【第265回】フィールドにナイフを持ち出そう


 普段キャンプに行く時、家からナイフを持ち出している。使っているのはモラーという輸入品で、日本で言えば肥後守的存在のもの。価格も安く使い勝手も含め納得の出来で、薪割りをこなすため出来るだけ刃厚のあるものを選んだ。ただこの手の刃渡り10cm以上になるナイフは、街を歩くときに持っていると銃刀法違反になってしまうのが悩みの種。そこで、よく行く出先にはあらかじめ使いやすいものを用意して置いてあったりもする。それらが写真のもの、刃厚は3mmほど。

 刃厚は見ての通り。左側のナイフはフルタングといい、刃先から柄の終わりまで1本ものになっていて、非常に使いやすい。ただこの手のタイプは多少価格が張る。バリバリ使うのではなくキャンプでちょこっとという程度なら、右のようなフルタングではない普通の柄が付いているものでも十分。入門で使うなら手に入れやすいこの手のもの、それでいて滑りにくい加工がしてあるものがいいだろう。

 言うまでもないが、作業をする時はグローブを使用しよう。ナイフを手に入れたらまずやってみたいと誰もが思うのがバトニング。 いわゆる薪割りだが、キャンプ場に売っている薪などなら、刃厚が 3mmの簡易なナイフでも十分使える。もちろんもっと刃厚があったほうがサクッと気持ちよく薪を裂けるのは間違いなし。その様子は斧や鉈のそれである。正直言ってバトニング程度の薪割りなら、多分鉈が一番便利、大型ではなく刃渡り10cmそこそこのものならなおさらである。しかしナイフだと、薪割り以外にも落ちている枝でタープやテントのポールを作ったり三脚を作ったり、料理にだって使えるので、腰に一本ぶら下げておくと何かと便利である。 危ない道具だけに慣れは必要だが、使っているうちに慣れてくると本当に心強く、ますますアウトドアを楽しめる相棒になってくれること間違いなしだ。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第263回】キャンプでナイフの実用性


 前回お気に入りのナイフを紹介したが、その3本がコレ。少し詳しく言えば左から、出かけ先で突然の家族親族焚き火キャンプが始まり道具を何も持っていなく近くにあった農協系店舗で見つけた何処かの鍛冶屋謹製小型ナタ、当時はネットで探し出すのも苦労し今ではソロキャンブームもあってか価格が手頃のことからかスゴいメジャーになったモーラナイフ、かっこよさと堅牢さで随分と昔に手に入れたハンティングタイプでマサヒロ・ターゲット7という国産の刀系。 正直、キャンプ中の薪割りという一点において左のナタにかなうものは私には見当たらない。通常サイズのものではなく小型のため、バトニングだのフェザースティック作りなども軽くて扱いやすくお手の物。 価格も安く研ぎも簡単だし、販売している所では大抵ちょうど具合のいい砥石も一緒に置いているので、セットで手に入れて損はないと思う。ただ売り場は斧だのカマだのクワだの都会生活者にはとってもアミューズメントでワンダーな場所ではあるが。

 

 なぜ薪割りにちょうどいいのか? 実はモーラナイフを刃が小さめで刃厚があるものとして紹介している中では最後に手に入れた。 その厚みは3.2mm。それに対し小ナタは4.7mm、ハンティングタイプ は5.0mmである。 確かにモーラナイフの厚みでも薪割り、バトニングは可能なのだが、割れ目に挟まってなんとも動きが悪い。それに対し小ナタやハンドメイド品の厚さは割れがグイグイ進む感じで割りやすいのだ。 斧の刃の厚みが何故にとてつもないのかがよく分かる。刃が入った後は、切るのではなく厚みで割くことを理解する。

 もう1つモーラナイフをわざわざ購入した理由に、薪割りだけでなく91mmという小さめの刃渡りで調理にも使えたら一石二鳥と思っていた。そのため、刃がカーボン綱のものをわざわざ選択。しかし世の中そんなに都合よくいくものではなく、両刃で厚みのあるナイフでは意外と調理に向かないということも理解した。残念ながら、このあたりは日本人の性。 結局30年程前パリで購入し調理のみに使用していたオピネルのカーボン綱刃のものをフランス調理人が喜ぶ両刃から日本人溺愛の片刄に落として使用。それは錆びやすいのだが使い勝手は抜群で、食材の切れの良さを基準にするとステンレス刃は選ばない。そう、世界中で愛されるオピネルはおフランス製である。刃渡りの大きさはいろいろあってNo.2~No.12まであるが、調理で使うならNo.6とNo.8が使いやすい。写真中では刃を開いているのがNo.8で刃渡り82mm。購入した当時、No.1とNo.11はなぜか欠番、理由は知らない。実際、スタッキングに特化した自分の道具の中にはそういったサイズのものを買い足し常備。そして薪割りは小ナタを持ち歩く。では気に入って手に入れた、一部ではスウェーデンの肥後守とも呼ばれているモーラ・プロ・ロブストはどうしているかといえば、意外とキャンプ地に着いた瞬間腰にぶら下げている…本末転倒。結局3本持って行くんじゃんっ!? という批判を受ける気は私には1mmたりとも無い。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第261回】ニューカマーCC1 その2 内装装備


 前回の私の第258回コラムでCC1の外観についてお届けしたが、今回は内装についてである。 レイアウトはダイネットを持ちリヤ常設2段ベッド、マルチルーム的なユーティリティスペースとオーソドックス。バンクベッドは無い状態だが、これは日本でも割と増えてきたスタイル。これにより全高を抑えているモデルが認知され始めたのだ。

 サードシートは3点式シートベルトを持つ。位置は確認できなかったが、置いてあるとしたら このシートかセカンドシート下に合計200Ah相当のリン酸鉄リチウムイオン電池が置かれる。そのサブバッテリーはオリジナルプログラムのバッテリー・マネージメント・システムで制御され、 170Aの大電流充電が可能のようだ。 日常使いの感じとしては、電気を普通に使った状態から4時間で充電が終了する感じ。そのエネルギー源は、130Aのオルタネーターと80Aの充電器によるもの。独自のシステム開発には時間とお金をだいぶ注ぎ込んだようで、温度センサーも付いて制御されるのは当然、そもそもバッテリーセルそのものが内部密度が低いものを採用しているため、発熱が少ないのが特徴のようだ。ただその分外形寸法は多少大きめとのこと。

 冷蔵庫は90lと大きめで電子レンジはインバーターを介して使用でき、たっぷりのリチウムイオンバッテリーの恩恵を最大限に活用できる。

 初見で驚いたのは、ボディカットモデルで本来はフロアが低いはずなのに想像以上に高かったこと。なんとその差は、60mmの断熱をフロアに仕込んだからという。エントランスドアにはインナーステップタイプが採用されているので、車体外側にステップを用意しなくても乗り降りが楽なのは助かる。

 現代のキャブコンでは、FF暖房が組まれるのは当たり前で、快適なエアコン環境があるかどうかが商品力を高める。CC1には走行時リヤエアコンがバンク部に移設され、キャビネット内に組み込み直されている。走行時はこれが基本になる。

 走行時以外はと言えば、製造するファーストカスタムが自ら扱う小型タイプがキャビネット内に室内機を組み込み、その存在が「私はエアコンです」というような主張なく給排気口のみが開いていてスッキリ収まっている。電源はDC12V仕様のため、インバーターによる電源エネルギーロスもなくダイレクトにサブバッテリーから駆動でき、出力で言えば2700BTU。日本的に計算すると680kcalということになる。家庭用エアコンの最小タイプと比較すると1/3だが、室内容積を考えると停車中の使用なので十分対応できるはずだ。

 そして何より驚くのは、このエアコンは自動車専用に開発されたものであり当然振動や塩害対策済み。室外機は後部フロア下に配置されているが、ファンは水平置き。この辺りの状況も確認してみたが、すでにテスト済みとのこと。当然ではあるが、消費電力的にもサブバッテリーへ与えるダメージは少ない。 総合的に見ると、スタイルの斬新さがかなり目立ち、レイアウトはオーソドックスでありながら最先端技術をふんだんに取り込んだモデル、という印象。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第258回】ニューカマーCC1 その1外観概要


 2月から延期されついに開催されたジャパン・キャンピングカー・ショー2021、4月2日バンテックブースに、ブランニューなこれまでにないモデルが展示された。ベース車両は日産NV350でBピラーの後ろをボディカットしたキャブコンで、エントランスドアはなんとスライドドア。 正直いってバンテックの既存のキャブコンとはまったく毛色の違う、ある意味展示ブースで異彩を放っていた。

 名称はアストラーレCC1、製造はバンテックかと思いきや復活したファーストカスタム。知る人ぞ知る佐藤和秋社長率いる秋田の職人集団。その作品がバンテックで取扱販売されることになったのだ。

 とにかく目を見張るのは、ボディラインの綺麗な処理。目を凝らしてみるとわかるのだが、デザイン的に面と面が付き合わせになる部分でFRPシェルを接合しているため、一体成形にも見えるし余分な出っ張りや突起が皆無で、現代的な乗用車の趣なのである。

 ボディワークはお家芸であるスペース鋼管フレームによるもので、従来通り外皮FRPは強度部品ではなくいわゆる幌をかけたような構造。過去の製造例で考えると、フレームと外皮の間は相当の空間が作られ断熱と防音に役に立つ空間がたっぷり用意されているはずだ。

 そしてバゲッジドアなども既存品を装着するのではなく、デザインにあわせてオリジナルで作成し、オリジナルヒンジを内包して外観デザインに影響しないようになっており、閉めた時のツライチもピタッと合わさって出っ張りは皆無。いわゆる乗用車のドアやトランクのよう。 こういったデザイン処理を施されたキャンピングカー、キャブコンは日本ではかなり珍しく、 他とは違う持つ喜び的な部分をそそるのは間違いなさそう。

 嬉しいのは純正のスライドドア機構を利用し設置し直したエントランスドアの機構で、電動スライドでは無いもののオートロックやクローザーはそのまま利用できる。こんなところも乗用車的といえる。 このエントランスドア、パーツこそ純正品流用だが耐荷重2トンをかけた状況で設計されていて、安全面にも十分な配慮がされているのは間違いない。 そして現代のキャブコンは、日本においては旅のツールとして利用されることがもっとも多い。 そう乗用車的なのだ。だが車幅がそれなりにあるキャブコンの場合、サービスエリアの駐車スペースだと隣のクルマとエントランスドアの開閉が干渉することがままあるが、スライドドアだとそういった不安も激減する。ステップも内包式なので、さらに隣との気遣いが少なくてすむと言った利点もある。ザッと外観を見てみたが、次回は内装と装備の特長について説明してみようと思う。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com

【第256回】パックごはんもメスティン活用


 非常事態宣言下で毎昼自宅飯を炊いていて、ふと手元にあったパックご飯に目がいった。これってキャンプでよく利用するけど、何人前もあると湯煎で戻すの大変だし、電子レンジが必ずあるわけではないし、メスティンでうまく戻せたら楽チンだなぁと思いやってみた。 ここから先の話は特に実践しなくても頭に入れておくと、万が一の防災的テクニックとしても十分活用できると思う。だって、パックごはんを防災備蓄品に用意している人も多いはずだから。

 白米を温めなおすのはかなりうまくできる事が分かり、勢いに乗ってざく切りキャベツを敷きマルシンハンバーグを切って載せ温めてみた。もうこれで立派なお弁当気分のごはんの完成である。その後もいろいろ試してみたが、炊き込みっぽいのもできるので、スゴいなと感じ入った。

 

 そして本家本元はトランギアだが今流行っているメスティン、これはそれよりちょっと小振りで炊飯で考えると半合炊きとして使うと丁度いい。というより、運動不足になりがちな非常事態宣言下では、その程度で抑えないと出不精がデブ症になってしまう。そしてこのメスティンで上記のようなご飯を作る場合、パックご飯も少し量が抑えめの150グラムのものがいい。これはだいたい半合炊いた量であり、お茶碗1杯分とみていい。180や200グラムだと、おかずを一緒に温めるのに少し容積が足りず不便なのだ。

 上手に戻すためには少し技が必要で、メスティンにお米を詰める時、できるだけ箸やスプーンで解してまんべんなく広げる。そして大さじ1杯の水を全体にかけまわし、超トロ火のコンロでジワっと温める。火が強いと焦げ付くのに注意したい。湯気が出たら電子レンジで2分らしいので、それくらい温めておしまい。 全体で見ても湯煎のためにお湯を沸かす時間も必要ないので調理時間は短く、燃料もビックリするほど使用しないというのもみそ。

 

 レトルトパックのご飯が湯煎や電子レンジでなくても、美味しく加熱処理することが分かり、自分の車中泊ではテフロン加工された道具で実践。温め途中軽くかき回したりするとなお綺麗に仕上がる。食べ終わった後も、アルコールティッシュで拭けば、器もそれでスッキリだし。いやね、移動時間が深夜になったりして車中泊をすることになった時とか、コンビニでパックごはんと1人前ずつパックされたお惣菜を購入できれば、自粛騒ぎで飲食店が開いてなくても立派な夕食になるというもの。

 結果、これまでになくゴージャスなミックスフライ定食を豪雨の中の車中 泊でいただくことに成功。お腹が落ち着くと気分も安心になり、外が暴風雨 でも心配事にならないのね、という事実を発見した。

TAMA@MAC
著者:TAMA@MAC
主に月刊オートキャンパーに執筆し、超小型キャンピングトレーラーを引っ張って、キャンピングカーの可能性を甘受する日々を送る。クルマやキャンピングカーは相当好きだが、最近はフィールドワークにドップリはまり込んでいる。 http://www.tamamac.com