰められたそのなかに、ランク上の1ボックスキャンパー同等の設備を搭載する。

さらに軽だからといって小型タイプを採用するわけではなく、1ボックスキャンパーと同様なバッテリーや給水システムを諦めていない。これによる実用性の向上は言わずもがなである。

バンテック キャンピングカー 軽キャンパー・ルネッタ(Lunetta)

現代の車らしく、電気まわりも充実している。サブバッテリーが大きめのものがあるからこそ可能なことだが、いまどきの使いやすさを追求した形になっているのである。

車そのものが売れない現代の日本において、軽自動車がファーストカーとしての地位をしっかり築き始めている。そのような背景を持っているから、ルネッタのような本物のクオリティで勝負をかける軽キャンパーの存在も注目を浴びるのだろう。

バンテック製キャンピングカー「軽キャンパー・ルネッタ(Lunetta)」の詳細ページ

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com