【第35回】ついに稼働を始めた、日本最大ファクトリー


バンテックセールスの国内生産拠点は山形にある。その山形で国産キャンピングカーメーカーとしては最大となる施設が稼働を新たに始め、落成式が平成28年10月29日、関係者を集め行われた。

バンテック山形工場 正面

もともとは巨大ショッピングセンターだったが、その広い駐車場の上には高速道路とインターチェンジを作成中で、それが完成すれば車両配送などで有利になる地の利を得ている。建屋は流用ながら、エントランス部などをうまく事務所利用し、すべてが1つにまとまった施設は日本ではなかなか見ることができない。

バンテック山形工場 落成式の様子 バンテック山形工場 落成式の様子

2000坪に及ぶ工場空間とそれによる生産倍増計画が発表され、来賓には全国の販売店だけでなく、世界的巨大パーツメーカーのバイスプレジデントなども招かれ、マスコミも多数駆けつけた。

まだ工場内が完成した状態ではなかったが、整理整頓と清掃は徹底され床も綺麗な状態。これが何を意味するかは、自動車工場を見たことがあれば理解できる。なんとなく、ホンダイズムに近い印象がある。

バンテック山形工場内 全景

もともとの広大な敷地にあった駐車場は、一部高速道路関連施設になってしまったが、それでもまだヤードとしては十分以上の駐車スペースがあり、すでにベース車両が次々と搬入されている最中であった。

バンテック山形工場内 全景 バンテック山形工場 駐車場

まだ工場内には半分も車両が入っていなかったが、キャブコン、1ボックスが別ラインで並列に製作されていくのがよく分かった。天井高にも余裕があるので、製造ラインという点でさらなる発展を見込める。

注文が殺到している人気シリーズがこの工場から製造スピードを急加速させ巣立っていくはずである。製造ラインの部分はまた次回にお見せしようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第33回】CyDAは、アトムのようなムーブメントになる!?


前回は号外でシーダの概要を伝えた。今回はちょっと気になった部分をピックアップしてみた。そちらの写真も合わせて見てもらえると嬉しい。

ちょっとドタバタした映像だが、雰囲気が伝わればとムービーを作ってみた。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)アトムからシーダへの進化で、最も顕著な部分がエントランスドアだ。 バンテックセールス初採用のヨーロッパ製ドアを開け閉めしてみると分かるのだが、これまでのガシャンという音ではなくパムッという静かさがなんともいい感じ。このドアを取り付けるには、ベースの部分にかなり強度を持たせる必要があるので、柔構造のキャンピングシェルではかなり苦労しているはずだ。あわせて注目したいのが高級モデルに採用されることの多いS7シリーズのフラットタイプウインドウが使われていること。この2つのパーツがグッと現代的な外観をもたらしていて、ベース車両のルックスとのバランスがいい。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

エントランスを開けると、そこにはかなり幅の薄いステップ。このあたりも、ボディ外寸に対し、可能な限り室内有効面積を高めようとした苦労の跡が垣間見れる。確かにシャシーの関係でこれ以上ステップスペースが確保できないのかもしれないが、乗り降りを楽にするための苦肉の策といったところ。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

マルチルームにはすでにシャワーパンが埋め込まれ、その上にポータブルトイレが置かれ板で区分けられている。どうやって使うのかちょっと悩むところだが、やっぱりあって嬉しいトイレだけに歓迎すべき装備だろう。このエリア背面には、小さいながらもクローゼットが用意されているので、モーターホーム的な使用方法も可能。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

ちょっと面白かったのが、マルチルームとサードシートの間の壁面にミラーが埋め込まれていたこと。リヤベッドに寝っ転がってみると、これのおかげで開放感が高まり、窮屈な感じがしないのがよく分かる。また、立つ位置によって姿見として使えるのも、身だしなみを気にする人には嬉しいに違いない。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

パッと見には純正かと思われる右ミラー、これはアーム部分がオリジナルである。設計者に言わせると、かなり苦労したらしい。それはそうだろう、大事なパーツであることは間違いないのだから。

まだとにかく登場したという状態なので細かい改善点はおいおい出てきそうだが、総じて作りが良く上級グレードの雰囲気を持っている車両であることは十分理解できる。子供が大きくなって、夫婦だけでキャンピングカーを利用する世代層が増えてきていることもあり、コンパクトで運転しやすいシーダのようなモデルが、人気を爆発させる要因はおおいに秘めているはずだ。

バンテック コンパクトキャブコン「Cyda(シーダ)」詳細ページ

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【号外】ついに登場!ボンゴベースのシーダお台場ショーで初お披露目


平成28年11月5日(土)・6日(日)、東京お台場青海の特設会場にてキャンピングカーショーが開かれる。その中で目玉とも言えるCydaが金曜日の朝の搬入に姿を現した。詳細については次回に回すとして、まずは第一報から。

外観は、基本的に以前のアトム・シリーズを継承している。シェルデザインに関しても、一部流用部があるようなので大きくイメージが変化したわけではないのだが、バンクベッドの立ち上がりや、レインレールの埋め込み処理、サイドスカートの形状などにより大分スタイリッシュになった印象がある。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

室内は新規採用のエントランスドアをくぐり小さめのステップを上がると、ダイネット。リヤには2段ベッドを装備。このエントランスドアは、なんと集中ドアロック動作している。

サードシート後ろにはマルチルームがあり、ポータブルトイレが設置されていて、ちょっとしたギミックでワードローブとしての使い分けができる。フロアにはすでにシャワーパンが張り込まれ、防水の外部収納庫としても使える。

バンテック コンパクトキャブコン・Cyda(シーダ)

セカンドシートは固定タイプで、エントランス脇にテレビホルダーアームが取り付けられ、限られた空間を可能な限り広く利用できるようにしている。バンクベッド部のシェルが新デザインになったので、そのベッドスペースはアトムよりも広いと思われる。

それ以外にも、肘掛けとかキッチン周り、外部からも「おやっ?」と思う数々の装備が仕込まれているのだが、それは是非ショーに足を運んでいただき自分の目で確かめてみることをオススメする。

これまでの小型トラックベースキャブコンの概念をガラッと払拭する内容になっている。ちょっとしたムーブメントを起こす可能性を秘めているのを第一印象で確認できた。

バンテック コンパクトキャブコン「Cyda(シーダ)」詳細ページ

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第31回】コンパクトでロングセラーとなったアトムシリーズの次世代モデルが登場!?


車内レイアウトのバリエーションが豊富で人気の高かったアトムがどうして現在シリーズから消えているのか? それはひとえに車両重量の問題である。いわゆる耐荷重の問題だ。2駆はまだしも4駆となるとかなり厳しい数字になり、オプション装備装着もままならない状況になっていた。そもそもこの手のモデルは4駆を選択するユーザーが多かったということもある。

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タウンエースベースの初代アトムが’00年に登場し、翌年にはヒュンダイSRXをベースにした耐荷重に余裕のあるパワフルモデルが登場。’03年にはバンク形状を大幅に変更した通称405というモデルが登場した。’07年にFRP一体成型の406、矢継ぎ早に407へと変更がされ、同年中に一番最初の写真であるバネットをベースにした新型の307が登場する。

このなかではヒュンダイSRXというリヤダブルタイヤのトラックが異彩を放っているが、それは当時バンテックが車両そのものの国内代理店として取り扱いを始めたからだ。余裕のあるベース車両、フロントエンジン、ウォークスルーモデルへの憧れもあったと思われるが、このモデルはある意味で三菱自動車のパジェロをトラックモデルに仕立て直したような感じだ。

パワーのあるディーゼルターボエンジンであり、さらにシャシーも余裕いっぱいだったので、アトムのキャンピングシェルを架装していても軽快に走行でき、ロングドライブでも疲れ知らずだったことを覚えている。

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最終型の307が登場したとき、それまでの定番的レイアウトを採用したモデルとは全くコンセプトが異なったモデルが登場。それが307Rである。これまでマルチルームを用意するのが常だったキャンピングカーの室内レイアウトを一変させた。
室内は兄貴分のジル同様のレイアウトを持たせる。すると車両容積の関係からマルチルームを省かなければ実現できない。しかしその装備はキャンピングカーとして捨てがたいというジレンマを抱える。

しかしちょうどこの時期から“トイレやシャワーはいらない”という新しいニーズを持ったユーザー層が登場してきた。
実際、現在でもトイレやシャワーのないとにかく室内が広々としているモデルは一定の人気がある。広いスペースでしっかり寝られる便利なミニバンとでも言えばいいのだろうか。

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ただしフルサイズのミニバンでも満たされない広々とした室内空間が307Rにはあった。立って歩ける室内高も重要だ。そう言ったニーズを満たすにはピッタリの全長全幅であるうえに、トイレ&シャワールームはなくしたものの伸縮するワードローブを設置した。

このワードローブのおかげで、必要とあらばポータブルトイレ設置によりトイレルームとして利用できるようになり、いわゆるキャンピングカー、旅車として使いたいユーザー層にもアピールでき、前出のジレンマも解消したのである。

伸ばした状態をトイレルームとしても、ダイネットとソファ周りをフルフラットベッド展開で利用できる点もよく考えられたレイアウトであった。

そんな307Rは’12年まで発売されたが、ベース車両がマイナーチェンジした折にラインナップから外れてしまった。しかしメーカー的にはラインナップの中でポッカリ空いてしまっているサイズであり、ユーザー的にもリーズナブルで利便性の高いクラスである。

現在、同サイズのベースシャシーであるマツダ・ボンゴトラックを使ったモデルが計画進行中のようだ。アトムの血を受け継ぐニューモデルの登場は、多くのユーザー層が待ち望んでいることでもあり、そう遠くになることはないはずだ。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第29回】より身近なキャブコンとして登場したアトム


ライトトラックをベースにしたキャブコンは日本ならではのサイズ感である。1ボックスより広々とした空間や天井高がある、それでいてリーズナブルで維持費も安いこともあり、高い人気を維持してきた。

そんななか'00年に登場したアトムは、サイズ的には三菱デリカトラックをベースにしたJB-470やトヨタライトエースベースの480に続くコンパクトなボディサイズでありながらパネル工法を採用し、量産化のメリットとコストダウンを図ったモデルとなった。

ベースはライトエース、タウンエースどちらも選べた。もちろんそのリーズナブルさを前面に出したコンセプトは広く受け入れられ、爆発的ヒットに。

あまり知られてはいない話だが、このベース車両はトヨタのキャンピングカー専用設定車種であり、確かそれが最初に導入されたモデルだったはずだ。

驚くのは量産化メリットを最大限に生かし、当初から1車種でレイアウトを8タイプ用意していたことだ。リヤエントランス、フロントエントランス、リヤ常設2段ベッドと、あらゆるユーザー層を取り込めるラインナップだったのだ。

バンテック キャンピングカー ATOM

現在の各種サイズキャブコンが、レイアウトタイプを絞っているのと比べ、いかに大量に市場に展開していったのかが分かるところでもある。しかもその後、パワフルなリヤダブルタイヤトラックのヒュンダイSRXベースまで登場し、ラインアップ拡充はとどまるところを知らなかった。

ただリーズナブルさを前面に押し出していたため、現代のキャブコンのようにフル装備、いってみればジルほどの充実した装備群は望めなかった。もちろんそこには、耐荷重重量の問題も大きかったに違いない。何しろ、ベース車両サイズに対してキャンピングシェルがちょっと大きく、バランスを考慮すると完全な納得が得られるわけではない印象があった。

バンテック キャンピングカー ATOM

アトムはその後、ベース車両を日産バネットに変更しそれまでの問題点を洗い直した。現在バンテックにはこのライトトラックベースのキャブコンが存在しないものの、どうやら準備は着々と進んでいるようなので、近々、目にすることになるはずだ。後継モデルの出来映えがかなり気になるところである。

TAMA@MAC
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主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com