【第139回】クックウェアをスタッキングして高効率化Part2


前回に続きスタッキングの話だが、今回はよりオートキャンプっぽいセットを紹介してみよう。

それは、基本的にホームセンターで購入したケースに必要なものがまとまっている状態で、収納庫にも入れやすく車中泊の場合に簡易テーブルか作業台としても利用できるようにしたもの。

中身は燃料も含め調味料まで入っているので、あとは食材のクーラーボックスがあれば1~2人の車中泊なら余裕で対応できる。人数が多いファミリーキャンプの場合は、同サイズのケースをもう1つ用意してあり、その中には4人分の食器類や調理器具、カトラリーなどを収納しているので、状況に合わせそれを持ち出せばいいだけである。

スタッキングで一番苦労したのは、やはり調理器具の小型化とその中に入るカップやお玉、フライ返しを組み合わせで探すこと。さらにこのセットを用意した当時は今ほど超小型グッズが充実していたわけではないので、コンロとランタンの選定には相当迷った。もちろん燃料を何にするかも含めてだ。

今ならコンロは十分な火力の超小型が手に入るし、ランタンは折りたたみ式のソーラー充電タイプでもいいのではと感じている。

前写真は実は海外でのキャンプへ持ち出しすることを考えていたので、スタッキングで小さくなることも重要だったが、すべてがチタン製でまとめてある。持ち出しの時の手荷物重量を軽減したいのがその主な理由だ。もちろん現地での燃料確保のしやすさも重要な問題。

海外でキャンピングカーを借りる場合、寝具類やクックウェアはすべてレンタルできるのだが、クックウェアは最低でも4人分が基本のところが多く、道具のサイズも一般家庭のものなので1人分では使いにくいというのも理由の1つ。多少レンタル料金を抑えられるというのも頭にはあった。

ただしチタン製の場合熱の伝わり方が特殊なので、調理の方法が少し限られる。写真を見てもらえばわかるが、コンロの炎が当たった一部分だけが色が変色していることからも、なんとなくそのイメージがつかめてもらえるかと思う。また、コップに熱いものを入れておいても吸い口はまったく熱くならないので、猫舌にはかなりつらい状況がままあったことも付け加えておこう。

さて次回は、最近超お気に入りの持ち運びスタッキンググッズを紹介してみよう。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第137回】クックウェアをスタッキングして高効率化 Part1


前回のコラムで、コンパクトにまとめたキャンプサイトのグッズ作りを紹介した。それは便利なものなので、ぜひ常備品として試してみてほしい。しかもコンパクトな道具は昨今ではかなり人気があり、各アウドドア用品メーカーが魅力的なものを発売しているのでそれで事足りることも多い。

ただ実際にのめり込み始めるとなかなかうまくいかない、というより市販品を買ってくるだけではどうにもサイズ的に収まりが悪いのである。そこで自分で試行錯誤し作り上げたパッケージが前回写真でも紹介したクックウェアのパック。なんとかして1パックにまとめようとした結果だ。

全部を1つにするのには、アウトドア用品だけでなく普通の道具屋さんや100均などをフル活用。例えば箸やスプーン、もんじゃ用のフライ返しといったものは100均、コップ代わりの計量カップはスタッキングできるよう取っ手を改造、アルコール燃料を入れるボトルはそもそも飲むためのアルコールが入っていた小瓶といった具合。

調理器具としてかなり重要だったのがしゃもじ。どうしてもご飯を炊いて食べたかったので、100均で売っていた手巻き寿司用のものをサイズと形状を加工しフライ返しになるようにもして収納できるようにした。一緒に付いていた巻き簾は、ゴトク替わりのウッドガスストーブをテーブル上で利用するときの下敷きにしてみた。

クックウェアで大事になるのは熱源。このセットは様々なキャンプでヘビィーな使い方を想定しているため、鍋類はフッ素加工などがされていないステンレス製にし、基本のストーブはアルミ缶で自作したもの。調理方法により火力を変更できるよう、大小2つのストーブをスタッキングできるようにし、空き瓶の蓋で消火できるようにした。着火用のライターと火打ち石も内蔵させている。

また、ホームセンターや100均などで固形燃料が手に入るものも使えるし、キャンプ場などでは薪を燃料とすることもできる、マルチフューエル化を果たしている。

このセットはバックパッキングやバイクツーリング、オートキャンプなどでマルチに使えるので、実は常備品からははずれ自宅に置いている。その心は、震災で持ち出すパッケージとしても優秀だと思われるからである。

さて次回は、オートキャンプに的を絞ったスタッキングをやってみようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第135回】1人用のキャンプグッズを常備しよう


最近の自分でやっているキャンプの傾向なのだが、キャンピングカーや車中泊用の車の中に、1人用の旅に出られるだけのセットを詰め積載している。それはいわゆるバックパッキングでトレイルするような道具なのだが、これが結構フィールドでチョコっとおつまみを作ってみたり、好きな時にゴロッとなってみたりするのに実に都合がいいということに気付いた。

さらに、必要なものをバックパックにコンパクトにまとめておくと、現地でちょっと出歩いてみたいと思った時に、あれやこれやと悩まずサッと持ち出せるうえ収納庫内で取っ散らかることもなく重宝している。

確かにザックタイプのものだと出し入れに少し工夫がいるが、それをトートバッグのようなものに置き換えれば、収納庫にもポンと置いておけるうえフィールドに持ち出し歩き回るのも簡単、もちろん日常で1人用のグッズを気軽に取り出しいつでもフル活用できるようになることは間違いない。

そんな私の1人用キャンプグッズの中身はというと、左上から3×3mのタープと超小型ペグ、左は寝心地バツグンのコット、写真を撮るための一脚はタープをツェルトとして使うときの支柱にも使用、ローテーブル、調理やランタンに使う三脚、水玉の袋はバーナーやカトラリーも一緒にパックしたもの、その下は火にかけられる水筒で、鍋とウッドストーブも組み合わせてある。

実はザックの背面部にはチェアも折りたたまれ入っているので、あとは食料と小型のシュラフがあれば、相当な日数をトレッキングできるという代物である。

この中で、日常のキャンピングカーなどでもフル活用できそうなのが、水玉模様のポーチに入った調理・カトラリー類ではないだろうか。その内容は、基本的な鍋類にウッドストーブを調理のごとく&風防として使い、燃料にアルコールを使ったストーブを使用。箸やスプーンはいろいろな商品からサイズの合うものをチョイスしたり、自分で改造して使えるものにしたり。

これだけ揃っていると、タープ下のテーブルの上で必要なものが完備されている状態。通常車内で使っているものを持ち出すこともなく、道具がゴチャゴチャになったりしまう場所に苦労したりすることもない。

本当のことを言えば、こういった自分専用のセットを作る過程がものすごく楽しく、ある意味キャンプ生活の王道でもあると感じている。しかも、この手のセットがあると災害時に本当に役に立つのは、かなり以前から実体験ずみだったりもする。シンプルで、燃料が手に入れやすく、道具に頼り過ぎず、それでいて応用が効く道具類、それがコンセプト。

というわけで、自分のキャンプスタイルに合ったオリジナルのセットを作って常備してみてはいかがだろうか。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第133回】身近なもので明かりをつくるスキルを手に入れるPart2


前回に続き灯りの話。今回は実際に普段のキャンプで使えるちょっとお洒落な部分にも気を遣って考えてみようと思う。写真はガラス製植木鉢に、特製の芯を作ってテーブルキャンドルとして作ってみたもの。ランタンほどではないものの、テーブル周辺は十分以上の明るさを確保できるもの。作り方は後ろで。


その前にもう1つ…災害などでセッパ詰まった最悪な状況の場合は、350mm缶などがあればかなり幸せ。ハサミ1つで反射鏡状態も作り出して組み合わせれば長時間燃焼が可能だし、オイルの継ぎ足しも簡単。こちらの芯はキッチンペーパーを利用している。反射鏡があることにより、より実践的な利用方法が考えられるはずだ。

話を冒頭の写真に戻して、日常のキャンプで使うという時間的余裕があれば、物凄く効率よく明るい炎を出す方法もあり、普段のキャンプ生活で活用しても十分な明るさだと思う。ともすれば強すぎるランタンの明かりと違い、雰囲気がありつつも十分な明るさは会話もお酒もすすむこと間違いなし。

作り方はムービーを見れば分かると思われるが、用意するのは細めのアルミ缶と工作用にカッターナイフ、ラジオペンチ、キリ、ハサミなど。芯はティッシュペーパー2枚重のもの1枚、燃料のサラダオイル等は適宜。

なぜこんなに手の込んだ細工をしているかと言うと、芯のホルダーになるアルミ缶の底をくり抜いただけでも十分火は点くのだが、どうやら空気の流れに沿って空気の取り入れ口を設けることで、より一層しっかりとした炎が得られるようだからである。

なぜ食用油なのか? それはどこの家庭でもあるだろうし当然普段のキャンプにも持ち込んでいるだろう。もしなくても、危機的状況下においても圧倒的に手にいれやすい燃料と言えるから。停電や災害の時に仏壇ロウソクを利用するより、結果的に安全に運用できるということも大事な話かも。

この夏に起きた災害においても、かなりキャンプ道具類はそれぞれに役立っていることは見て取れるのだが、現場ではホワイトガソリンやカセットガスなどが手に入りにくいのも事実。せめて灯りくらいは、身の回りのもので安全に確保できるスキルを身につけてみてはいかがだろうか? という提案なのでした。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第131回】身近なもので明かりをつくるスキルを手に入れるPart1


このところ、このコラムを利用させてもらい灯だなんだと書いてきたのだが、その最中に国内のあちこちでとんでもない事がたて続けに起こった。それは災害でありどうにもならないことなのかもしれないが、これまで各地で起こった避難しなければならない経験が、なかなか現場では生かされていな
いことも如実にあらわになったような気がする。

それは灯に関してのこと。被災地では、備蓄の水と食料はあるものの、電気的にブラックアウトになった時真っ暗になりそれに対応できる設備が想像以上に存在しないことである。大問題だよね…目先が見え無い恐怖は計り知れないことだし。

というわけで、相当強引だけど今回は、東日本大震災以降個人的にもかなぁ~り真剣に実験して得られた「灯」に関しての話を2回に分けてぶってみようと思う。ありがた迷惑な話ではあるが、ほんのちょっとお付き合い頂ければ幸いだし、普段のキャンプの中でも活かせてもらえればと期待します。

ところで、北海道の停電のなか何処ぞのテレビ局さんが、避難所に自分達が持ち込んだツナ缶に芯を付け灯にしてもらってますみたいな報道があった。

余りに自画自賛とは思われるもののそれはそれでいい。ただ、そのツナ缶はそのあと食べられる状況ではないだろうし、どうするの? その生ゴミ?というのが私的見解。処理できない状況下でゴミ出すなよ…という気分。避難所ではゴミだって大問題なんだから。

ツナ缶で作るランタンは以前から有名で、ゴミのことも含め考えたのは、中身はフォークなどでしっかり美味しく頂き可能な限りオイルを残したままにする方法。そこへ自前の芯を立てる。でもこれは目の前にあるものですぐにできるというわけでもなく、たとえばアルミ片で作った芯の筒型のホルダーとか微妙に工夫が必要だった。そもそも避難所などでの配給にツナ缶はないだろう。

ではどうするか? 食用油使いましょう。ちなみにツナ缶は油漬けのものはサラダオイルかオリーブオイルは大丈夫だが、ノンオイルタイプでは当然火はつきません。というわけで、もっと手軽に手に入る材料、お台所にあるサラダオイルとかオリーブオイルで十分ご機嫌な灯を確保しよう。しかもメチャメチャ簡単に。


お皿にティッシュペーパーを撚って芯を何かで立て、火を点ければいいだけ。昔ながらの行灯です。これが一番簡単だが、倒れたりするロウソクと同等の危険度があるということは頭に入れておこう。

理屈が分かると、もうちょっと明るさを増したいと思うのは人の常。そこでもう少しお台所を見渡してみると、きっと誰の家にもジャム缶や何かの空き瓶が転がっているに違いない。それを利用すると、お皿などに比べ安定性も高くなるし持ち運びもでき、ツルを付ければぶら下げることもできるうえ、フタで消灯もできるようになる。

芯はティッシュペーパーを撚ったものをいくらか用意し、それをアルミホイルでまとめビンの中で倒れないように細工してみたもの。

やってみると理解できるが、そのうち灯り兼コンロにならないかと画策してみたくなる。火力は弱いものの、それはできます。空き缶の底などを使い縦方向を薄くすることで、家庭用コンロの口においてゴトクを利用してお湯を沸かすくらいのことはできるようになる。写真はその様子だが、ガラスポッ
トの底はかなりススで汚れるのは否めない。

灯りが意外と簡単な仕組みで確保できることを理解してもらったところで、次回はもっと楽しくいつものキャンプでも利用できる方法を紹介してみようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com